ナガイレーベン Research Memo(4):リース案件の更新でずれ込みが発生するも通期で平準化される
[15/07/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(1) 2015年8月期第3四半期の業績概要
●損益状況
ナガイレーベン<7447>の2015年8月期第3四半期(2014年9月−2015年5月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.3%減の12,524百万円、営業利益が同7.3%減の3,837百万円、経常利益が同3.2%減の4,104百万円、四半期純利益が同4.2%減の2,580百万円だった。売上高及び営業利益は計画をやや下回ったが、計画とのズレはいずれも少額であり、特に懸念される結果ではなかったと言える。
売上高は前年同期比で4.3%減となったが、2014年春の診療報酬改訂や2015年春の介護報酬改訂の影響は出ていないことから、市場構造や市場環境が大きく変化していることは考え難く、これが減収の要因ではないようだ。減収となった主な要因は、大病院向けのリース案件の更新が、一部は第2四半期に前倒しされ、一部は第4四半期に後ずれしたことだ。ただしこれらのずれ込みは期を通しては平準化されるので大きく懸念される要因ではなく、そのため会社は下記のように通期の予想を変えていない。もう1つの減収要因は、売上高の約30%を占める個人の診療所やクリニック向けなどの小口案件の動向だ。これらの小口向け売上高は消費税増税前の昨年3月までに駆け込み需要により売上高が増加し、その後減少に転じたがその影響が依然として尾を引いているようだ。しかしこの要因も、時間の経過とともに解消するはずであり今後大きく懸念される要因ではない。
売上総利益率は前年同期の47.0%から46.7%へ低下したが、通期の売上総利益率の予想が46.0%であることから、特に懸念される水準ではない。売上総利益率が低下した主要因は円安によるコストアップであるが、スポットの円レートが急激に変化した(2014年5月末101.79円、2015年5月末120.68円)割には利益率の低下は最小限に抑えられており、その他諸々のコスト削減策によって円安によるコストアップを吸収した結果と言える。
販管費は同1.6%増の2,015百万円となった。新本社移転による減価償却費の増加等が主な要因だが、これらは当初から見込まれていたものであり、ほぼ計画どおりの数値と言える。
一方、経常利益は前年同期比3.2%減となり営業利益よりは減益幅が小さくなったが、これは営業外収益、特に為替差益の増加が主因だ。売上原価での円安の影響をヘッジするために保有しているドル預金から発生した為替差益は前年同期(2014年8月期第3四半期)の53百万円から237百万円へ大幅に増加した。特別損益では、前期に発生した特別利益(本社移転に伴う固定資産売却益115百万円)がこの第3四半期は発生しなかったことなどから、四半期純利益の減益幅は経常利益の減益幅よりやや大きくなった。
●アイテム別売上高
アイテム別の売上高は、ヘルスケアウェアが前年同期比4.9%減の7,313百万円、ドクターウェアが同4.7%減の2,094百万円、ユーティリティウェアが同13.6%減の525百万円、患者ウェアが同3.8%増の1,070百万円、手術ウェアが同0.5%増の1,137百万円、シューズが同12.8%減の167百万円、その他が同6.1%減の214百万円となった。
主力のヘルスウェアは記述のように一部で更新需要の切り替えや売上計上のズレなどがあったことから前年同期比ではマイナスとなった。ドクターウェアが減収となったのは同様に更新需要のずれ込みに加えて前年同期の伸び率が高かったことも影響しているが、市場トレンドに大きな変化はない。ユーティリティウェアは依然として個人支給から共用品への移行傾向が続いており減収傾向が続いている。金額は小さいものの、患者ウェアは市場の需要増を背景に堅調に推移し、手術ウェアもスクラブウェアとコンペルパックの市場浸透により売上は安定していた。
注:第3四半期は、「地域別売上状況」、「商品別売上状況」は開示されていない。
●財務状況
財務状況は引き続き安定している。2015年8月期第3四半期末の資産合計は38,278百万円となり、前期末に比べ871百万円減少した。流動資産は28,778百万円となり同811百万円減少したが、主な要因は現預金の減少3,130百万円及び受取債権の増加1,911百万円など。固定資産は9,500百万円となり、同60百万円減少した。
負債合計は4,020百万円となり、前期末に比べ447百万円減少した。主な要因は、未払法人税の減少553百万円など。純資産合計は34,258百万円となり、同423百万円減少した。主な要因は、四半期純利益の計上による利益剰余金の増加825百万円、自己株式の取得による減少1,500百万円など。この結果、自己資本比率は89.5%となり前期末の88.6%から上昇した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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(1) 2015年8月期第3四半期の業績概要
●損益状況
ナガイレーベン<7447>の2015年8月期第3四半期(2014年9月−2015年5月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.3%減の12,524百万円、営業利益が同7.3%減の3,837百万円、経常利益が同3.2%減の4,104百万円、四半期純利益が同4.2%減の2,580百万円だった。売上高及び営業利益は計画をやや下回ったが、計画とのズレはいずれも少額であり、特に懸念される結果ではなかったと言える。
売上高は前年同期比で4.3%減となったが、2014年春の診療報酬改訂や2015年春の介護報酬改訂の影響は出ていないことから、市場構造や市場環境が大きく変化していることは考え難く、これが減収の要因ではないようだ。減収となった主な要因は、大病院向けのリース案件の更新が、一部は第2四半期に前倒しされ、一部は第4四半期に後ずれしたことだ。ただしこれらのずれ込みは期を通しては平準化されるので大きく懸念される要因ではなく、そのため会社は下記のように通期の予想を変えていない。もう1つの減収要因は、売上高の約30%を占める個人の診療所やクリニック向けなどの小口案件の動向だ。これらの小口向け売上高は消費税増税前の昨年3月までに駆け込み需要により売上高が増加し、その後減少に転じたがその影響が依然として尾を引いているようだ。しかしこの要因も、時間の経過とともに解消するはずであり今後大きく懸念される要因ではない。
売上総利益率は前年同期の47.0%から46.7%へ低下したが、通期の売上総利益率の予想が46.0%であることから、特に懸念される水準ではない。売上総利益率が低下した主要因は円安によるコストアップであるが、スポットの円レートが急激に変化した(2014年5月末101.79円、2015年5月末120.68円)割には利益率の低下は最小限に抑えられており、その他諸々のコスト削減策によって円安によるコストアップを吸収した結果と言える。
販管費は同1.6%増の2,015百万円となった。新本社移転による減価償却費の増加等が主な要因だが、これらは当初から見込まれていたものであり、ほぼ計画どおりの数値と言える。
一方、経常利益は前年同期比3.2%減となり営業利益よりは減益幅が小さくなったが、これは営業外収益、特に為替差益の増加が主因だ。売上原価での円安の影響をヘッジするために保有しているドル預金から発生した為替差益は前年同期(2014年8月期第3四半期)の53百万円から237百万円へ大幅に増加した。特別損益では、前期に発生した特別利益(本社移転に伴う固定資産売却益115百万円)がこの第3四半期は発生しなかったことなどから、四半期純利益の減益幅は経常利益の減益幅よりやや大きくなった。
●アイテム別売上高
アイテム別の売上高は、ヘルスケアウェアが前年同期比4.9%減の7,313百万円、ドクターウェアが同4.7%減の2,094百万円、ユーティリティウェアが同13.6%減の525百万円、患者ウェアが同3.8%増の1,070百万円、手術ウェアが同0.5%増の1,137百万円、シューズが同12.8%減の167百万円、その他が同6.1%減の214百万円となった。
主力のヘルスウェアは記述のように一部で更新需要の切り替えや売上計上のズレなどがあったことから前年同期比ではマイナスとなった。ドクターウェアが減収となったのは同様に更新需要のずれ込みに加えて前年同期の伸び率が高かったことも影響しているが、市場トレンドに大きな変化はない。ユーティリティウェアは依然として個人支給から共用品への移行傾向が続いており減収傾向が続いている。金額は小さいものの、患者ウェアは市場の需要増を背景に堅調に推移し、手術ウェアもスクラブウェアとコンペルパックの市場浸透により売上は安定していた。
注:第3四半期は、「地域別売上状況」、「商品別売上状況」は開示されていない。
●財務状況
財務状況は引き続き安定している。2015年8月期第3四半期末の資産合計は38,278百万円となり、前期末に比べ871百万円減少した。流動資産は28,778百万円となり同811百万円減少したが、主な要因は現預金の減少3,130百万円及び受取債権の増加1,911百万円など。固定資産は9,500百万円となり、同60百万円減少した。
負債合計は4,020百万円となり、前期末に比べ447百万円減少した。主な要因は、未払法人税の減少553百万円など。純資産合計は34,258百万円となり、同423百万円減少した。主な要因は、四半期純利益の計上による利益剰余金の増加825百万円、自己株式の取得による減少1,500百万円など。この結果、自己資本比率は89.5%となり前期末の88.6%から上昇した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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