パイプドビッツ<3831>マイナンバー制度導入で主力製品「SPIRAL」の引き合いが増加する可能性
[15/06/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』6月8日放送において、パイプドビッツ<3831>を取り上げている。主な内容は以下の通り。
■事業概要
パイプドビッツ<3831> は自社製品である「SPIRAL(スパイラル)」というプラットフォーム(ミドルウェア)をクラウド型で提供するIT 企業である。中堅企業・大企業向けにプラットフォームの提供だけでなく、特定の業界(美容業界や建築業界など) 向けに自社開発したアプリケーションの販売も行っている。
同社の主力事業を一言で言えば、自社開発した「SPIRAL」というプラットフォーム及び関連したアプリケーションソフトを、売り切りではなくレンタル方式(月額課金方式)でユーザーに提供することである。ソフトウェアの階層(レイヤー) の中で「SPIRAL」の位置付けはクラウド型ミドルウェアとも言える。
■「SPIRAL」について
一般的に多くの企業は業務上のシステムなどを構築する際に、開発・運用のためのハードウェアや基本ソフトウェア(OS)、開発環境(ツール)、データベース、ミドルウェアなどを自社で購入し(または開発委託し)、それらを組み合わせてシステムが稼動するための基盤(プラットフォーム) を構築する必要があり、さらに開発後もそれらを維持する手間(コスト) も必要であった。
しかし同社の開発した「SPIRAL」は、開発ツールが搭載されているので各種アプリケーションを簡単に開発することができるだけでなく、データベースも内蔵しているため「SPIRAL」に格納された顧客データなどの情報資産を各アプリケーションで共有して利用することが可能になる。またこれらのアプリケーションやデータ類を簡単に複製あるいはデリバリーすることもできる。ここがパッケージ型ソフトと大きく異なる優位性である。このため顧客企業は、「SPIRAL」を利用することでアプリ開発のコストを大幅に削減すると同時に、情報の運営(利用) ・管理を簡単かつ一括して行うことができる。さらに従量制の月額課金型プラットフォームであることから、コスト削減にも役立っている。「SPIRAL」の導入企業は、大手金融機関を始めとする著名な企業が顧客に名を連ねている。
■業績に関して
同社の2015 年2 月期は売上高3,173 百万円(前期比26.1% 増)、営業利益625 百万円(同10.7% 増)、経常利益634 百万円(同12.2% 増)、当期純利益372 百万円(同8.7% 増)となった。前期比では増収増益となり、営業利益としては過去最高を更新した。ただし期初計画(営業利益、経常利益700 百万円) に対しては若干下回ったが、需要そのものが弱かったわけではなく、売上高については、新規採用した社員を育成し、現場への配属が想定よりも期間を要し、戦力化がやや遅れたことに起因するものであり、営業利益については、当初想定よりも人材獲得が進捗し、コスト増となった結果である。
主力である情報資産プラットフォーム事業の売上高が増加したのは、2015 年2 月期末の有効アカウント数が前期末比661 増の10,757 と増加したことに加え、多様なサービス提供によってアカウント当たりの情報資産の預かりレコード数増に伴う月額課金の単価増や、金額の大型案件が増加したからである。また解約率についても、第3 四半期(2015 年9 月-11月期) の特殊要因が解消して通常の低水準に戻ったことが、収益の安定化に寄与している。
なお、進行中の2016 年2 月期は、売上高4,000 百万円(前年比26.0% 増)、営業利益820 百万円(同31.2% 増)、経常利益820 百万円(同29.2% 増)、当期純利益490 百万円(同31.6% 増)と2桁の増収増益が予想されている。
■今後の展開で重要視している「マイナンバー制度」
まずはマイナンバー制度に関してのおさらいをする。関連法案は2013 年5 月24 日に成立し、自治体を中心に、2015 年10 月の国民への個人番号の通知、2016 年1 月の個人番号の利用開始、2017 年1 月の国機関での情報連携の開始、2017 年7 月の自治体を含めた情報連携の開始に向けて、システム改修、業務運用の見直しなどが進められている。
これまで、行政機関・自治体などには年金の基礎年金番号、介護保険の被保険者番号、自治体内での事務に利用する宛名番号のように、分野や組織ごとに個人を特定するための番号が存在しているが、異なる分野や組織間で横断的に個人を特定するための番号はなく、異なる分野や組織で管理している個人を同一人として特定することがかなりの手間になっている。そこで複数の機関に存在する個人情報を、同一人の情報であることを確認できるように、国民一人ひとりに「個人番号」と呼ばれる番号を付番し、各分野、各機関で横断的に利用することができる「マイナンバー制度」が導入されることになったのである。
■「マイナンバー制度」のどのような点に注目か
ここで注目すべきは、この「マイナンバー制度」では、国・自治体・各種行政機関などだけでなく、一般企業においても従業員の個人情報とマイナンバーを紐付けて管理・維持する必要がある点だ。今までの個人情報保護法では、企業は顧客情報だけを管理すればよかったが、マイナンバー制度では全従業員のナンバーと各種情報(給与、税金、年金、健康保険など) を合わせて管理する必要が出てくる。したがって、多くの企業がマイナンバー制度導入に伴い、現在の人事管理・給与などのシステムを大幅に入れ替える、あるいは再構築する必要に迫られる可能性が高い。
このような各種情報をマイナンバーと合わせて一元管理する仕組みであるデータベースマネージメントは、まさに同社の主力製品である「SPIRAL」が得意とする分野であり、今後マイナンバー制度導入が進むに連れて同社製品への引き合いが増加する可能性は高い。さらにもう1 つのメリットは、現在オンプレミスを導入している大手企業も、今回のマイナンバー制度によってシステム再構築の必要性が出てくるが、その際にはコスト面を考えてクラウドへの移行が進む可能性もある。いずれにしろ「マイナンバー制度」の導入は、IT 業界全体に関連需要を創出するのは明白だが、その中でも特に同社は大きな恩恵を受けるものと予想され、今後の動向が大いに注目される。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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■事業概要
パイプドビッツ<3831> は自社製品である「SPIRAL(スパイラル)」というプラットフォーム(ミドルウェア)をクラウド型で提供するIT 企業である。中堅企業・大企業向けにプラットフォームの提供だけでなく、特定の業界(美容業界や建築業界など) 向けに自社開発したアプリケーションの販売も行っている。
同社の主力事業を一言で言えば、自社開発した「SPIRAL」というプラットフォーム及び関連したアプリケーションソフトを、売り切りではなくレンタル方式(月額課金方式)でユーザーに提供することである。ソフトウェアの階層(レイヤー) の中で「SPIRAL」の位置付けはクラウド型ミドルウェアとも言える。
■「SPIRAL」について
一般的に多くの企業は業務上のシステムなどを構築する際に、開発・運用のためのハードウェアや基本ソフトウェア(OS)、開発環境(ツール)、データベース、ミドルウェアなどを自社で購入し(または開発委託し)、それらを組み合わせてシステムが稼動するための基盤(プラットフォーム) を構築する必要があり、さらに開発後もそれらを維持する手間(コスト) も必要であった。
しかし同社の開発した「SPIRAL」は、開発ツールが搭載されているので各種アプリケーションを簡単に開発することができるだけでなく、データベースも内蔵しているため「SPIRAL」に格納された顧客データなどの情報資産を各アプリケーションで共有して利用することが可能になる。またこれらのアプリケーションやデータ類を簡単に複製あるいはデリバリーすることもできる。ここがパッケージ型ソフトと大きく異なる優位性である。このため顧客企業は、「SPIRAL」を利用することでアプリ開発のコストを大幅に削減すると同時に、情報の運営(利用) ・管理を簡単かつ一括して行うことができる。さらに従量制の月額課金型プラットフォームであることから、コスト削減にも役立っている。「SPIRAL」の導入企業は、大手金融機関を始めとする著名な企業が顧客に名を連ねている。
■業績に関して
同社の2015 年2 月期は売上高3,173 百万円(前期比26.1% 増)、営業利益625 百万円(同10.7% 増)、経常利益634 百万円(同12.2% 増)、当期純利益372 百万円(同8.7% 増)となった。前期比では増収増益となり、営業利益としては過去最高を更新した。ただし期初計画(営業利益、経常利益700 百万円) に対しては若干下回ったが、需要そのものが弱かったわけではなく、売上高については、新規採用した社員を育成し、現場への配属が想定よりも期間を要し、戦力化がやや遅れたことに起因するものであり、営業利益については、当初想定よりも人材獲得が進捗し、コスト増となった結果である。
主力である情報資産プラットフォーム事業の売上高が増加したのは、2015 年2 月期末の有効アカウント数が前期末比661 増の10,757 と増加したことに加え、多様なサービス提供によってアカウント当たりの情報資産の預かりレコード数増に伴う月額課金の単価増や、金額の大型案件が増加したからである。また解約率についても、第3 四半期(2015 年9 月-11月期) の特殊要因が解消して通常の低水準に戻ったことが、収益の安定化に寄与している。
なお、進行中の2016 年2 月期は、売上高4,000 百万円(前年比26.0% 増)、営業利益820 百万円(同31.2% 増)、経常利益820 百万円(同29.2% 増)、当期純利益490 百万円(同31.6% 増)と2桁の増収増益が予想されている。
■今後の展開で重要視している「マイナンバー制度」
まずはマイナンバー制度に関してのおさらいをする。関連法案は2013 年5 月24 日に成立し、自治体を中心に、2015 年10 月の国民への個人番号の通知、2016 年1 月の個人番号の利用開始、2017 年1 月の国機関での情報連携の開始、2017 年7 月の自治体を含めた情報連携の開始に向けて、システム改修、業務運用の見直しなどが進められている。
これまで、行政機関・自治体などには年金の基礎年金番号、介護保険の被保険者番号、自治体内での事務に利用する宛名番号のように、分野や組織ごとに個人を特定するための番号が存在しているが、異なる分野や組織間で横断的に個人を特定するための番号はなく、異なる分野や組織で管理している個人を同一人として特定することがかなりの手間になっている。そこで複数の機関に存在する個人情報を、同一人の情報であることを確認できるように、国民一人ひとりに「個人番号」と呼ばれる番号を付番し、各分野、各機関で横断的に利用することができる「マイナンバー制度」が導入されることになったのである。
■「マイナンバー制度」のどのような点に注目か
ここで注目すべきは、この「マイナンバー制度」では、国・自治体・各種行政機関などだけでなく、一般企業においても従業員の個人情報とマイナンバーを紐付けて管理・維持する必要がある点だ。今までの個人情報保護法では、企業は顧客情報だけを管理すればよかったが、マイナンバー制度では全従業員のナンバーと各種情報(給与、税金、年金、健康保険など) を合わせて管理する必要が出てくる。したがって、多くの企業がマイナンバー制度導入に伴い、現在の人事管理・給与などのシステムを大幅に入れ替える、あるいは再構築する必要に迫られる可能性が高い。
このような各種情報をマイナンバーと合わせて一元管理する仕組みであるデータベースマネージメントは、まさに同社の主力製品である「SPIRAL」が得意とする分野であり、今後マイナンバー制度導入が進むに連れて同社製品への引き合いが増加する可能性は高い。さらにもう1 つのメリットは、現在オンプレミスを導入している大手企業も、今回のマイナンバー制度によってシステム再構築の必要性が出てくるが、その際にはコスト面を考えてクラウドへの移行が進む可能性もある。いずれにしろ「マイナンバー制度」の導入は、IT 業界全体に関連需要を創出するのは明白だが、その中でも特に同社は大きな恩恵を受けるものと予想され、今後の動向が大いに注目される。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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