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アーキテクツS Research Memo(4):家づくりの流れを変えたASJアカデミー(2)

注目トピックス 日本株
■会社概要

○登録建築家 ? 全建築家の半数以上が登録
2015年3月期末の登録建築家は2,643名になり、国内外で有名な建築家から新進気鋭の若手まで、日本の建築家の約半数以上が登録されている。登録建築家数は、この5年間で7割以上増えた。デザインは、和風、モダン、カジュアルなど多様であり、価格も高額からボリュームゾーンまでと幅広い。建築物も、戸建て新築住宅に限定されず、増改築・リフォーム、医療施設、マンション・収益物件、店舗・商業施設、高齢者住宅、セカンドハウス・別荘、エコ住宅と多種多様である。

アーキテクツ・スタジオ・ジャパン<6085>はホームページ上で、登録建築家の受賞や雑誌への掲載、テレビ番組の紹介をしている。それらは、2015年の最初の5ヶ月だけで30件以上を数える。

○スタジオ ? 全国250ヶ所を目標とする
スタジオは、会員、登録建築家及び加盟建設会社の相談・打合せスペースであり、登録建築家との個別相談、各種セミナーなどの開催にも利用される情報サロンである。加盟建設会社は、原則として20万〜30万世帯の商圏を1エリアとしてスタジオを開設する。北は北海道から南は沖縄までをカバーしている。ASJアカデミーは、注文建築が盛んな沖縄でのプレゼンスが高い。

スタジオは、プラニングコースを遂行する場所である。設計契約(建築家フィー)や建設工事請負契約(スタジオロイヤリティ)やイベント開催(マーケティング)と、同社の主要な収益を生む重要な拠点となる。2015年3月期末のスタジオ数は203と5年間で36%増加した。中期計画では、2018年3月期までにスタジオ数を250に拡大することを目標としている。

2015年3月期におけるイベント開催回数は、610回であった。イベントは、スタジオ単位で行われる。加盟建設会社は、地元の公営施設などを利用して、年3〜4回、土曜日と日曜日などの2〜3日間にわたり開催する。同社担当者は、イベントの開催時期・内容を精査して、登録建築家に開催の告知をする。参加を希望する建築家と協議のうえ、1イベント当たり8〜10人に絞り込む。集客には、営業エリア内で新聞の折り込みチラシなどを利用している。

イベントなどの費用は、年3棟の施工で回収できる。同社としては、1スタジオ当たり年10棟の規模に拡大することを望んでいる。建設会社の業務全体に占める同社工事の割合が高まれば、建設会社の業績へのインパクトが大きくなり、熱意も高まることになる。

同社の関与が中間マージンを増やすため、総建築費をかさ上げすると危惧する意見が、ネット上に書き込まれている。設計契約及び請負契約に掛かる同社のロイヤリティは、全体の4%弱に相当する。しかし、これまで述べたように、同社の構築したプラットホームを活用することで建築家との注文住宅がボリュームゾーンでも可能になった。同社は、バリューチェーンの弱い箇所を、地道に補強して全体のバリューが高まるようにしている。構造計算のオーバースペックに起因するコンクリート基礎の割高のコストの是正などにも動いている。

大手ハウスメーカーは、住宅の生産を工業化して性能の向上とコストダウンを追求してきた。それらの成果は、必ずしも売価の低下には結びついていない。価格を引き下げるより、その時々に人気化している新機能の追加や営業の強化に充てるためである。最大手のハウスメーカーの請負戸建の1棟当たり売上高金額は、2014年度に3,566万円となり、5年前と比べ450万円増加した。1棟当たりの面積は140平米であり、1%も大きくなっていない。その結果、坪単価は5年前の74万円から84万円へ上昇した。部分的には、坪単価の高い、3階建住宅などに注力していることが影響していることもあるようだ。

同社の2015年3月期の建設工事請負契約の平均単価は、3,491万円であった。大型物件が含まれており、2,500万円から3,000万円のボリュームゾーンが件数ベースで全体の4分の3を占めた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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