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ハウスコム Research Memo(3):自社管理物件を持たず、客付け業務に特化

注目トピックス 日本株
■会社概要

ビジネスモデル
ハウスコム<3275>のビジネスモデルは直営店の展開が基本となる。店舗数が増えると仲介の成約件数も増え、周辺サービスも含めた事業規模が拡大する。ただし、出店時の費用や成長途上の期間の負担があるため、年間の出店可能数は10店舗前後が適切なペースである。同社の出店のモデルケースでは、おおむね出店から2年目に営業収益が増加し、5年目には高位安定するという成長軌道を描く。2015年3月期の1〜4年目の店舗の比率は21%であり、この比率を維持することを目指して店舗網を拡大しながら、並行して、将来的な成長率の低減に備えて新商品や新規事業の開発を進めることが同社の基本戦略だ。

仲介業務の流れに沿って、同社の特徴・強みを考察する。賃貸住宅の紹介の場合、紹介できる物件の量と質が生命線になるが、この確保・維持のためには物件の所有者や管理不動産会社との関係の構築が欠かせない。同社は自社管理物件を持たず、客付け業務に特化しているため、同業他社からも物件を取得できる。また親会社である大東建託はグループで管理している賃貸物件がUR賃貸の数を上回る“日本一の大家さん”でもあり、物件情報獲得上の強固な情報チャネルを保有していると言える(なお、成約数に占める大東建託物件比率は約17%であり、その他の物件は提携不動産会社や地域の家主によるものである)。

消費者の物件選びにおいてインターネットの重要性は増しているが、取り扱い物件が豊富な同社はインターネット上の露出でも優位性を持つ。大手ポータルサイト(HOME’S、SUUMO、アットホーム)をはじめとする12のポータルサイトに物件が掲載されており、同社掲載件数シェアはHOME’Sで12%、SUUMOで同7%、アットホームで同12%と、インターネット媒体での露出において業界トップクラスだ(2015年5月時点)。それに伴い、問い合わせのメール反響数も伸びており、2015年3月期は前年比で15%増となった。

実際に客付を行う店舗の営業活動においては、全店舗が直営店でありながら、画一的な統一オペレーションを取っていないことが特徴的である。地域密着を重視する方針を打ち出しており、販促・広告においても地域特性に合った方法を選択し、また、店舗での接客も地域の実情に応じたやり方で行うようにしている。不動産取引は地域性が強く、マニュアル化したオペレーションや本部から店舗への上意下達による中央集権的店舗運営では、十分な集客や顧客満足は得られず、競争力を持つことができないという考えによるものである。多店舗を運営しながら、各店舗・エリアがそれぞれ行う取組みを全社方針の下に適切にコントロールすることについては、独自のノウハウを持つ。

見込み客の来店に際しては、コンビニのように明るく入りやすい店舗づくりを目指している。グループ企業の情報網により顧客に対してより多くの物件を紹介でき、営業社員の教育を徹底できるのも、全国に直営店を展開する同社ならではの強みだ。

2008年3月期からの7年間で113店舗から143店舗に拡大した中で、1店当たり成約件数は、約460件/年前後を維持している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



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