インテリックス Research Memo(8):成長戦略として事業エリアの拡大など3点を掲げる
[15/08/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■市場動向と成長戦略
(2)成長戦略
こうした市場環境下において、インテリックス<8940>では今後の成長戦略として以下の3点を掲げている。
○事業エリアの拡大
リノヴェックスマンション事業では、競争激化によって首都圏での成長が見込みにくくなるなかで、地方へ販売網を拡大していくことで成長を進めていく戦略を取っている。
同社では2016年5月期末に月間仕入件数で首都圏100件、地方店50件体制とし、中期的には首都圏100件、地方店100件体制を目指していく(前第4四半期の月平均実績は首都圏約80件、地方店約30件)。平均販売価格を前期実績(首都圏21百万円、地方店17百万円)と同水準だと仮定すると、リノヴェックスマンション販売事業だけで年間450億円規模の売上高が見込まれることになる。
地方店での事業強化を図るため、引き続き営業人員や設計・施工人員の増員を進めていく方針で、2016年5月期は前期末から25名程度増員する予定となっている。また、月間100件の仕入体制にするには100名程度が必要となるため、今後も地元社員の積極採用により、各地方店での事業を拡大していく考えだ。同様にリノベーション施工を行う協力会社のネットワーク網構築も進めていく。地方においては、リノベーションマンションでの競合がまだ少なく、同社では早期に各拠点で事業ネットワークを構築することで、中古マンション市場でのシェアを獲得していく方針だ。
○アセットシェアリング事業の強化
第2の成長戦略として、アセットシェアリング事業の開始が挙げられる。同事業は不特法の活用による不動産の小口化販売事業のことを指す。同事業の特徴は、新築・中古を問わず良質な不動産物件の所有権を小口化販売することで、多数の需要家層を取り込めることにある。また、同社は小口化販売のみならず、販売後のプロパティマネジメントも行っていく。このため、2015年4月に新たに(株)インテリックスプロパティを子会社として設立した。
一方、投資家にとっては、不動産の共同所有者となるため、空室・延滞リスクの分散が図られ安定収益を実現できるほか、金融資産としてではなく不動産所有となるため、贈与・相続資産として資産評価の大幅な圧縮が可能となり、節税メリットが享受できることが挙げられる。このため、景気に関係なく安定した需要が見込まれている。
前述したとおり、第1号案件となる「アセットシェアリング原宿」については、応募者多数となるなかで完売しており、当第1四半期に800百万円の売上げ寄与が見込まれている。また、今後は賃貸収益だけでなく、一定期間後にキャピタルゲインも得られるタイプの商品も組成していく予定となっている。例えば、築年数が古く一定期間後に建替えすることが決まっている物件で、建て替え後に価値が上昇する物件などが候補となる。こうした開発案件を早ければ2016年5月期中に販売する可能性がある(計画には織り込まず)。
また、大型案件としては現在、横浜市元町に建設中の新築マンションを「アセットシェアリング」の投資物件として活用することを検討している。同マンションは下層階を店舗(6戸)、上層階をレジデンス(23戸)で計画しており、2016年春頃の竣工を予定している。建設費の総額が最終確定していないことから、売却価格も流動的だが、店舗、レジデンス含めて全体で14〜16億円程度になるものと思われる。「アセットシェアリング」として販売することになれば、2017年5月期に売上に貢献する見通しだ。
今後も対象物件としては流動性が高く、10億円規模の物件を中心に考えている。投資家の利回りとしては3〜4%程度だが、税制メリット(相続時の評価減、減価償却費等)も考えると同商品に対する需要は旺盛とみられ、今後の動向が注目される。なお、同事業では青山財産ネットワークス<8929>やFPG<7148>など先行する事業者があるが、同社は不動産業者として今まで構築してきたネットワークやノウハウなどを活かすことで、競争力の高い商品を開発することが可能であり、今後の成長余地も大きいと弊社ではみている。
○リノベーション内装事業の拡大
成長戦略の第3のポイントとして、リノベーション内装事業の強化が挙げられる。前述したようにリノベーションマンションに対する認知度向上に伴い、個人でのリノベーション需要が増加しているほか、大手不動産会社など同業他社からの受注も増加してきていることが背景にある。
個人向けリノベーション内装事業の受注拡大に向けては、東京・青山通り沿いにビルを取得し、今4月に「青山リノベーションスタジオ」をオープンした。同スタジオではリノベーションについてのセミナーを開催し、基礎からリノベーションについて学ぶことができるほか、住設機器なども含めてリノベーション後を体感することができるショールームとなっており、同スタジオへの来場を契機として受注を増やしていきたい考えだ。
こうした状況下において、同社では2014年秋より自社で内部施工を行うチームを立ち上げ、主に個人のリノベーション内装施工を中心に、今後も事業として拡大していく方針を打ち出した。自社施工では複数の専門技術(大工、水道、電気など)をこなす「多能工(マルチリノベーター)」の育成を進めている。前期末で同チームは7人体制であったが、順次採用を進めており、7月時点では11名となっている。3年後には37名程度まで増やしていく方針で、業界屈指のリノベーション施工会社を目指していく。自社施工を強化する目的の1つには、将来の職人不足に備えるといった面もある。
なお、現在の自社施工チームの能力は月間10件弱だが、2016年5月期末には20件程度まで引き上げることを目標している。また、リノベーション内装事業に関しては協力会社も含めて、中期的に月間100件程度の受注、売上高に換算すると年間で約6,000百万円規模を目指している。売上総利益率では20〜30%程度が見込めるため、全体の収益性向上にも寄与する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2)成長戦略
こうした市場環境下において、インテリックス<8940>では今後の成長戦略として以下の3点を掲げている。
○事業エリアの拡大
リノヴェックスマンション事業では、競争激化によって首都圏での成長が見込みにくくなるなかで、地方へ販売網を拡大していくことで成長を進めていく戦略を取っている。
同社では2016年5月期末に月間仕入件数で首都圏100件、地方店50件体制とし、中期的には首都圏100件、地方店100件体制を目指していく(前第4四半期の月平均実績は首都圏約80件、地方店約30件)。平均販売価格を前期実績(首都圏21百万円、地方店17百万円)と同水準だと仮定すると、リノヴェックスマンション販売事業だけで年間450億円規模の売上高が見込まれることになる。
地方店での事業強化を図るため、引き続き営業人員や設計・施工人員の増員を進めていく方針で、2016年5月期は前期末から25名程度増員する予定となっている。また、月間100件の仕入体制にするには100名程度が必要となるため、今後も地元社員の積極採用により、各地方店での事業を拡大していく考えだ。同様にリノベーション施工を行う協力会社のネットワーク網構築も進めていく。地方においては、リノベーションマンションでの競合がまだ少なく、同社では早期に各拠点で事業ネットワークを構築することで、中古マンション市場でのシェアを獲得していく方針だ。
○アセットシェアリング事業の強化
第2の成長戦略として、アセットシェアリング事業の開始が挙げられる。同事業は不特法の活用による不動産の小口化販売事業のことを指す。同事業の特徴は、新築・中古を問わず良質な不動産物件の所有権を小口化販売することで、多数の需要家層を取り込めることにある。また、同社は小口化販売のみならず、販売後のプロパティマネジメントも行っていく。このため、2015年4月に新たに(株)インテリックスプロパティを子会社として設立した。
一方、投資家にとっては、不動産の共同所有者となるため、空室・延滞リスクの分散が図られ安定収益を実現できるほか、金融資産としてではなく不動産所有となるため、贈与・相続資産として資産評価の大幅な圧縮が可能となり、節税メリットが享受できることが挙げられる。このため、景気に関係なく安定した需要が見込まれている。
前述したとおり、第1号案件となる「アセットシェアリング原宿」については、応募者多数となるなかで完売しており、当第1四半期に800百万円の売上げ寄与が見込まれている。また、今後は賃貸収益だけでなく、一定期間後にキャピタルゲインも得られるタイプの商品も組成していく予定となっている。例えば、築年数が古く一定期間後に建替えすることが決まっている物件で、建て替え後に価値が上昇する物件などが候補となる。こうした開発案件を早ければ2016年5月期中に販売する可能性がある(計画には織り込まず)。
また、大型案件としては現在、横浜市元町に建設中の新築マンションを「アセットシェアリング」の投資物件として活用することを検討している。同マンションは下層階を店舗(6戸)、上層階をレジデンス(23戸)で計画しており、2016年春頃の竣工を予定している。建設費の総額が最終確定していないことから、売却価格も流動的だが、店舗、レジデンス含めて全体で14〜16億円程度になるものと思われる。「アセットシェアリング」として販売することになれば、2017年5月期に売上に貢献する見通しだ。
今後も対象物件としては流動性が高く、10億円規模の物件を中心に考えている。投資家の利回りとしては3〜4%程度だが、税制メリット(相続時の評価減、減価償却費等)も考えると同商品に対する需要は旺盛とみられ、今後の動向が注目される。なお、同事業では青山財産ネットワークス<8929>やFPG<7148>など先行する事業者があるが、同社は不動産業者として今まで構築してきたネットワークやノウハウなどを活かすことで、競争力の高い商品を開発することが可能であり、今後の成長余地も大きいと弊社ではみている。
○リノベーション内装事業の拡大
成長戦略の第3のポイントとして、リノベーション内装事業の強化が挙げられる。前述したようにリノベーションマンションに対する認知度向上に伴い、個人でのリノベーション需要が増加しているほか、大手不動産会社など同業他社からの受注も増加してきていることが背景にある。
個人向けリノベーション内装事業の受注拡大に向けては、東京・青山通り沿いにビルを取得し、今4月に「青山リノベーションスタジオ」をオープンした。同スタジオではリノベーションについてのセミナーを開催し、基礎からリノベーションについて学ぶことができるほか、住設機器なども含めてリノベーション後を体感することができるショールームとなっており、同スタジオへの来場を契機として受注を増やしていきたい考えだ。
こうした状況下において、同社では2014年秋より自社で内部施工を行うチームを立ち上げ、主に個人のリノベーション内装施工を中心に、今後も事業として拡大していく方針を打ち出した。自社施工では複数の専門技術(大工、水道、電気など)をこなす「多能工(マルチリノベーター)」の育成を進めている。前期末で同チームは7人体制であったが、順次採用を進めており、7月時点では11名となっている。3年後には37名程度まで増やしていく方針で、業界屈指のリノベーション施工会社を目指していく。自社施工を強化する目的の1つには、将来の職人不足に備えるといった面もある。
なお、現在の自社施工チームの能力は月間10件弱だが、2016年5月期末には20件程度まで引き上げることを目標している。また、リノベーション内装事業に関しては協力会社も含めて、中期的に月間100件程度の受注、売上高に換算すると年間で約6,000百万円規模を目指している。売上総利益率では20〜30%程度が見込めるため、全体の収益性向上にも寄与する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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