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メディシス Research Memo(5):新たな中期計画を発表、18/3期売上高1,050億円が目標

注目トピックス 日本株

■中期計画

(1)中期計画の概要

メディカルシステムネットワーク<4350>は決算発表と同時に、新たに第4次中期計画を発表した。高齢化社会の進展とともに、医療、介護問題がますます深刻化していく状況下で、同社は「医薬品ネットワークの拡大」と「地域薬局機能の充実」に注力し、地域医療を支える企業として更なる成長を目指していく方針だ。

経営数値目標としては、最終年度となる2018年3月期に売上高105,000百万円、経常利益3,800百万円を掲げている。主力事業である医薬品等ネットワーク事業、調剤薬局事業が引き続き収益をけん引する格好となる。

○医薬品等ネットワーク事業
医薬品等ネットワーク事業ではネットワーク加盟件数を2015年3月期実績の1,200件から2018年3月期には2,200件と大きく拡大していく計画となっている。加盟件数の増加により、売上高は2015年3月期実績の2,814百万円から3,600百万円に、営業利益は1,549百万円から2,200百万円に拡大する見通しだ。このうち、収益源となる受発注手数料収入は2015年3月期実績の1,601百万円から2,500百万円と年率16%成長を見込んでいる。

ネットワーク加盟件数については、直近3年間の実績が346件、大口先1社脱退(230件)の影響を除くと576件だったことから、増加ペースを加速していく計画となっている。医療費の抑制が進むなかで、中小・中堅規模の調剤薬局の経営環境が今まで以上に厳しくなり、同社ネットワークサービス事業にとっては追い風となるほか、2015年に入って業務提携を発表した2つのサービスが加盟件数の増加ペースに拍車をかけるとみている。

1つ目のサービスは芙蓉総合リースとの業務提携によって、2015年2月よりサービスを開始した「医薬品仕入代金立替払サービス」となる。同社の医薬品ネットワークサービスへの加盟条件として、医薬品仕入れ代金の支払期間が2ヶ月と決まっているが、中小規模の薬局においては3ヶ月以上のところがほとんどであり、加盟するに当たって支払期間の短縮によって生じる一時的な費用の発生が重荷となっていた。同社ではこうした問題を解消するために、今回、芙蓉総合リースが顧客に代わって加盟時初回月分の医薬品仕入れ代金を一括支払いし、顧客は分割払いで立替え分を支払いできるサービスを開発した。

2月に同サービスを開始して以降、4月末までの3ヶ月間で新規加盟件数は6法人、68店舗と従来を大きく上回るペースで伸びており、早速その効果が顕在化しているとみられる。また、同サービスは医薬品卸売会社にとっても、売上債権の回収期間短縮につながることになり、すべての関係者にとってメリットのあるサービスとして注目され、今後の加盟件数の増加が期待される。

2つ目のサービスは2015年4月に業務提携を発表したイーエムシステムズの顧客に向けたデッドストックエクスチェンジサービス(不動在庫消化サービス)となる。イーエムシステムズは国内調剤薬局の3割に当たる約16,000件の顧客を持つレセプトコンピュータシステムの大手で、同システムの付加機能として新たにデッドストックエクスチェンジサービスを提供するというもの。

薬局における不動在庫は年間売上高の約0.2%あると言われている。市場規模が約10兆円あるため、年間200億円の在庫廃棄ロスが業界全体で出ている計算となる。同社のネットワーク加盟店においては、この不動在庫が売上高の0.07%と業界平均よりも3分の1の水準となっている。デッドストックエクスチェンジサービスにより、店舗間での不動在庫を融通している効果によるものと言える。仮に、売上高100百万円の店舗であれば、在庫廃棄ロスが20万円出ることになるが、同社のサービスを利用すれば6〜7万円に圧縮できる計算となり、利益率で見れば0.1%強の改善要因となる。

デッドストックエクスチェンジサービスは、同社のネットワークに加盟すれば無料で提供しているサービスだが、イーエムシステムズの顧客が同サービスのみの利用を希望する場合は、在庫取引高の数%を手数料として徴収する見込みだ。このため、同社にとって直接的な収益へのインパクトは軽微であるものの、同サービスの利用を契機として医薬品ネットワークサービスへの加盟が増加する可能性は十分あると言えよう。

なお、同サービスの開始は2016年4月からを予定しており、同社のネットワークシステムも加盟件数の増加に備えて、処理能力を3倍に拡大する予定となっている(3年間のシステム投資額は200百万円)。

○調剤薬局事業
調剤薬局事業では店舗数を前期末の345店舗から2018年3月期には500店舗に拡大していく計画となっている。店舗数の拡大により、売上高は2015年3月期実績の71,743百万円から99,500百万円に、営業利益は2,377百万円から3,000百万円に拡大する見通しだ。営業利益率は2015年3月期の3.3%から3.0%と若干低下するとみているが、これは調剤薬局業界にとって厳しい経営環境が続くことを想定しているため。ただ、実際には店舗の生産性を改善するなど改善余地も多く残されており、収益性を維持向上していくことは可能とみられる。

高齢化社会が進むなかで、地域医療体制の充実がより重要となってきており、その中で調剤薬局の果す役割はますます大きくなっていくと考えられる。同社ではこの考えのもと、既存店舗における医療安全、接遇、服薬指導、在宅医療、待ち時間短縮などサービス面での品質向上を進めていくと同時に、「医療・介護・予防機能(コミュニティ・ケア機能)」をフルパッケージで提供する次世代モデル薬局の新規店舗の開発も進めていく方針としている。

また、既存店への医療機関誘致による医療モール構築や医師開業支援業務の強化などによって既存店舗の収益力アップを図るほか、M&Aなども高齢者医療需要が見込まれる首都圏や京阪神、愛知、福岡などを中心に積極的に進め、計画の達成を目指していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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