DVx Research Memo(2):不整脈分野の医療機器販売でトップシェア
[15/06/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
1986年創業の医療機器専門商社で、2007年に株式を上場して以来、連続増収増益、実質増配を続けている。ディーブイエックス<3079>の事業は「不整脈事業」「虚血事業」「その他」と3つの事業に区分されている。2015年3月期の売上高構成比で見ると、「不整脈事業」が81.2%、「虚血事業」が15.3%と2事業で全体の96%以上を占めており、ここ数年この傾向は変わっていない。
セグメント利益の構成比を見ると「虚血事業」が28.4%と、売上高構成比と比較してやや高くなっている。この背景としては「虚血事業」が主に海外医療機器の独占販売権を持つ輸入総代理店として、国内の商社向けに医療機器を販売しており、価格支配力が強いことが考えられるが、マーケティングコストや薬事申請費用は同社が負担する。一方、「不整脈事業」はメーカーまたは商社から関連商品を仕入れて医療施設に販売するビジネスモデルであり、同じ製品を扱う競合企業があるため、価格競争が生じやすい事業環境となっている。こうした事業環境の違いが、両事業の利益率の差になっていると考えられる。
(1)「不整脈事業」
不整脈事業における主な取扱製品は、心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、CRT-D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)、検査用電極カテーテル、アブレーション(心筋焼灼術)カテーテルなどが挙げられる。
同社の取り扱う製品は専門的な技術知識を必要とされるだけでなく、サポート力も要求されるため、実際に製品を扱う医師と営業マンの信頼関係が取引上で最も重要視されている。不整脈関連製品を専門に扱う商社は少なく、経験豊富なベテラン営業マンを多く抱え、症例件数の多い医療施設での納入実績が高いことが同社の強みとなっているが、厚生行政が地域基幹病院に高度医療を集中させ医療の効率化を図ろうとしている方向性が、長期的に同社の好業績にも影響しているものと考えられる。
市場シェアは、関東エリアで40%、全国で20%とトップシェアとなっており、年々新規顧客を開拓しながら、市場シェアを拡大している(2008年度の国内シェアは13%)。新規顧客(医療施設)を開拓するきっかけとして一番多いケースは、顧客である医師が転勤するタイミングとなる。転勤先においても取引の継続を希望する医師が多く、転勤先の医療施設が新規顧客となっていく。このため、転勤先が地方の医療施設となり、同社の営業拠点がない場合は、事業計画上採算を考慮した上で、新たに出張所や営業所を開設し、顧客対応していくことになる。2015年3月期は宮崎に出張所を開設し、全国12拠点体制となった。同出張所の開設は、仕入先メーカーからの依頼によるもので、現地に有力な販売代理店がなかったことがその理由となっている。
○「虚血事業」
虚血事業における主な取扱製品としては、自動造影剤注入装置(製品名ACIST)、エキシマレーザ血管形成システム、PTAバルーンカテーテルなどがあり、同社が独占販売権を持ち輸入総代理店となって、販売代理店を通じて全国の医療施設に販売している。営業拠点は全国主要都市に6拠点を配置している。
2000年に輸入販売を開始した自動造影剤注入装置は、装置本体の市場シェアで50%、消耗品で同60%以上のシェアを占める競争力の高い商品となっており、同事業セグメントが高い利益率を維持している要因にもなっている。本体の導入医療施設は2015年3月末時点で約409施設となっており、国内での普及はほぼ一巡している。現在は消耗品販売が売上高の中心となっている。
エキシマレーザ血管形成システムは、2012年7月にコロナリー(冠動脈治療用)カテーテルの保険適用が開始されたことで普及が本格的に始まった製品で、2015年3月末時点の導入医療施設は69施設となっている。今後も下肢末梢動脈治療用など適用領域の拡大が期待できる医療機器となる。そのほか、PTAバルーンカテーテルについては朝日インテック<7747>の100%子会社であるフィルメック(株)に製造委託している。
○その他
その他事業セグメントには、脳神経外科関連商品や消化器関連商品、放射線防護用品、書籍等、主力事業である不整脈事業や虚血事業に属さない商品が含まれている。脳神経外科関連商品に関しては2010年に事業譲受した静岡の営業拠点を中心に展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1986年創業の医療機器専門商社で、2007年に株式を上場して以来、連続増収増益、実質増配を続けている。ディーブイエックス<3079>の事業は「不整脈事業」「虚血事業」「その他」と3つの事業に区分されている。2015年3月期の売上高構成比で見ると、「不整脈事業」が81.2%、「虚血事業」が15.3%と2事業で全体の96%以上を占めており、ここ数年この傾向は変わっていない。
セグメント利益の構成比を見ると「虚血事業」が28.4%と、売上高構成比と比較してやや高くなっている。この背景としては「虚血事業」が主に海外医療機器の独占販売権を持つ輸入総代理店として、国内の商社向けに医療機器を販売しており、価格支配力が強いことが考えられるが、マーケティングコストや薬事申請費用は同社が負担する。一方、「不整脈事業」はメーカーまたは商社から関連商品を仕入れて医療施設に販売するビジネスモデルであり、同じ製品を扱う競合企業があるため、価格競争が生じやすい事業環境となっている。こうした事業環境の違いが、両事業の利益率の差になっていると考えられる。
(1)「不整脈事業」
不整脈事業における主な取扱製品は、心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、CRT-D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)、検査用電極カテーテル、アブレーション(心筋焼灼術)カテーテルなどが挙げられる。
同社の取り扱う製品は専門的な技術知識を必要とされるだけでなく、サポート力も要求されるため、実際に製品を扱う医師と営業マンの信頼関係が取引上で最も重要視されている。不整脈関連製品を専門に扱う商社は少なく、経験豊富なベテラン営業マンを多く抱え、症例件数の多い医療施設での納入実績が高いことが同社の強みとなっているが、厚生行政が地域基幹病院に高度医療を集中させ医療の効率化を図ろうとしている方向性が、長期的に同社の好業績にも影響しているものと考えられる。
市場シェアは、関東エリアで40%、全国で20%とトップシェアとなっており、年々新規顧客を開拓しながら、市場シェアを拡大している(2008年度の国内シェアは13%)。新規顧客(医療施設)を開拓するきっかけとして一番多いケースは、顧客である医師が転勤するタイミングとなる。転勤先においても取引の継続を希望する医師が多く、転勤先の医療施設が新規顧客となっていく。このため、転勤先が地方の医療施設となり、同社の営業拠点がない場合は、事業計画上採算を考慮した上で、新たに出張所や営業所を開設し、顧客対応していくことになる。2015年3月期は宮崎に出張所を開設し、全国12拠点体制となった。同出張所の開設は、仕入先メーカーからの依頼によるもので、現地に有力な販売代理店がなかったことがその理由となっている。
○「虚血事業」
虚血事業における主な取扱製品としては、自動造影剤注入装置(製品名ACIST)、エキシマレーザ血管形成システム、PTAバルーンカテーテルなどがあり、同社が独占販売権を持ち輸入総代理店となって、販売代理店を通じて全国の医療施設に販売している。営業拠点は全国主要都市に6拠点を配置している。
2000年に輸入販売を開始した自動造影剤注入装置は、装置本体の市場シェアで50%、消耗品で同60%以上のシェアを占める競争力の高い商品となっており、同事業セグメントが高い利益率を維持している要因にもなっている。本体の導入医療施設は2015年3月末時点で約409施設となっており、国内での普及はほぼ一巡している。現在は消耗品販売が売上高の中心となっている。
エキシマレーザ血管形成システムは、2012年7月にコロナリー(冠動脈治療用)カテーテルの保険適用が開始されたことで普及が本格的に始まった製品で、2015年3月末時点の導入医療施設は69施設となっている。今後も下肢末梢動脈治療用など適用領域の拡大が期待できる医療機器となる。そのほか、PTAバルーンカテーテルについては朝日インテック<7747>の100%子会社であるフィルメック(株)に製造委託している。
○その他
その他事業セグメントには、脳神経外科関連商品や消化器関連商品、放射線防護用品、書籍等、主力事業である不整脈事業や虚血事業に属さない商品が含まれている。脳神経外科関連商品に関しては2010年に事業譲受した静岡の営業拠点を中心に展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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