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TOKAIHD Research Memo(5):既存顧客の光コラボサービスへの転用と新規顧客の開拓を推進

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

(1) 2016年3月期の業績見通し

TOKAIホールディングス<3167>の2016年3月期の連結業績は、売上高が前期比2.5%増の192,200百万円、営業利益が同13.8%減の7,760百万円、経常利益が同13.3%減の7,410百万円、当期純利益が同17.7%減の3,240百万円となる見通し。減益を見込んでいるのは、ブロードバンド事業で光コラボ推進に伴う販促費用を3,000百万円積み増すことが要因だ。

○光コラボサービスの収益への影響について
現在、ブロードバンドサービスの顧客件数は81万件で、全国に顧客基盤を持っているが、NTTの光通信回線の卸販売自由化に伴って、同業のISP事業だけでなく、NTTドコモなどの携帯キャリアが参入するなど、顧客獲得競争が激化している。こうしたなかで、同社では既存顧客の囲い込みを進めるため、光コラボサービスへの転用を進めていくほか、光コラボによる新規顧客の開拓も進めていく予定で、今期は顧客基盤の維持・拡大コストとして販促費3,000百万円を予定している。

ブロードバンドサービスでの顧客内訳としては、既存顧客の転用一体型(光コラボサービスへの切り替え)で26万件、新規顧客の獲得で6万件を見込んでいる。ただ、既存顧客の光コラボサービスへの切り替えは一気に進むのではなく、段階的に進むものと想定しており、2018年3月期でも従来契約(ISPのみ)の顧客が全体の約4割程度残るとみている。

同社の光コラボのサービス料金に関しては、月額5,100円と業界最低水準に設定している。また、6月までに新規加入契約した場合には1年間限定で4,600円の料金設定を行っている。同社の売上高としては、従来はISPの月額料金1,200円だけを計上していたが、光コラボ契約者では月額5,100円と従来に比べて売上高が4倍強になる計算で、増収インパクトは大きい。

一方、利益面に関してみれば光通信回線の仕入れ価格にもよるが、ISP単独の場合と比較して粗利益でおよそ1.5倍増加するとみられる。このため、光コラボの契約比率が今後上昇してくれば、売上粗利益率では低下要因となるが、粗利益の絶対額では増加要因となる。1契約当たりの顧客獲得コストが従来と同程度であったとすれば、利益へのインパクトも大きいと言えよう。

2016年3月期のブロードバンド事業の営業利益は、販促費用を30億円積み増すため、前期比27億円減の7億円となる見通しだが、2018年3月期はこれら費用が一段落することにより営業利益は31億円まで回復、その後は増益基調が続くとみている。

○事業セグメント別の今期業績見通し

ガス・石油事業の売上高は前期比7.5%減の861億円、営業利益は同2億円増の79億円と減収増益を見込んでいる。顧客件数に関しては南東北エリア(2016年度予定)、愛知など営業圏を拡大していくことに加えて、M&Aなども活用することで前期比13千件増の639千件と7期ぶりの増加を見込んでいる。

LPガス業界では中小事業者が数多く存在するが、今後は市場環境の変化(電力、通信など複数サービスとのセット販売による価格競争激化)により、大手資本への集約が進むものとみられている。同社も顧客基盤拡大のためM&Aを進めていく方針としている。

顧客件数が増加するにも関わらず減収を見込んでいるのは、仕入価格の低下に伴い今期も販売価格の引き下げを予定しているためだ。一方、増益要因としては引き続き合理化効果で11億円程度を見込んでいる。

情報通信サービス事業の売上高は前期比17.7%増の472億円、営業利益は同23億円減の27億円を見込んでいる。前述したようにブロードバンド事業が減益となるものの、法人向け通信サービスやシステム開発需要は引き続き好調に推移する。顧客件数はブロードバンド事業で前期比18千件増、モバイル事業で同5千件増を見込んでいる。

CATV事業の売上高は前期比1.8%増の248億円、営業利益は同1億円増の18億円と堅調推移を見込む。顧客件数は通信と放送サービスのセット販売を強化していくことで、前期比22千件増の712千件と2期ぶりに増加に転じるとみている。

アクア事業に関しては売上高が前期比17.0%増の58億円、営業損失が10億円と同3億円の改善を見込んでいる。前期から引き続き関西エリアを中心に北陸、中国エリアなどで営業体制の強化を進めることで、顧客件数は前期比16千件増の146千件に拡大していく。

また、建築・不動産事業の売上高は前期比13.4%増の227億円、営業利益は同4億円増の14億円と回復を見込んでいる。今期は新築戸建事業に注力していくほか、リフォーム事業の回復も見込んでいる。リフォーム事業に関してはLPガス事業の営業エリア拡張と合わせて、顧客情報の共有を進めながら受注獲得を進めていく戦略だ。

その他部門に関しては売上高が前期比12.3%増の56億円、営業損失は51億円と同1億円の悪化を見込んでいる。売上高に関しては介護事業が引き続きけん引する格好となる。

○主要財務諸表の動向
2016年3月期も財務内容の改善傾向は続く見通し。設備投資額が152億円と前期比で56億円増加するが、これはCATV事業での光化投資や需要が旺盛な法人向け通信サービス事業での伝送設備の増強投資、LPガス事業における営業権の取得費用等を織り込んでいる。設備投資の増加に伴い、償却費に関しては前期比3億円程度の増加を見込んでいる。

設備投資は増加するものの営業キャッシュフローの範囲内であり、フリーキャッシュフローは黒字の状態が続き、余剰資金を有利子負債の削減に充てていく予定だ。このため、今期末の自己資本比率は26.1%と前期末比で0.4ポイント程度の上昇となる見通し。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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