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ダイナムジャパンHD Research Memo(5):負のスパイラルを断ち切るために身を切る施策を断行

注目トピックス 日本株
■業績動向

(1) 2015年3月期決算の詳細

2015年3月期は、営業収入で154,556百万円(前期比6.8%減)、営業利益で19,344百万円(同39.0%減)、税引前利益で19,518百万円(同43.6%減)、当期利益で11,259百万円(同47.0%減)と減収減益で着地した。

ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の半期ごとの営業利益率(営業収入に占める営業利益の割合)の推移を見ると、2015年3月期上期までは前年と変わらない水準であったことがわかる。しかし前述のように、この背後では客数が減少する一方、店側の粗利益率(貸玉収入に対する営業収入の割合)が高まっていて、それがかえって客離れを招いたという事態が生じていた。同社はその負のスパイラルを断ち切るために、第4四半期に身を切る施策を行った。その結果が下期の営業利益率の急落となって表れた。

減収減益の背景には前述のとおり、客数減少に対して店舗リニューアル及び顧客への還元率を高めるという対策をとったことがある。それ以外にも消費増税の影響額及び新店の影響額などがあり、営業利益は前期比12,391百万円減少した。

2015年3月期の税引前当期利益は19,518百万円(前期は34,614百万円)でであったため、営業キャッシュフローは13,416百万円のプラス(同27,385百万円のプラス)となった。一方、設備投資として19店の新規出店及び40店のリニューアルを実施したことによる16,008百万円の支出があったが、前期に計上した子会社取得による支出がゼロになったこと(同2,372百万円の支出)及び売却可能金融資産の取得による支出が減少(前期は8,858百万円から当期は818百万円)し、投資キャッシュフローは17,013百万円のマイナス(前期は22,390百万円のマイナス)となった。財務キャッシュフローは、銀行借入による収入がネットで8,382百万円あったが、配当金支払いによる10,400百万円の支出があり、2,898百万円のマイナス(同13,102百万円のマイナス)となった。結果として、ネット・キャッシュフローは5,597百万円の減少となり、現金及び現金同等物の期末残高は前期末と比較して5,597百万円の減少の29,239百万円となった。

(2) 2016年3月期の業績についての考え方

同社は2016年3月期について業績予想を公表していない。弊社では、2016年3月期の同社業績について、以下のような推計が可能ではないかと考えている。

営業収入については、2015年3月期第4四半期に、リニューアル投資及び顧客還元の増加で客数が改善傾向にあり、パチンコ稼働数が、同第1及び第2四半期の水準以上で推移している。顧客還元の増加による収益インパクトは、前年第4四半期は約3,000百万円であったと試算するが、2016年3月期は通年で影響を及ぼすことになる。一方、客数が戻ること及び高貸玉店舗での客数増加でミックス改善による増収効果による営業収入増が期待される。同社は2016年3月期第1四半期にさらに約50店舗のリニューアルを進めており(年間では総計80店舗を想定)、その効果の再現性は高いと期待できる。それらを総合的に勘案すると、2014年3月期の水準までは届かないものの2015年3月期対比では増収となって、160,000〜165,000百万円のレンジ入ってくるという想定が可能であろう。

したがって、2015年3月期対比で、営業収入で9,000百万円〜10,000百万円の増収、一方、営業費用が新規出店、リニューアル等で5,000百万円〜6,000百万円の増加となり、営業利益では3,000百万円〜5,000百万円の増益、という想定をすることが可能であろう。

仮に営業利益が24,000百万円となった場合、税引前利益も同額として、実効税率35%で計算すると、当期利益は15,600百万円となる。減価償却費は前年実績から約600百万円の増加を想定しているため、総額では約11,000百万円となり、キャッシュ・インフローは26,600百万円と想定することができる。一方、設備投資額は、リニューアル店舗数80店(前期実績40店)及び新規出店20店(前期実績19店)を考慮して前期実績よりも1,000百万円程度多い17,000百万円と想定できる。これに配当金支払額10,400百万円(年間配当を前期並みの14円と前提)が加わるため、キャッシュ・アウトフローは27,400百万円となり、ネット・キャッシュフローはマイナス800百万円という試算が可能である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)




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