アーキテクツS Research Memo(1):攻めのIT経営で日本最大の建築家ネットワーク構築
[15/07/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
アーキテクツ・スタジオ・ジャパン<6085>は、2007年に建築家ネットワーク事業の運営を目的として大阪市に誕生した。現在、日本最大の建築家ネットワークを運営しており、2015年3月期末時点の登録建築家は全国の建築家の半数を超える2,643名に達した。また、施主と建築家、建設会社が打ち合わせをするスタジオは、全国で200ヶ所を超える。
これまで建築家が設計する注文住宅は、ボリュームゾーンの価格帯を希望する施主にとっては敷居が高く、高値の花であった。同社は、同価格帯でも建築家との家づくりを可能とするプラットホームを構築した。会員は無料で好みの建築家からプランの提案を、期間・回数の制限なく受けられる。登録建築家は、加盟建設会社が開催するイベント会場で、多くの見込み客と巡り合う機会が得られる。また、地理的制約が緩和され、活躍の場が全国に広がる。加盟建設会社は、顧客への訴求力が高い建築家の設計した住宅の施工を手掛けるため、営業面でのサポートを得ることになる。さらにこれまでの施主、建築家及び建設会社のWin-Win-Winの関係を、2016年3月期から建材メーカーに広げていく方針だ。
2013年12月に東証マザーズに上場したが、上場メリットを享受している。上場会社として住宅設備機器及び建材メーカーとの直接取引が可能になった。一次代理店として、加盟建設会社に代わって特定の建材を集中購買するスキームを開始することにより、購買面での大幅なコスト削減が見込まれる。また、採用の面でも好影響が出ており、人的リソースの拡充により、本部機能をサポート的なものから、成約率向上のためのコーチングなど、より積極的な役割に拡大する。これによりプラットホームのオペレーションのレベルが、一段と高いステージに移行することが期待されている。
自社開発の積算ソフトウェアの性能向上が著しく、手計算ならば2〜3週間、従来のシステムで1〜2時間かかる処理時間を、わずか1〜2分に短縮した。施主とコンピュータの画面を見ながら、部材の変更などによる建築費の再計算が瞬時に可能になるため、会員の予算内に収まる提案をまとめられるようになる。新しい積算ソフトウェアの評価は極めて高く、加盟会社以外の建設会社からも利用の要望が寄せられている。現在、事業化を検討しており、収益源の多様化に寄与することになろう。同社の競争優位性や新サービスを生み出す源泉はITの利活用であり、「攻めのIT経営」を行っている。
2014年度は持家の新設住宅着工数が前年度比16.0%減少するなど需要が減少しているなかで、円安などの影響を受け建材費が高騰するという厳しい事業環境であった。同社の2015年3月期の業績は、売上高が前期比8.3%減、経常利益が同64.6%減少した。2016年3月期は、2015年3月期の期ズレ案件を確実に売上高に計上し、諸施策で新規契約を積み上げ、前期比37.7%の増収、5.6倍の経常利益を見込んでいる。
■Check Point
・多様性に富む、「共感と感動」を呼ぶ建築家との家づくりを実現する
・本部一括仕入れと最新積算システムの融合でコスト競争力を強化
・IT技術を競争力の源泉とする「攻めのIT経営」
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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これまで建築家が設計する注文住宅は、ボリュームゾーンの価格帯を希望する施主にとっては敷居が高く、高値の花であった。同社は、同価格帯でも建築家との家づくりを可能とするプラットホームを構築した。会員は無料で好みの建築家からプランの提案を、期間・回数の制限なく受けられる。登録建築家は、加盟建設会社が開催するイベント会場で、多くの見込み客と巡り合う機会が得られる。また、地理的制約が緩和され、活躍の場が全国に広がる。加盟建設会社は、顧客への訴求力が高い建築家の設計した住宅の施工を手掛けるため、営業面でのサポートを得ることになる。さらにこれまでの施主、建築家及び建設会社のWin-Win-Winの関係を、2016年3月期から建材メーカーに広げていく方針だ。
2013年12月に東証マザーズに上場したが、上場メリットを享受している。上場会社として住宅設備機器及び建材メーカーとの直接取引が可能になった。一次代理店として、加盟建設会社に代わって特定の建材を集中購買するスキームを開始することにより、購買面での大幅なコスト削減が見込まれる。また、採用の面でも好影響が出ており、人的リソースの拡充により、本部機能をサポート的なものから、成約率向上のためのコーチングなど、より積極的な役割に拡大する。これによりプラットホームのオペレーションのレベルが、一段と高いステージに移行することが期待されている。
自社開発の積算ソフトウェアの性能向上が著しく、手計算ならば2〜3週間、従来のシステムで1〜2時間かかる処理時間を、わずか1〜2分に短縮した。施主とコンピュータの画面を見ながら、部材の変更などによる建築費の再計算が瞬時に可能になるため、会員の予算内に収まる提案をまとめられるようになる。新しい積算ソフトウェアの評価は極めて高く、加盟会社以外の建設会社からも利用の要望が寄せられている。現在、事業化を検討しており、収益源の多様化に寄与することになろう。同社の競争優位性や新サービスを生み出す源泉はITの利活用であり、「攻めのIT経営」を行っている。
2014年度は持家の新設住宅着工数が前年度比16.0%減少するなど需要が減少しているなかで、円安などの影響を受け建材費が高騰するという厳しい事業環境であった。同社の2015年3月期の業績は、売上高が前期比8.3%減、経常利益が同64.6%減少した。2016年3月期は、2015年3月期の期ズレ案件を確実に売上高に計上し、諸施策で新規契約を積み上げ、前期比37.7%の増収、5.6倍の経常利益を見込んでいる。
■Check Point
・多様性に富む、「共感と感動」を呼ぶ建築家との家づくりを実現する
・本部一括仕入れと最新積算システムの融合でコスト競争力を強化
・IT技術を競争力の源泉とする「攻めのIT経営」
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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