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ビューティ花壇 Research Memo(8):中長期的に経常利益5億円、東証1部指定を目指して業績向上を図る

注目トピックス 日本株
■中期経営計画とその進捗

ビューティ花壇<3041>は、経常利益500百万円と東証1部への上場を中長期的な目標に掲げ、スケールメリットの追求や業界を束ねる企業体力を養うことにより、主導的な立場で業界再編を手掛ける構想を描いている。しかしながら、その構想自体に大きな見直しはないものの、想定以上に急激な単価下落による業績の落ち込みへの対応を図るため、新たに中期経営計画「Revival & Growth 2017」を策定した。初年度となる2015年3月期からの3ヶ年を業績回復及び向上への期間と位置付けており、最終年度の2017年3月期には、売上高8,000百万円、営業利益250百万円(営業利益率3.1%)にまで業績回復を図る計画である。

同社グループのコア事業であり、強みを生かせるカテゴリーである生花事業(生花祭壇事業、生花卸売事業、ブライダル装花事業)に最大限注力するとともに、新規事業への投資については、成長性と収益性の期待できる事案に限定することで収益拡大を図ることを事業方針に掲げ、「ブランド力の再強化」「継続的な事業発展に向けた経営体制の強化」「既存事業の再構築と成長事業の更なる収益強化」「徹底したコストダウンによる筋肉質な企業体質への変革」「人材育成と新たな人事制度構築」など、将来の成長に向けた構造改革に取り組む内容となっている。


各事業における施策とその進捗については以下のとおりである。

(1)主力の「生花祭壇事業」については、単価下落への対応策として、採算の取れる低価格商品の開発により、同社独自の市場を創造するとともに、原価低減による収益力の強化を図ることで業績回復とシェア拡大を目指している。

具体的には、グループシナジーを生かした機動的かつ最適な調達に加えて、パート社員の活用による原価低減、子会社ビンクとの連携による収益力の強化に取り組んでいる。2015年6月期第2四半期におけるパート社員比率は45.9%(前年同期は40.7%)に上昇した。また、これまでは外部の人材派遣会社に委託していた業務を、ビンクへ切り替えることによる収益機会の取り込み(内製化)を進めており、その効果も徐々に出始めているようだ。

2014年9月にはグループ法人営業課を新設した。生花祭壇だけでなく、グループの商品・サービスも含めた提案力(システム開発やコンサルタント業務との一体となった提案等)を高めることで、新規顧客の獲得やリテンションの向上、顧客のライフタイムバリューの拡大に結び付けていく戦略である。また、生花祭壇商品についても、顧客ニーズを捉えた積極的な商品開発と提案力の強化に取り組んでいる。

(2)「生花卸売事業」は、マイ・サクセスとのシナジー創出による競争力の強化及びシェア向上を目指している。具体的には、生花輸入業務をマイ・サクセスに移管、一本化することにより、業務の効率化や大量仕入れによるコストダウンを追求する施策に取り組んでいる。2014年12月に移管業務が完了したことから、第3四半期以降、徐々に効果が現われるものとみられる。

(3)「ブライダル装花事業」は、積極的な店舗展開により好調に推移しているが、今後も大都市圏(東京・大阪)に加えて、同社グループ拠点をベースとしたエリア展開を行う方針であり、市場開拓の余地は大きいとみている。また、銀座(2014年10月オープン)及び葉山(2015年2月オープン)の2会場(ゲストハウスウェディング)で生花装飾の独占業務委託契約を締結し、年間売上高目標70百万円を見込んでいる。

(4)「土木・建設事業」は、2015年5月27日付で昇建設の株式譲渡により撤退となった。そもそも、2014年12月に同社グループが手掛ける造園施設の企画・設計・監理業務とのシナジー創出を視野に入れた事業であったが、現時点で他事業との協働機会に乏しく、また業績寄与も大きくないことから、コア事業である生花事業への「選択と集中」の方針に基づき、株式譲渡(事業撤退)を決断したものと考えられる。

(5)「その他事業」は、コア事業とのシナジー創出が期待できるシステム開発事業(システムハウス福知山)や、一般労働者派遣業(ビンク)、冠婚葬祭に関する企画並びにコンサルタント業務(セレモニーサービス)等を中心として、コア事業と一体となった業績貢献を目指していく方針としている。

弊社では、厳しい市場環境に直面する同社にとって、この3ヶ年が正念場となるとみている。ただ、これを機に収益構造の変革と新たな市場の創造により業績を回復することができれば、むしろ、業界淘汰の進展と残存者利益の享受により、業界再編を手掛ける構想に近づく可能性もあると捉えている。したがって、今後も、構造改革の進捗と業績回復の足取りのほか、業界動向にも注目しておきたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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