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ティア Research Memo(2):旧来の慣習を打ち破り、業界平均を下回る葬儀単価でサービス提供

注目トピックス 日本株
■事業概要

(1)事業内容

名古屋を地盤とした葬儀会館「ティア」の運営を目的に、1997年に設立。「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指して、「葬儀費用の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱し、顧客の支持を拡大してきた。名古屋市内の斎場シェアでは約20%と地域内シェアで2番手に位置する。

ティア<2485>の事業は葬儀・法要の請負、葬儀施行後のアフターフォロー、葬儀会館「ティア」の運営とFC(フランチャイズ)ビジネスからなる。事業セグメントは葬祭事業とFC事業とに区分されているが、売上高、セグメント利益ともに96.9%を葬祭事業で占めており、FC事業の収益に与えるインパクトはまだ小さい。

店舗数は、2015年3月末時点で直営店が41店舗、FC店が36店舗の合計77店舗と年々拡大している。地域別で見ると、直営店は愛知県36店舗、大阪府3店舗、埼玉県2店舗となっており、FC店では大阪府12店舗、岐阜県11店舗、愛知県9店舗、三重県3店舗、和歌山県1店舗となっている。FC加盟社は8社が店舗展開しており、最も多く出店しているのが南海電気鉄道<9044>の子会社である南海グリーフサポート(株)で13店舗となっている。なお、FC加盟社数に関しては3月に新たに2社と契約し、合計10社となっている。4年ぶりの新規加盟となり、今後のFC店舗の拡大が期待されるが、出店エリアや時期に関してはまだ未定となっている。

同社の顧客は主に個人で、直営の葬儀会館のほか自宅、寺院、公民館などを会場とした葬儀の施行全般を請け負っている。また、葬儀終了後のアフターフォローとして忌明け法要や年忌法要の請負なども行っている。葬儀売上高の顧客別構成比は、「ティアの会」に加入する個人会員が67.4%、提携団体が22.9%、フリー客が7.8%、その他2.0%となっており、「ティアの会」会員及び同等のサービスを受ける提携団体が9割以上を占めている。なお、「ティアの会」会員数は店舗数の拡大とともに年々増加傾向にあり、2015年3月末時点では251,175人と前期末比で12,543人増加している。

一方、FC事業については出店エリアの市場調査から会館企画、従業員教育、経営指導、葬儀で使用する物品類の販売に至るまでトータルサポートを行っている。同事業の売上高のなかには、加盟時に支払う加盟金(2百万円)や出店申込金(3百万円)、ロイヤリティ収入(売上高の約3%)のほか、社員に対する教育サービス料が含まれている。なお、FC加盟に関しては、異業種であることを条件としており、同業者の加盟は認めていない。これは、葬祭事業への取り組み姿勢が根本的に違うためであり、固定観念が既に形成されている同業者の従業員を再教育するのは非効率的と考えているためだ。

(2)特徴・強み

同社の最大の特徴は、「葬儀価格の完全開示化」と「適正な葬儀費用の提示」を行い、旧来の葬儀社の慣習を打ち破ったことにある。このため、葬儀単価についても全国平均が140万円程度であるのに対して、同社は110万円前後と業界平均を下回る価格でサービス提供を行っている。

出店戦略においてもドミナント戦略※による多店舗展開を進めており、将来的には全国展開を目指している。また、社長自らが年150本を超える講演活動を行っているほか、テレビ・雑誌のインタビューにも積極的に応じるなど、積極的な広報活動を行っていることも特徴の1つと言えよう。
※ドミナント戦略...地域を特定し、その特定した地域内に集中して店舗を出店すること。経営効率を高め、地域内でのシェアを拡大し、競争優位に立つことを目的とする。

同社の強みとしては、他社に真似のできない人財(人材)教育システムが挙げられる。「ティアアカデミー」と呼ばれる人財教育システムでは、新卒入社の新人社員は入社後3ヶ月間、中途入社の社員でも1〜2ヶ月間は葬祭・宗教知識、葬儀施行技術などの専門分野に加え、徳育的観点から「命」や「心」に関しての教育を実施している。現場配属後も3ヶ月に1度は社長セミナーの受講が義務付けられており、葬祭業である前に「究極のサービス業」であること、「遺族に対して最高のおもてなし」をし、感動を与えられる社員になれるよう心の教育を行うなど、実践的な育成メニューを組んでいる。

また、客観的な判断基準として社内検定試験を等級別に実施し、7段階で評価することにより、個々の社員の能力を把握できるようにしている。こうした人財教育システムが同社の質の高いサービスを作り上げており、同社の競争力を支える源泉ともなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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