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ネットイヤー Research Memo(6):人的リソースの確保で営業強化、自社プロダクトも比率50%を目指す

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

(1)現状の課題と2016年3月期の取り組み方針

ネットイヤーグループ<3622>は現状の経営課題として、2つのポイントを挙げている。1つ目は、デジタルマーケティング分野における企業の投資意欲が活発化するなかで、人的リソースの不足により、その需要を十分取り込めていないことである。2015年3月期の業績は売上高、営業利益と過去最高を更新したが、これはオムニチャネル関連の大型案件が寄与したことによるものであり、同案件の対応に人的リソースが割かれたことで、新規顧客の開拓が十分できなかった。

こうした課題を解決するため、同社では今期も新規人材採用並びに、営業体制の強化を積極的に進めていく計画を立てている。具体的には、グループ人員で前期末の372名から467名と、約100名の増員(うち、新卒15名を採用)を計画している。特に受託分野における採用強化を進めていく方針だ。人材採用及び教育の強化を目的として、組織体制も2015年4月より人事部を新たに作り(従来は人事総務部)、人事採用のスペシャリストをマネージャーとして採用するなど、本格的に人員の拡大を進めていく。

また、2つ目の課題として自社プロダクト比率(他社製品含む)が伸び悩んでいることを課題として挙げている。同社では中長期戦略として自社プロダクト品の売上高構成比率を50%程度まで引き上げていくことを目指しており、現状は売上高こそ伸びてはいるものの、成長スピードに関しては期待値を下回っていると考えている。このため、今期は新サービスやプロダクト開発に特化した組織を新たに立ち上げ、同領域の売上拡大を加速化していく方針で、売上構成比率としては10%超を目指していく。

新組織としては、2015年4月よりオムニチャネルクラウド事業部とデジタルビジネスデザイン事業部を新たに立ち上げ、両事業部で10数名を配置した。オムニチャネルクラウド事業部では、Salesforce社のマーケティングオートメーションツールである「Salesforce Marketing Cloud」を販売する営業部隊となる。オムニチャネルへの投資は考えているが、本格的な投資にはコストがかかりすぎるため、まず簡易的なオートメーションツールを導入して、その効果を分析したい顧客(大企業から中堅企業)向けに需要があるとみている。

「Salesforce Marketing Cloud」は世界で1万社超の企業が導入しているマーケティングオートメーションツールで、会社の規模や体制に合わせて、「メールの最適化」からWebやモバイル、SNSへの拡張も可能な製品となっている。同ツールは機能が多岐にわたっているため、顧客ニーズに応じた最適なパッケージに構成し直し、販売していく格好となる。初年度に30社への導入を目指している。

一方、デジタルビジネスデザイン事業では、自社の顧客基盤を持っていない中小店舗向けのマーケティングオートメーションツールの開発、販売を担う事業部となる。オムニチャネル戦略は企業にとって重要なマーケティング戦略ではあるものの、システムを最初から構築するには膨大な投資額が必要となる。このため、前期のような大型案件が継続的に発生する市場環境にはいまだなく、オムニチャネル領域の売上を拡大していくためには、中堅、中小企業も含めた顧客層の拡大が重要と考えている。

中小店舗向けなどローエンド層に関しては簡易的なオートメーションツールを自社で開発し、2015年度上期中のリリースを予定している。例えば、店舗ごとに販促のための広告情報をスマホアプリで簡単に作成し、配信できるようなサービスが考えられる。

同社ではオムニチャネル関連の受託サービスのノウハウを活かせることもあり、今後も同領域の拡大を進めていく方針としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)



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