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システム ディ Research Memo(4):主力の私立学校向け、ウェルネスなど順調に進展

注目トピックス 日本株
■2015年10月期第2四半期決算と各事業部門の状況

(2)各事業部門の動向

(i)学園ソリューション事業
システムディ<3804>の主力事業である学園ソリューション事業は、私立学校法人、とりわけ大学・高校向けに、学園業務全般に関する様々な業務支援ソフトによるトータルソリューションを提供している。主力製品ブランドの「キャンパスプラン」は、学務系(対学生・生徒業務)各種ソフトウエア(入試、定期試験、進路指導、出欠など)と法人系(学校法人の内部管理業務)ソフトウエア(予算、会計、人事など)の両方が幅広くラインアップされているところに特長と強みがある。会計ソフトや人事管理ソフトなど、個々のソフトウエアにはライバル製品は存在するが、学校運営全般にわたってワンストップ・ソリューションを提供できるライバル製品はなく、それが、同社がトップシェアを有して業界のデファクトスタンダードを握る最大の理由となっている。2015年10月期第2四半期末時点では912校に同社の「キャンパスプラン」が導入されている。

学園ソリューション事業は、現行中期経営計画で掲げる「V&V Business」戦略に沿った重要なチャレンジに取り組んでいる。「V&V Business」戦略の詳細は後述するが、ひとことで言えば、ターゲット顧客層を従来の1つのセグメントから3セグメントに拡大し、それぞれのニーズに応じた製品を供給することで収益拡大を図ろうというものだ。具体的には、(1)従来主たるターゲット層としてとらえていた中間層、に加えて、(2)投資余力の大きい顧客向けにカスタマイズ要求に応えるソフトウエアの提供、(3)予算の制約がある顧客向けにクラウドサービスの提供、の3つのターゲット層である。

(2)のカスタマイズ対応は、IT投資予算が豊富な大規模学校がターゲットになるため、事業が軌道に乗ってきた時の収益インパクトは大きい。しかし一方で、顧客の要求する仕様にカスタマイズする作業があるため、時間がかかる。そうした特性もあって、今第2四半期にはカスタマイズ対応製品の収益貢献はなかった。しかしながら水面下で進行中の案件数は多く、潜在的ニーズもかなり大きいとの手応えを得ているもようだ。

(3)のクラウドサービスは順調だ。クラウドサービスで提供することで、従来パッケージソフトの売切り販売の時には顧客になりえなかった層を、新たにターゲット顧客として取り込むことが可能になった。さらに同社は、クラウド化にあたりMicrosoft社のクラウド基盤「Microsoft Azure」を採用した。これにより、クラウドサービスを日本国内のデータセンターから提供できることになり、顧客(学校)側の個人情報が国内法の適用を受ける環境下で安全に保護・運用されることになる。この結果、顧客側の安心度が高まって導入への心理的ハードルが大きく下がったことが、活発な引き合いにつながっているとみられる。

また新しく取り組んでいるBtoBtoCサービスとして、当事業部では「アンシンサイト」を新しく立ち上げた。これは学生の成績、履修状況、出席状況、連絡事項などの情報を保護者に対して専用サイトを通じて提供するサービスだ。今第2四半期までのところで引き合いは10数校に上っており、今後の拡販が期待される状況だ。

足元の業績は好調と評価できよう。2015年10月期の第2四半期の業績が上振れで着地したのは、学園ソリューション事業の売上高が予想以上に伸びたことが大きい。この背景には学校法人会計の制度変更を受けて、それに対応した新製品へのリプレース需要が発生したことが大きい。

この学校法人会計制度変更は2年間に分けて実施されている。2015年4月からはまず大学が制度変更の適用を受けた。今第2四半期にあったリプレース需要の背景にはこれがあった。2016年4月からは専門学校と高校が適用となる。したがって来期にも同様のリプレース需要の発生が期待される。ただし、同社の顧客の中では大学の数が圧倒的に多いため、来期のリプレース需要への過度な期待は禁物と弊社では考えている。

(ii)ウェルネスソリューション事業
ウェルネスソリューション事業では、民間のフィットネスクラブ事業者向けを中心に、会員管理システム「Hello」を提供している。提供形態は、従来はパッケージソフト販売が中心だったが現在ではクラウドサービスが過半となっている。2015年4月末時点の累計導入施設数は665施設で、着実かつ順調に成長していることがうかがえる。

ウェルネスソリューション事業でも「V&V Business」戦略に沿った取り組みがされており、その典型例が「Weldy Cloud(ウェルディ・クラウド)」サービスだ。これはアンチエイジングを目的としたBtoBtoCサービスで、同社の直接の契約・提供先はフィットネスクラブや健保組合、公共体育施設、介護予防施設などとなる。同社は2015年4月からこのサービスを提供開始した。すでに導入事例があるほか引き合いも多く、今下期から収益貢献が期待されている。

「Weldy Cloud」の特長は、「姿勢」をタブレットPCで測定し、体の正面、側面のゆがみの判定から個々人に適した姿勢を正すための姿勢改善プログラムを提示することにより健康維持・増進につなげようというものである。運動施設だけでなく自宅に居ながら簡単に運動が行えるため、継続実行のハードルは低く、例えば介護予防の見地から高齢者への活用などが想定されている。この場合、契約先は全国の介護予防施設がターゲットとなり、同社にとっては新しい市場が拓けることになる。姿勢改善は、医学的研究結果の数こそ少ないが、姿勢のゆがみがもたらす様々な弊害は広く知られており、同社の提供する「Weldy Cloud」が注目される可能性は高いと弊社では考えている。

(iii)ソフトエンジニアリング事業
ソフトエンジニアリング事業は、業種特化というよりは業務特化型ソフトウエアの開発販売で、具体的には幅広い業種の民間企業向けに文書・契約書の管理システムを提供している。2015年4月末時点の導入企業・団体数は216に達しており、これも順調に推移している。

弊社が注目しているのは、同社が取り組んでいる金融業界向け新製品だ。金融業界はライセンス業であり、コンプライアンス遵守への要求度がきわめて高い。また、その範囲は多岐にわたり作業量も膨大であり、業務支援ソフトへのニーズはかなり高いと容易に想像される。同社の新製品の全貌は明らかにされていないため、収益貢献可能性の評価は現時点ではできないが、対象市場としての金融業界(証券・資産運用業界なども含む)は潜在成長性が非常に大きいものとして、弊社では同社の新製品の動向を大いなる興味をもって見守りたいと考えている。

(iv)薬局ソリューション事業
薬局ソリューション事業は連結子会社の(株)シンクが手掛ける事業で、独立系調剤薬局に対してレセプトコンピュータ(レセコン)の「GOHL2(ゴール・ツー)」や薬歴情報電子ファイルなどを提供している。2015年4月末現在の販売顧客数は1,209店舗となっている。2015年10月期第2四半期の収益は、計画どおりに着地したとみられる。

薬局ソリューション事業での同社の戦略は、事業地域を関西圏を中心に展開し、顧客囲い込みと新規開拓に努めるというものだ。調剤薬局は全国に約54,000店舗あるが、そのうちの約10%は大手チェーン系列で同社のターゲットではない。また都道府県の薬剤師会ごとに様式が異なるため、できるだけ地域を集中させる方が効率的である。同社は、大阪薬剤師会向けの「OKISS(オーキス)」を中核に関西地区を中心に確固たる地盤を築いていく考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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