テクマトリックス Research Memo(8):ストックビジネスが拡大、利益率はさらに上昇へ
[15/06/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中期経営計画「TMX 3.0」
(2)目標数値の検証
最後に目標数値の信憑性に関して考察する。戦略では、医療関連分野の赤字が解消され、売上と利益の両面で拡大のけん引役に加わる。その他の分野の売上高は引き続き従来どおりの伸びを続け、利益面ではストックビジネスの拡大により利益率がさらに上昇するというシナリオである。結論から言えば、計画達成の信憑性はかなり高いと考えられよう。
まず、医療分野に関してだが、PACSのクラウド市場の拡大と正比例して収益が伸びていくシナリオを描いている。実際、市場が急拡大するという予測がある。矢野経済研究所の「2014年版医用画像システム(PACS)・関連機器市場の展望と戦略」(2014年12月)では、2014年3月期末のPACSの導入実績は241施設だったが、その後は右肩上がりに導入が進み、2018年3月期末には累計で775施設、2019年3月期末には累計で900施設の導入が見込まれると予測している。これは、政府の医療改革に伴って中小規模の医療機関の導入が加速するとみられるためである。既に説明したとおり、テクマトリックスはこの分野において高シェアを維持しており、市場の伸びに比例して売上高を伸ばしていく可能性は高い。
次に、その他の分野の売上高に関しても引き続き従来どおりの伸びを続ける可能性が高いと考えてよかろう。例えば、情報基盤事業やCRM分野の売上高は、景気回復に伴う民需の増加に加え、サイバー攻撃に対する防御のためのセキュリティサービス、マイナンバー導入に伴うシステム投資など、官需の更なる拡大も期待できる。
しかし、これらの受注予測だけが中期経営計画の目標数値の裏付けになっているわけではない。実は、目標数値は各事業部の現場から達成可能と判断した数値をもとに作成されている。一部の企業でみられるような経営陣の意欲が先行して作成されたものではない。代表取締役社長の由利孝(ゆりたかし)氏への取材によれば、各現場から集計された数字の合計は公表した目標数値よりも高く、経営側が調整し直したという。
テクマトリックス<3762>によれば、「次世代のITサービスクリエイター」及び「次世代のITサービスプロバイダー」への変革という構造改革が進んだことにより、企業内が“筋肉質”の体制になったそうである。“筋肉質”になった現場の確かな感覚に基づいた目標値であるということが何よりも計画達成の信憑性の高さの裏付けと言えよう。
中期経営計画の戦略が向こう30年先を見据えているのも、目標数値は現場サイドが事実上作成しており、戦略部分は経営陣が作成したものであるためである。数値は、この戦略に沿って現場が“達成可能”と表明したというのが、今回の中期経営計画なのである。
中期経営計画の目標数値には実は「売上高営業利益率10%への挑戦」が掲げられている。“10%”は、由利社長が長年、心中に温めてきた目標の1つである。しかし、今回は“挑戦”にとどめている。現場の意思を尊重した結果と見られなくもない。
ただ、この中期経営計画からは、経営陣と現場とが良い関係で事業を進めている現状が垣間見られる。このような経営環境の中だからこそ、意欲的な目標数値に加え、「次の30年」という将来も見据えた戦略が提示されたと言え、投資家は中・長期の両方の分析資料を得たと考えられる。今後は、この中期経営計画の進捗に注目しながら、中・長期的な視点からの投資が今まで以上に求められよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
<HN>
(2)目標数値の検証
最後に目標数値の信憑性に関して考察する。戦略では、医療関連分野の赤字が解消され、売上と利益の両面で拡大のけん引役に加わる。その他の分野の売上高は引き続き従来どおりの伸びを続け、利益面ではストックビジネスの拡大により利益率がさらに上昇するというシナリオである。結論から言えば、計画達成の信憑性はかなり高いと考えられよう。
まず、医療分野に関してだが、PACSのクラウド市場の拡大と正比例して収益が伸びていくシナリオを描いている。実際、市場が急拡大するという予測がある。矢野経済研究所の「2014年版医用画像システム(PACS)・関連機器市場の展望と戦略」(2014年12月)では、2014年3月期末のPACSの導入実績は241施設だったが、その後は右肩上がりに導入が進み、2018年3月期末には累計で775施設、2019年3月期末には累計で900施設の導入が見込まれると予測している。これは、政府の医療改革に伴って中小規模の医療機関の導入が加速するとみられるためである。既に説明したとおり、テクマトリックスはこの分野において高シェアを維持しており、市場の伸びに比例して売上高を伸ばしていく可能性は高い。
次に、その他の分野の売上高に関しても引き続き従来どおりの伸びを続ける可能性が高いと考えてよかろう。例えば、情報基盤事業やCRM分野の売上高は、景気回復に伴う民需の増加に加え、サイバー攻撃に対する防御のためのセキュリティサービス、マイナンバー導入に伴うシステム投資など、官需の更なる拡大も期待できる。
しかし、これらの受注予測だけが中期経営計画の目標数値の裏付けになっているわけではない。実は、目標数値は各事業部の現場から達成可能と判断した数値をもとに作成されている。一部の企業でみられるような経営陣の意欲が先行して作成されたものではない。代表取締役社長の由利孝(ゆりたかし)氏への取材によれば、各現場から集計された数字の合計は公表した目標数値よりも高く、経営側が調整し直したという。
テクマトリックス<3762>によれば、「次世代のITサービスクリエイター」及び「次世代のITサービスプロバイダー」への変革という構造改革が進んだことにより、企業内が“筋肉質”の体制になったそうである。“筋肉質”になった現場の確かな感覚に基づいた目標値であるということが何よりも計画達成の信憑性の高さの裏付けと言えよう。
中期経営計画の戦略が向こう30年先を見据えているのも、目標数値は現場サイドが事実上作成しており、戦略部分は経営陣が作成したものであるためである。数値は、この戦略に沿って現場が“達成可能”と表明したというのが、今回の中期経営計画なのである。
中期経営計画の目標数値には実は「売上高営業利益率10%への挑戦」が掲げられている。“10%”は、由利社長が長年、心中に温めてきた目標の1つである。しかし、今回は“挑戦”にとどめている。現場の意思を尊重した結果と見られなくもない。
ただ、この中期経営計画からは、経営陣と現場とが良い関係で事業を進めている現状が垣間見られる。このような経営環境の中だからこそ、意欲的な目標数値に加え、「次の30年」という将来も見据えた戦略が提示されたと言え、投資家は中・長期の両方の分析資料を得たと考えられる。今後は、この中期経営計画の進捗に注目しながら、中・長期的な視点からの投資が今まで以上に求められよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
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