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サイオス Research Memo(5):増収見込みも、先行投資費用の増加で利益ベースでは一時的に悪化

注目トピックス 日本株
■業績見通し

(1) 2015年12月期の業績見通し

サイオステクノロジー<3744>の2015年12月期の連結業績は、売上高が前期比19.4%増の8,800百万円、営業利益、経常利益はそれぞれ300百万円の損失、当期純利益も330百万円の損失を見込んでいる。売上高は既存事業の拡大に加えて、KPSの売上高が上乗せされることで2ケタ増収となるが、第3四半期以降も将来の成長に向けた開発投資や営業・マーケティング体制の強化を積極推進するなど先行投資費用が増加することで、利益ベースでは一時的に悪化することとなる。

主な開発案件としては、7月に日米で発売を開始したITオペレーション分析ソフトウェア「SIOS iQ」のほか、「LifeKeeper」のバージョンアップ、MFP向けソフトウェアの機能拡張、その他新製品・サービスの開発を計画している。

○オープンシステム基盤事業
第3四半期以降の取り組みについて見ると、Red Hat,Inc.関連商品については、収益性を重視した営業活動を展開していくことで、利益率の低下傾向に歯止めをかけていく方針。また、「LifeKeeper」 についてはクラウド分野の強化に取り組んでいる。一例では、2015年4月に大手SIの(株)富士通エフサスとクラウド分野での協業を発表している。富士通エフサスが構築するクラウドシステムにおいて「LifeKeeper」を導入していくほか、オンプレミス-クラウド間、あるいは異種クラウド間の冗長化技術についても今後、共同で開発を進めていく予定となっている。大手SI企業との協業を進めていくことで、売上高の拡大を見込んでいる。OSS関連ソリューションについては、需要が旺盛な一方で人的リソースの確保が課題となっているが、同社では正社員の採用にこだわらず、クラウドソーシングなど雇用形態の多様化を今後図っていくことで、事業の拡大を目指す方針だ。

また、7月に米国と日本で発売を開始した「SIOS iQ」に関しては、現在、国内や欧米で複数の企業が評価中であり、早ければ今期中に売上貢献が見込まれる。ただ、業績への本格寄与は2016年以降となる見通しだ。「SIOS iQ」はITオペレーション分析ソフトウェアとしては業界初となる機械学習技術を用いたソフトウェアで、同技術によりITシステムの障害発生を未然に防ぐだけでなく、サーバーの台数やストレージ容量などハードウェアの稼働率を計測し、システム全体の最適化を実現可能としたことが特徴となっている。

見込み顧客としては、多くのサーバーを使用し、大量のデータ処理を必要とする通信事業者やマーケットプレイスなどの大手企業、またデータセンター事業者などが挙げられる。障害発生を予防できることで、IT管理者の作業負荷が大幅に軽減され、コスト低減のメリットが大きいためだ。また、データセンターなどにストレージを供給する大手企業からも、販売パートナーとしての引き合いがあるようだ。

同社では「SIOS iQ」の受注活動を今後本格化していく予定で、2015年8月には米国で開催されるVMウェア社主催の展示会「VMワールド」(来場者数が数万人規模)に出展するほか、国内でも今秋に展示会に出展する予定となっている。

ITオペレーション分析ソフトウェアの世界市場規模は急成長している分野であり、今後もITシステムの高度化、複雑化が進展するなかで、高成長が見込まれている。同社では「SIOS iQ」の更なる機能強化に向けた開発を継続しながら、国内外で顧客開拓を進めていく方針だ。現状、まだ同様の機能を持つ競合品は出てきていない状況であり、先行者メリットを活かすことができれば、将来的には売上高で数十億円規模まで拡大する可能性もあるだけに、今後の動向が注目されよう。

○Webアプリケーション事業
MFP向けソフトウェアに関しては、機能拡張や操作性の向上など継続的なソフトウェアのバージョンアップを行い、MFPへの装着率を高めていくことで収益の拡大を目指していく。同社では装着率はまだ低く上昇余地はあるとみている。2015年12月期以降も順調な成長が見込まれる。

一方、「Glugent」シリーズはGoogle Appsの新規ユーザーの伸びが鈍化しているが、マイクロソフトの「Office365」に対応したシリーズもリリースするなど、利用領域を拡大していくことで、契約数を伸ばしていく方針だ。

なお、KPSについては金融業界を中心に市場環境が良好なことから順調な業績が見込まれる。100名以上のシステムエンジニアを抱えており、同社にとっては技術開発力の強化あるいは、金融業界向けの取引拡大といったシナジー効果が今後、顕在化してくるものと期待される。

○その他
新規事業の創出として、2015年6月に大手飲食チェーンのプレナスとの共同出資により、海外飲食店向けシステム開発・販売を行う合弁会社BayPOS,Inc.(出資比率49%)を米国に設立した。まずはプレナスが2015年11月に米国に出店予定の「やよい軒」のIT化支援を行っていく。米国での最新のIT技術を取り込んでいく予定だ。当面はプレナスの飲食店舗向けのIT化支援を行い、その後は他の飲食店向けにも展開していく計画となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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