神戸物産 Research Memo(2):主力は業務スーパー事業、国内最大級の製販一体型食品業
[15/08/10]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
神戸物産<3038>の事業セグメントは、業務スーパー事業、神戸クック事業、クックイノベンチャー事業、エコ再生エネルギー事業の4つの事業セグメントで区分されている。
○業務スーパー事業
業務スーパー事業は、連結売上高の8割強、営業利益の9割強を占める同社の主力事業となる。同社は「業務スーパー」のFC本部として商品の企画、開発及び調達等を行っている。また、「業務スーパー」で販売するプライベートブランド(以下、PB)商品の一部を国内外の子会社で製造するなど、食品業の製販一体企業としては、国内最大級の事業規模となっている。
「業務スーパー」は業務用をメインとした商品開発からスタートし、中間流通マージンを除いた直仕入れによるローコストオペレーションにより「品質の良い商品をベストプライス」で提供する食品スーパーとして2000年以降、急成長を遂げてきた。2015年4月末の店舗数は696店舗で、キャッシュ&キャリー型の店舗数としては国内シェア約69%とトップの地位を確立している。直営店舗は2店舗のみで、FC展開によって店舗数の拡大を進めている。主なFC企業としてはG-7ホールディングス<7508>の子会社であるG-7スーパーマートのほか、オーシャンシステム<3096>などがある。
FC本部としてのロイヤリティー収入はFC加盟店への商品出荷高の1%としており、FC展開する企業の中では低い料率となっている。これは同社の経営方針として、すべての取引会社の収益を拡大していくことが、自社の成長につながるという考えによるもので、ロイヤリティー収入で稼ぐのではなく、食品の製造と卸売事業で収益を拡大していくことを基本戦略として掲げているためだ。
取扱商品総数はPB商品、ナショナルブランド商品合わせて約4,000点にのぼる。PB商品に関しては、国内外のグループ会社23工場(うち中国2工場)に加えて、海外の約350の協力工場から調達している。自社グループからの調達比率は全体の約10%、残り約90%がメーカーからの仕入れとなっている。また、輸入比率は約20%で、輸入先は欧米やアセアン地域など様々あり、その数は約50ヶ国にのぼる。特に、ここ数年は、欧州やアセアンなど中国以外の国からの輸入を強化している。商品としては各国の代表商品となるようなもので、イタリアならパスタやトマトソース、ベルギーではチョコレートやワッフルといったように、消費者にとって魅力のある商材を発掘し、輸入商品の仕入れを強化していることが特長となっている。なお、生鮮食料品に関しての仕入れ調達は行っておらず、取り扱いのある店舗については各FC店舗の裁量により取り扱いをおこなっている。
また、同社は子会社展開により、農畜産物の生産といった第一次産業から手掛けていることも大きな特長となっている。国内では北海道で主にジャガイモや大豆の生産と、約700頭の牛の肥育を約1,570ヘクタールの広大な敷地で運営している。また、岡山県では「吉備高原どり」を養鶏し、その日のうちに処理された鶏を24時間以内に新鮮なまま「業務スーパー」(岡山県、広島県、関西の一部エリア)に納品しているほか、冷凍加工食品用としても出荷している。2015年4月から群馬県でも「上州高原どり」の養鶏を開始し、関東でもチルド鶏肉を供給している。水産業に関しては宮城県にて地域産業復興支援の一環として、漁業や水産加工を行っている。また、海外でもエジプトに約2,900ヘクタールの土地を保有し、砂漠の農地化に取り組んでおり、2014年春には約1,200トンの小麦の収穫に成功している。
為替変動の影響に関して、同社は仕入れ決済の大半をドル建てで行っている(残りはユーロ、円建て)。年間で23,348百万円(2014年10月期)の仕入高となり、為替変動の影響も大きくなるが、一部為替予約を行っている以外は大半実勢レートでの決済となる。一方で、FC加盟店への価格転嫁のタイミングはタイムラグが生じるため、急激な為替変動が生じた際には、一時的に収益に与える影響も大きくなる傾向にある。
○神戸クック事業
神戸クック事業は、「業務スーパー」で構築された原材料の仕入れ調達から商品販売に至るまでのローコスト体制を活かした中食、外食事業となる。現在は主に「神戸クックワールドビュッフェ」(2015年4月現在、13店舗)、出来立ての惣菜を提供する中食と食品物販の融合店「Green’s K」(同11店舗)、ビュッフェとセルフクックを融合したレストラン「Green’s K 鉄板ビュッフェ」(同5店舗)などで構成されている。また、新業態に関しては毎年1〜2業態を企画し、店舗展開を試みている。2014年には「ビュッフェ&しゃぶしゃぶ神戸」を和歌山県に開店した。
○クックイノベンチャー事業
2013年4月にグループ会社化したジー・コミュニケーショングループの事業となる。2014年10月期の売上構成比では約16%、営業利益では約11%を占めており、「業務スーパー」事業に次ぐ比率を占めている。ジー・コミュニケーション傘下のジー・テイスト<2694>が株式上場しており、居酒屋や回転ずしなどの外食事業で約800店舗、学習塾(ITTO個別指導学院)や英会話スクール(NOVA)を中心とした教育事業で約100校舎の運営を行っている。
○エコ再生エネルギー事業
2012年より新規参入した再生エネルギー事業では、主に太陽光発電事業を推進しているほか、地熱発電や木質バイオマス発電の事業化を進めている。また、地熱を活かした温浴施設や温水ハウスなど観光事業にも今後展開していく予定となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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神戸物産<3038>の事業セグメントは、業務スーパー事業、神戸クック事業、クックイノベンチャー事業、エコ再生エネルギー事業の4つの事業セグメントで区分されている。
○業務スーパー事業
業務スーパー事業は、連結売上高の8割強、営業利益の9割強を占める同社の主力事業となる。同社は「業務スーパー」のFC本部として商品の企画、開発及び調達等を行っている。また、「業務スーパー」で販売するプライベートブランド(以下、PB)商品の一部を国内外の子会社で製造するなど、食品業の製販一体企業としては、国内最大級の事業規模となっている。
「業務スーパー」は業務用をメインとした商品開発からスタートし、中間流通マージンを除いた直仕入れによるローコストオペレーションにより「品質の良い商品をベストプライス」で提供する食品スーパーとして2000年以降、急成長を遂げてきた。2015年4月末の店舗数は696店舗で、キャッシュ&キャリー型の店舗数としては国内シェア約69%とトップの地位を確立している。直営店舗は2店舗のみで、FC展開によって店舗数の拡大を進めている。主なFC企業としてはG-7ホールディングス<7508>の子会社であるG-7スーパーマートのほか、オーシャンシステム<3096>などがある。
FC本部としてのロイヤリティー収入はFC加盟店への商品出荷高の1%としており、FC展開する企業の中では低い料率となっている。これは同社の経営方針として、すべての取引会社の収益を拡大していくことが、自社の成長につながるという考えによるもので、ロイヤリティー収入で稼ぐのではなく、食品の製造と卸売事業で収益を拡大していくことを基本戦略として掲げているためだ。
取扱商品総数はPB商品、ナショナルブランド商品合わせて約4,000点にのぼる。PB商品に関しては、国内外のグループ会社23工場(うち中国2工場)に加えて、海外の約350の協力工場から調達している。自社グループからの調達比率は全体の約10%、残り約90%がメーカーからの仕入れとなっている。また、輸入比率は約20%で、輸入先は欧米やアセアン地域など様々あり、その数は約50ヶ国にのぼる。特に、ここ数年は、欧州やアセアンなど中国以外の国からの輸入を強化している。商品としては各国の代表商品となるようなもので、イタリアならパスタやトマトソース、ベルギーではチョコレートやワッフルといったように、消費者にとって魅力のある商材を発掘し、輸入商品の仕入れを強化していることが特長となっている。なお、生鮮食料品に関しての仕入れ調達は行っておらず、取り扱いのある店舗については各FC店舗の裁量により取り扱いをおこなっている。
また、同社は子会社展開により、農畜産物の生産といった第一次産業から手掛けていることも大きな特長となっている。国内では北海道で主にジャガイモや大豆の生産と、約700頭の牛の肥育を約1,570ヘクタールの広大な敷地で運営している。また、岡山県では「吉備高原どり」を養鶏し、その日のうちに処理された鶏を24時間以内に新鮮なまま「業務スーパー」(岡山県、広島県、関西の一部エリア)に納品しているほか、冷凍加工食品用としても出荷している。2015年4月から群馬県でも「上州高原どり」の養鶏を開始し、関東でもチルド鶏肉を供給している。水産業に関しては宮城県にて地域産業復興支援の一環として、漁業や水産加工を行っている。また、海外でもエジプトに約2,900ヘクタールの土地を保有し、砂漠の農地化に取り組んでおり、2014年春には約1,200トンの小麦の収穫に成功している。
為替変動の影響に関して、同社は仕入れ決済の大半をドル建てで行っている(残りはユーロ、円建て)。年間で23,348百万円(2014年10月期)の仕入高となり、為替変動の影響も大きくなるが、一部為替予約を行っている以外は大半実勢レートでの決済となる。一方で、FC加盟店への価格転嫁のタイミングはタイムラグが生じるため、急激な為替変動が生じた際には、一時的に収益に与える影響も大きくなる傾向にある。
○神戸クック事業
神戸クック事業は、「業務スーパー」で構築された原材料の仕入れ調達から商品販売に至るまでのローコスト体制を活かした中食、外食事業となる。現在は主に「神戸クックワールドビュッフェ」(2015年4月現在、13店舗)、出来立ての惣菜を提供する中食と食品物販の融合店「Green’s K」(同11店舗)、ビュッフェとセルフクックを融合したレストラン「Green’s K 鉄板ビュッフェ」(同5店舗)などで構成されている。また、新業態に関しては毎年1〜2業態を企画し、店舗展開を試みている。2014年には「ビュッフェ&しゃぶしゃぶ神戸」を和歌山県に開店した。
○クックイノベンチャー事業
2013年4月にグループ会社化したジー・コミュニケーショングループの事業となる。2014年10月期の売上構成比では約16%、営業利益では約11%を占めており、「業務スーパー」事業に次ぐ比率を占めている。ジー・コミュニケーション傘下のジー・テイスト<2694>が株式上場しており、居酒屋や回転ずしなどの外食事業で約800店舗、学習塾(ITTO個別指導学院)や英会話スクール(NOVA)を中心とした教育事業で約100校舎の運営を行っている。
○エコ再生エネルギー事業
2012年より新規参入した再生エネルギー事業では、主に太陽光発電事業を推進しているほか、地熱発電や木質バイオマス発電の事業化を進めている。また、地熱を活かした温浴施設や温水ハウスなど観光事業にも今後展開していく予定となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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