スター・マイカ Research Memo(7):今後数年は積極的な拡大策を取る方針
[15/08/06]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■中長期展望
(1)市場環境
スター・マイカ<3230>が活躍する中古マンション市場は、今後も大きな伸びしろのある市場だと予想される。現在、日本では600万戸超の巨大な中古マンションストックが存在しているが、新築マンションの供給が依然として低水準であることから、今後も中古市場の一段の拡大が期待される。同社の活躍余地はさらに広がるだろう。
また、政策の面でも中古住宅市場には追い風が吹いている。欧米では住宅流通市場の主役が中古住宅(70〜90%)であるのに対し、日本ではまだ10%台にとどまっている。国土交通省では、「既存住宅(中古住宅)市場」の活性化において数値目標を設定しており、住宅流通市場における既存住宅のシェア(平成20年14%)を平成32年までに25%にするとの指針を示しており、その達成に向けて様々な政策を実行している。
マンションストックの増加や核家族化による世帯数の増加、人口の首都圏集中によって、特に大都市圏の中古マンション市場は、今後も加速度的に拡大すると考えられており、これも同社にとっては追い風だろう。
さらに、以下のような理由によって中古マンション、特に同社が提供するような高付加価値の中古マンションに対する認知度、選好性は一段と高まっている。
●手頃な価格:新築より安い価格で、予算を抑えて希望の物件に住むことができる。
●豊富な選択肢:立地、グレード、間取り等、自分の好みで選ぶことができる。
●安心の実物購入:新築マンションの多くが竣工前に契約するのに対して、中古マンションは居室スペース、眺望、管理状況、近隣コミュニティ等を実際に確かめてから買うことができる。
(2)中期経営計画
上記のような市場環境において、同社も今後数年は積極的な拡大策を取る方針で、2017年11月期を最終年度とする中期経営計画を発表している。
基本方針と重点施策
この中期経営計画の基本方針として「短期・中期・長期にわたり、優良な住宅を提供する」を掲げている。具体的には保有物件の更なる積上げにより事業規模を拡大する一方で、事業期間の短縮化、手数料ビジネスの強化などによって資本効率の向上を目指す方針となっている。
一般的に不動産業においては、事業規模を拡大しようとすると物件を積み増すことが必要条件であり、必然的にバランスシート(負債)が拡大することになる。しかし際限もなく負債を膨らませてしまえば資本効率は低下し、やがては資産バブル崩壊のリスクが高まってしまう。このように事業規模の拡大と資本効率の向上(具体的にはROEの重視)という、ある面で相反する条件をいかにコントロールしていくか、正に同社の真骨頂が問われる計画目標と言え、今後の状況に注目したい。
各事業分野では以下のような重点施策を実行していく計画だ。
●中古マンション事業
既存の東京、横浜、大阪だけでなくこれまで扱いの少なかった千葉、埼玉エリアへ展開する。商品力をさらに強化し、一方で他社との協業によって市場全体の活性化を図る。
●インベストメント事業
過去のバリューアップのノウハウを活用して、事業期間の短い不動産再生投資案件へ挑戦する。また物件ポートフォリオの入替えによって、効率よく動ける首都圏にリソースを集中し、グループシナジーを最大化する。
●アドバイザリー事業
仲介業務、賃貸管理業務を強化する。
●資金調達・経営管理
市場変更(JASDAQ⇒東証2部)により知名度向上、採用強化を図る。
数値目標
この中期経営計画では以下のような数値目標を掲げている。この目標は積極的な投資により達成される可能性は高そうだ。無論、今後の状況は不動産(マンション)市場全体の影響を受けるが、この高い目標に進んでいく同社は注目に値する。
経営体制の強化
同社では、上記の中期目標を達成するために、経営体制を強化した。まず創業者である水永氏が代表権を持つ会長となり、新たに代表取締役社長に秋澤昭一(あきさわしょういち)氏が就任した。水永氏は金融業界出身であり、秋澤氏は不動産業界出身であることから、今後はこの代表者2名が、「事業規模の拡大」と「資本効率の改善」というある意味相反する目標に向けてそれぞれの経験を生かしつつ経営を担うことになる。
さらにこの代表者2名の下に、下図のように4名の取締役がそれぞれの事業分野を担当する。各取締役の役割・責任が明確化されており、シンプルでありながら強固な経営体制になったと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
(1)市場環境
スター・マイカ<3230>が活躍する中古マンション市場は、今後も大きな伸びしろのある市場だと予想される。現在、日本では600万戸超の巨大な中古マンションストックが存在しているが、新築マンションの供給が依然として低水準であることから、今後も中古市場の一段の拡大が期待される。同社の活躍余地はさらに広がるだろう。
また、政策の面でも中古住宅市場には追い風が吹いている。欧米では住宅流通市場の主役が中古住宅(70〜90%)であるのに対し、日本ではまだ10%台にとどまっている。国土交通省では、「既存住宅(中古住宅)市場」の活性化において数値目標を設定しており、住宅流通市場における既存住宅のシェア(平成20年14%)を平成32年までに25%にするとの指針を示しており、その達成に向けて様々な政策を実行している。
マンションストックの増加や核家族化による世帯数の増加、人口の首都圏集中によって、特に大都市圏の中古マンション市場は、今後も加速度的に拡大すると考えられており、これも同社にとっては追い風だろう。
さらに、以下のような理由によって中古マンション、特に同社が提供するような高付加価値の中古マンションに対する認知度、選好性は一段と高まっている。
●手頃な価格:新築より安い価格で、予算を抑えて希望の物件に住むことができる。
●豊富な選択肢:立地、グレード、間取り等、自分の好みで選ぶことができる。
●安心の実物購入:新築マンションの多くが竣工前に契約するのに対して、中古マンションは居室スペース、眺望、管理状況、近隣コミュニティ等を実際に確かめてから買うことができる。
(2)中期経営計画
上記のような市場環境において、同社も今後数年は積極的な拡大策を取る方針で、2017年11月期を最終年度とする中期経営計画を発表している。
基本方針と重点施策
この中期経営計画の基本方針として「短期・中期・長期にわたり、優良な住宅を提供する」を掲げている。具体的には保有物件の更なる積上げにより事業規模を拡大する一方で、事業期間の短縮化、手数料ビジネスの強化などによって資本効率の向上を目指す方針となっている。
一般的に不動産業においては、事業規模を拡大しようとすると物件を積み増すことが必要条件であり、必然的にバランスシート(負債)が拡大することになる。しかし際限もなく負債を膨らませてしまえば資本効率は低下し、やがては資産バブル崩壊のリスクが高まってしまう。このように事業規模の拡大と資本効率の向上(具体的にはROEの重視)という、ある面で相反する条件をいかにコントロールしていくか、正に同社の真骨頂が問われる計画目標と言え、今後の状況に注目したい。
各事業分野では以下のような重点施策を実行していく計画だ。
●中古マンション事業
既存の東京、横浜、大阪だけでなくこれまで扱いの少なかった千葉、埼玉エリアへ展開する。商品力をさらに強化し、一方で他社との協業によって市場全体の活性化を図る。
●インベストメント事業
過去のバリューアップのノウハウを活用して、事業期間の短い不動産再生投資案件へ挑戦する。また物件ポートフォリオの入替えによって、効率よく動ける首都圏にリソースを集中し、グループシナジーを最大化する。
●アドバイザリー事業
仲介業務、賃貸管理業務を強化する。
●資金調達・経営管理
市場変更(JASDAQ⇒東証2部)により知名度向上、採用強化を図る。
数値目標
この中期経営計画では以下のような数値目標を掲げている。この目標は積極的な投資により達成される可能性は高そうだ。無論、今後の状況は不動産(マンション)市場全体の影響を受けるが、この高い目標に進んでいく同社は注目に値する。
経営体制の強化
同社では、上記の中期目標を達成するために、経営体制を強化した。まず創業者である水永氏が代表権を持つ会長となり、新たに代表取締役社長に秋澤昭一(あきさわしょういち)氏が就任した。水永氏は金融業界出身であり、秋澤氏は不動産業界出身であることから、今後はこの代表者2名が、「事業規模の拡大」と「資本効率の改善」というある意味相反する目標に向けてそれぞれの経験を生かしつつ経営を担うことになる。
さらにこの代表者2名の下に、下図のように4名の取締役がそれぞれの事業分野を担当する。各取締役の役割・責任が明確化されており、シンプルでありながら強固な経営体制になったと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>