システム ディ Research Memo(5):公立学校向け・公会計を成長エンジンに
[15/07/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■2015年10月期第2四半期決算と各事業部門の状況
(v)公教育ソリューション事業
システムディ<3804>の公教育ソリューション事業は公立の小・中・高校向けに校務支援システム「School Engine(スクール エンジン)」を提供している。学園ソリューションとの大きな違いとして、公立学校のほうが予算の制約が厳しいこと、中小規模の学校が多いこと、などが挙げられる。こうした実情に合わせて、同社では「School Engine」をクラウドサービスで提供している。完全クラウド対応を完了しているのは、業界の中では同社だけとなっている。
公立学校の枠内でも、高校と小・中学校とでは事情が異なっている。高校が基本的には道府県単位での管掌となっているのに対して、小・中学校は市町村単位での管掌となっている。その差がIT予算の差やIT化への意欲の差となって表れている。同社は、47都道府県のうち9つの県・市の高校に対して「School Engine」を提供している。ライバル企業がそれぞれ1、2県程度にしか納入できていないことと比較して、圧倒的にリードしている状況だ。反対に小・中学校では、同社のシェアは下位にとどまっている。この理由は、市町村レベルの教育委員会においては個人情報保護などを理由にパッケージソフトを好む傾向が強く、クラウドサービスに対する拒否反応が強いためである。そうした保守的な傾向もあるが、2015年4月現在の同社サービス導入校数は全国で683校(半年前に比較して111校増加)と、順調に推移している。
公教育ソリューション事業では採算性の改善も顕著だ。導入校数の拡大もあって、2015年10月期下期には損益トントンにまで改善し、2016年10月期には黒字化する見通しとなっている。公教育ソリューション事業はかねてより次代の成長エンジンと期待されてきたが、それがいよいよ現実化しつつある。
(vi)公会計ソリューション事業
公会計ソリューション事業は、地方自治体向けに新公会計のためのソフトウエアやソリューションを提供している。この事業を後押しするのは、総務省が地方自治体に対して固定資産台帳の整備と企業会計原則に基づく会計制度の導入を2018年3月末までに完了させるという大規模制度変更だ。同社は複式簿記決算システム「PPP(トリプル・ピー)」を開発・販売し、また、子会社の(株)新公会計研究所を通じて自治体へのコンサルティングを行っており、引き合いが伸びている。
2015年4月末現在の「PPP」導入自治体数(一部、公共団体も含む)は191となった。半年前からの増加数は5となっている。この増加ペースは少ないようであるが、総務省の施策が実質1年間先送りされた結果であり、しかし2018年3月末までの移行スケジュールには変更なく、導入準備などの支援要請が増加していることもあって、同社には焦りはない。全国1,789自治体のうち、同社のターゲットとなりうるのは1,500自治体程度とみられる。同社はこのうち500程度の自治体へ納入し、約30%のシェアを獲得することを目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(v)公教育ソリューション事業
システムディ<3804>の公教育ソリューション事業は公立の小・中・高校向けに校務支援システム「School Engine(スクール エンジン)」を提供している。学園ソリューションとの大きな違いとして、公立学校のほうが予算の制約が厳しいこと、中小規模の学校が多いこと、などが挙げられる。こうした実情に合わせて、同社では「School Engine」をクラウドサービスで提供している。完全クラウド対応を完了しているのは、業界の中では同社だけとなっている。
公立学校の枠内でも、高校と小・中学校とでは事情が異なっている。高校が基本的には道府県単位での管掌となっているのに対して、小・中学校は市町村単位での管掌となっている。その差がIT予算の差やIT化への意欲の差となって表れている。同社は、47都道府県のうち9つの県・市の高校に対して「School Engine」を提供している。ライバル企業がそれぞれ1、2県程度にしか納入できていないことと比較して、圧倒的にリードしている状況だ。反対に小・中学校では、同社のシェアは下位にとどまっている。この理由は、市町村レベルの教育委員会においては個人情報保護などを理由にパッケージソフトを好む傾向が強く、クラウドサービスに対する拒否反応が強いためである。そうした保守的な傾向もあるが、2015年4月現在の同社サービス導入校数は全国で683校(半年前に比較して111校増加)と、順調に推移している。
公教育ソリューション事業では採算性の改善も顕著だ。導入校数の拡大もあって、2015年10月期下期には損益トントンにまで改善し、2016年10月期には黒字化する見通しとなっている。公教育ソリューション事業はかねてより次代の成長エンジンと期待されてきたが、それがいよいよ現実化しつつある。
(vi)公会計ソリューション事業
公会計ソリューション事業は、地方自治体向けに新公会計のためのソフトウエアやソリューションを提供している。この事業を後押しするのは、総務省が地方自治体に対して固定資産台帳の整備と企業会計原則に基づく会計制度の導入を2018年3月末までに完了させるという大規模制度変更だ。同社は複式簿記決算システム「PPP(トリプル・ピー)」を開発・販売し、また、子会社の(株)新公会計研究所を通じて自治体へのコンサルティングを行っており、引き合いが伸びている。
2015年4月末現在の「PPP」導入自治体数(一部、公共団体も含む)は191となった。半年前からの増加数は5となっている。この増加ペースは少ないようであるが、総務省の施策が実質1年間先送りされた結果であり、しかし2018年3月末までの移行スケジュールには変更なく、導入準備などの支援要請が増加していることもあって、同社には焦りはない。全国1,789自治体のうち、同社のターゲットとなりうるのは1,500自治体程度とみられる。同社はこのうち500程度の自治体へ納入し、約30%のシェアを獲得することを目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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