アールシーコア CORPORATE RESEARCH(5/10):消費増税前の駆け込み需要の反動は一巡
[15/07/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
−第2部− 前年度決算と経営環境
前年度決算 〜概況〜
アールシーコア<7837>が発表した前期(2015年3月期)の決算は、売上高が前期比△146百万円(△1.2%)の11,941百万円、営業利益が同△220百万円(△24.5%)の677百万円、経常利益が同△227百万円(△24.9%)の681百万円、最終利益が同△154百万円(△26.8%)の422百万円であった。
前々期(2014年3月期)は売上高で2期連続の過去最高を記録し、営業利益・経常利益も3期連続、また、最終利益についても2期連続で過去最高を更新したが、前期は前々期に示現した消費増税前の駆け込み需要の反動が大きく表れた数字となった。
しかし、2014年12月、2015年3月と月間契約戸数が過去最高を更新したことから、消費増税前の駆け込み需要、及びその反動による落ち込みの影響は一巡したと考えられ、第3四半期以降の経営指標は、今後に期待を抱かせるものであった。
同社の決算数値を検証する前に、「消費増税と業界動向」、「住宅関連マクロ指標」及び「住宅販売会社の売上高」について述べることとする。
消費増税と業界動向
住宅販売会社に大きな影響を与えた消費税を巡る動きをまとめると、2012年8月に当時の民主党野田政権が早期の衆議院解散・総選挙を前提に自民党・公明党との合意にこぎつけたことにより国会において可決され、その後、自民党安倍首相が2013年10月1日に2014年4月からの税率引き上げを正式に表明した。
この間の住宅販売会社の動向としては、野田政権での法案通過後、緩やかに受注件数の増加が始まり、安倍政権下での2013年4月以降にさらに増加ペースが高まり、大手社の受注金額は対前年同月比で+20%程度にまで増加した水準となった。その後、増税を安倍首相が決断したとマスコミにおいて盛んに報道されるようになった2013年8月、9月に駆込み需要は一気に高まり、各社は大きく受注金額を増加させたが、10月以降はその反動で受注金額が一転して減少し、各社ともに2013年10月−2014年3月(2013会計年度下期)は大きく受注・契約高が減少した。
また、国民に信を問う形で2014年末に安倍政権が衆院を解散し、行われた選挙で与党が圧勝した結果、2015年度税制改正関連法案が2015年3月31日に参院本会議でも可決され、2017年4月から消費税率が10%へと再度引き上げられることが確定した。
住宅販売を巡るマクロ指標の推移
国土交通省が発表している2014年度の新設住宅着工件数は882千戸となり、前年度の987千戸から減少し、その減少率も10.6%と大きなものとなった。因みに2013年度の対前年度増加率も10.6%であったことを考えると、2014年度は2012年度よりも着工件数が少なかったことになる。単月着工件数も2014年3月から2015年2月までのちょうど1年間にわたり対前年同月比の数字を下回る状態が続き、2015年3月に同数値は+0.7%と13ヶ月ぶりにプラスに転じた。
新設住宅着工件数は、実は月による季節性が高い。そのため、野田政権で消費税率引き上げが閣議決定された2012年8月以前の月別の5年平均戸数を算出し、その後の新設住宅着工件数が月別5年平均をどのくらい上回るペースであったのかをグラフにしたのが図表1である。
これにより住宅販売会社が2014年度、非常に厳しい経営環境にあったことが分かるが、RCC社の経営環境については、同省が発表する月別着工新設住宅(持家・木造・総計)(戸数)(以下、「新設木造戸建持家」)の方がより的確に反映している。
この、新設木造戸建持家戸数は、2014年度235千戸と前年度の298千戸から63千戸も減少し、減少率は21.3%と新設住宅着工件数の減少率10.6%よりも大きなものとなった。月別の対前年同月比も2015年3月現在で13ヶ月連続のマイナスとなっている。この着工件数の推移を表したものが図表2であり、
これを、新設住宅着工件数と同じく、野田政権で消費税率引き上げが閣議決定された2012年8月以前の月別の5年平均との比較を行ったグラフが図表3となる。
これにより、2014年度のRCC社を巡るマクロ環境は同業の住宅販売会社よりも厳しかったことが窺える。
この2つの指標と同社の契約高、売上高、2008年度以降の決算を発表している同業24社の売上高をまとめたのが図表4であるが、同社の2014年度の契約高の落ち込みは、新設戸建持家戸数全体の落ち込みよりは軽微であり、全体の新設住宅着工並みであったことが分かる。
スプリングキャピタル株式会社 井上 哲男
<HN>
前年度決算 〜概況〜
アールシーコア<7837>が発表した前期(2015年3月期)の決算は、売上高が前期比△146百万円(△1.2%)の11,941百万円、営業利益が同△220百万円(△24.5%)の677百万円、経常利益が同△227百万円(△24.9%)の681百万円、最終利益が同△154百万円(△26.8%)の422百万円であった。
前々期(2014年3月期)は売上高で2期連続の過去最高を記録し、営業利益・経常利益も3期連続、また、最終利益についても2期連続で過去最高を更新したが、前期は前々期に示現した消費増税前の駆け込み需要の反動が大きく表れた数字となった。
しかし、2014年12月、2015年3月と月間契約戸数が過去最高を更新したことから、消費増税前の駆け込み需要、及びその反動による落ち込みの影響は一巡したと考えられ、第3四半期以降の経営指標は、今後に期待を抱かせるものであった。
同社の決算数値を検証する前に、「消費増税と業界動向」、「住宅関連マクロ指標」及び「住宅販売会社の売上高」について述べることとする。
消費増税と業界動向
住宅販売会社に大きな影響を与えた消費税を巡る動きをまとめると、2012年8月に当時の民主党野田政権が早期の衆議院解散・総選挙を前提に自民党・公明党との合意にこぎつけたことにより国会において可決され、その後、自民党安倍首相が2013年10月1日に2014年4月からの税率引き上げを正式に表明した。
この間の住宅販売会社の動向としては、野田政権での法案通過後、緩やかに受注件数の増加が始まり、安倍政権下での2013年4月以降にさらに増加ペースが高まり、大手社の受注金額は対前年同月比で+20%程度にまで増加した水準となった。その後、増税を安倍首相が決断したとマスコミにおいて盛んに報道されるようになった2013年8月、9月に駆込み需要は一気に高まり、各社は大きく受注金額を増加させたが、10月以降はその反動で受注金額が一転して減少し、各社ともに2013年10月−2014年3月(2013会計年度下期)は大きく受注・契約高が減少した。
また、国民に信を問う形で2014年末に安倍政権が衆院を解散し、行われた選挙で与党が圧勝した結果、2015年度税制改正関連法案が2015年3月31日に参院本会議でも可決され、2017年4月から消費税率が10%へと再度引き上げられることが確定した。
住宅販売を巡るマクロ指標の推移
国土交通省が発表している2014年度の新設住宅着工件数は882千戸となり、前年度の987千戸から減少し、その減少率も10.6%と大きなものとなった。因みに2013年度の対前年度増加率も10.6%であったことを考えると、2014年度は2012年度よりも着工件数が少なかったことになる。単月着工件数も2014年3月から2015年2月までのちょうど1年間にわたり対前年同月比の数字を下回る状態が続き、2015年3月に同数値は+0.7%と13ヶ月ぶりにプラスに転じた。
新設住宅着工件数は、実は月による季節性が高い。そのため、野田政権で消費税率引き上げが閣議決定された2012年8月以前の月別の5年平均戸数を算出し、その後の新設住宅着工件数が月別5年平均をどのくらい上回るペースであったのかをグラフにしたのが図表1である。
これにより住宅販売会社が2014年度、非常に厳しい経営環境にあったことが分かるが、RCC社の経営環境については、同省が発表する月別着工新設住宅(持家・木造・総計)(戸数)(以下、「新設木造戸建持家」)の方がより的確に反映している。
この、新設木造戸建持家戸数は、2014年度235千戸と前年度の298千戸から63千戸も減少し、減少率は21.3%と新設住宅着工件数の減少率10.6%よりも大きなものとなった。月別の対前年同月比も2015年3月現在で13ヶ月連続のマイナスとなっている。この着工件数の推移を表したものが図表2であり、
これを、新設住宅着工件数と同じく、野田政権で消費税率引き上げが閣議決定された2012年8月以前の月別の5年平均との比較を行ったグラフが図表3となる。
これにより、2014年度のRCC社を巡るマクロ環境は同業の住宅販売会社よりも厳しかったことが窺える。
この2つの指標と同社の契約高、売上高、2008年度以降の決算を発表している同業24社の売上高をまとめたのが図表4であるが、同社の2014年度の契約高の落ち込みは、新設戸建持家戸数全体の落ち込みよりは軽微であり、全体の新設住宅着工並みであったことが分かる。
スプリングキャピタル株式会社 井上 哲男
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