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DVx Research Memo(3):前期は期初予想を上回る着地、全てのセグメントで増収

注目トピックス 日本株
■決算動向

(1) 2015年3月業績概要

ディーブイエックス<3079>の2015年3月期の業績は、売上高が前期比8.4%増の28,647百万円、営業利益が同10.2%増の1,429百万円、経常利益が同11.3%増の1,458百万円、当期純利益が同16.7%増の919百万円と上場来の増収増益を継続し、また、売上高、利益ともに期初会社計画を上回って着地した。

売上高は不整脈事業における主力商品の販売が順調に拡大したほか、虚血事業ではエキシマレーザ血管形成システムの関連消耗品(コロナリーカテーテルなど)が好調に推移した。また、その他事業でも脳外科関連商品の販売が拡大したことに加えて、大型医療機器が売上計上され、すべての事業セグメントで増収を達成した。なお、2014年春の保険償還価格改定による売上高への影響は、3.4%のマイナス要因となった。

営業利益率は5.0%と前期比0.1ポイント上昇し、目標としている4%台を確実に確保した。プロダクトミックスの変化(他社製虚血商品、脳外科商品などの増加)や為替の円安推移で売上原価率は前期比0.5ポイント悪化したものの、増収効果で販管費率が同0.6ポイント低下したことが寄与した。なお、円安の影響は営業利益で100百万円強の減益要因となった。

また、エキシマレーザ血管形成システムの新領域として治験を進めていた下肢末梢動脈治療用レーザカテーテルにかかる薬事費用は140百万円と前期比30百万円程度の減少となった。治験に関しては2015年4月までに予定の50症例をすべて終了しており、今後は経過観察などを経て薬事承認申請を行い、2017年の販売開始を予定している。

期初計画比での上振れ要因としては、売上高では主力製品の販売数量が順調に推移したことに加えて、脳外科関連商品の拡大や大型医療機器の売上が計上されたことが挙げられる。また、利益面では増収効果に加えて、治験費用が当初計画より若干抑えられたことが要因となっている。事業セグメント別の状況は以下のとおり。

○不整脈事業
不整脈事業の売上高は前期比7.7%増の23,268百万円、セグメント利益は同6.5%増の3,377百万円となった。当期は保険償還価格引き下げの影響があったものの、高齢者人口の増加を背景に循環器系疾患の患者数は年々増加傾向にあり、数量ベースでの拡大が続いていることが要因だ。また、当期は関西、広島、福井など首都圏以外のエリアの伸びが目立った。首都圏の売上高も伸びてはいるが、売上構成比では75%程度と3年前の80%から低下傾向にあり、新規顧客の開拓が順調に進んでいることがうかがえる。

主要商品別の売上動向を見ると、電極カテーテル(アブレーション機能付き)が前期比7.9%増の2,798百万円と順調に拡大したほか、2014年7月に新製品として発売された冷凍アブレーションカテーテル※1も379百万円と増収に貢献した。また、心腔内専用超音波カテーテル※2
も3Dマッピング方式の検査システムの普及とともに、同30%増の1,636百万円と2ケタ成長となった。
※1冷凍アブレーションカテーテル(メドトロニック製)・・・2014年7月に保険適用となった「カテーテル心筋冷凍焼灼術」で用いられるカテーテル。従来の高周波アブレーションと比べて手術時間が3分の2と短時間で済み、確実な心房細動治療が可能となる。発作性心房細動に有効とされる。
※2心腔内専用超音波カテーテル(J&J製)・・・不整脈の検査システムとして2010年に薬事承認が得られたJ&J製の3Dマッピングシステムで用いられる専用カテーテル。2011年に薬事承認が得られ、2014年3月期より普及拡大し始めた。

一方、ペースメーカは数量ベースでは横ばいだったものの、償還価格引き下げの影響で同5.8%減の2,743百万円となり、電極カテーテル(アブレーション用)は冷凍アブレーションカテーテルに需要が一部シフトした影響で、同2.9%減の1,138百万円となった。

同事業における利益率は14.5%と前期比0.2ポイント低下した。2014年4月に実施された診療報酬改定により、主要取扱商品の保険償還価格が引き下げられたことが影響したが、仕入れコストの低減も進めたことで、ほぼ前期並みの水準を維持した。

○虚血事業
虚血事業の売上高は前期比5.4%増の4,392百万円、セグメント利益は同1.0%減の1,391百万円となった。主力商品である自動造影剤注入装置(ACIST)用消耗品が堅調に推移したほか、冠動脈ステントなど一般の販売代理店商材も医師との人脈を持つキャリア人材採用に積極的に取り組んだことで新規顧客の開拓も進み、2ケタ増収と好調に推移した。

その他、売上構成比は10%弱とまだ小さいものの、コロナリー(冠動脈治療用)カテーテルも前期比90%増と大幅伸長を見せた。2012年7月に保険適用となって以降、本体のエキシマレーザ血管形成システムが全国の医療施設で導入が進んだことに加えて、2014年6月に新たに0.9mmの細径品が保険適用されたことが、需要増につながった。

なお、エキシマレーザ血管形成システムの医療施設への導入台数は2015年3月末で69台(前期末比3台増)と着実に増加したが、年間販売台数で見ると前期よりも減少しており、システム本体の売上高は減収となっている。

同事業の利益率は31.7%と前期比で2.0ポイント低下した。前述したように、円安による仕入れコストの上昇とプロダクトミックスの変化が影響した。プロダクトミックスの変化では、冠動脈ステントなど販売代理店商材の売上構成比が上昇したことが影響している。

○その他事業
その他事業の売上高は前期比53.2%増の986百万円、セグメント利益は同48.5%増の124百万円と大幅増収増益となった。脳外科関連商品(ステント、カテーテル等)の販売が好調に推移したことに加えて、大型医療機器であるシネ装置(循環器系X線撮影システム)の売上が上乗せされたことが主因だ。同事業においてもキャリア人材を採用した効果が大きく、特に浜松営業所(静岡)や福山出張所(広島)において同関連商品の売上が大きく伸びた。

セグメント利益率は12.6%と前年同期比で0.4ポイント低下したが、これは大型医療機器の利益率が低かったことに加えて、脳外科関連商材も相対的にまだ低水準にあることが要因となっている。ただ、脳外科関連商品に関しては中期的に注力分野の1つとして挙げており、今後は商材の拡充を進め、売上規模の拡大を図ることで仕入れコストを下げ、利益率を上げていく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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