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カドカワ・ドワ Research Memo(3):書籍IP、ポータル事業が主力

注目トピックス 日本株
■事業の内容

同社グループは、KADOKAWA・DWANGO<9468>のほかに事業を行うKADOKAWAやドワンゴなどの連結子会社33社と持分法適用会社13社で構成されており(2015年3月末時点)、書籍IP(Intellectual Property:知的財産)事業、情報メディア事業、映像IP事業、ポータル事業、ライブ事業、モバイル事業、ゲーム事業、その他の8つの事業を展開している。2015年3月期(6ヶ月変則決算)における売上構成は、書籍IP事業37.3%、情報メディア事業15.8%、映像IP事業15.1%、ポータル事業9.4%、ライブ事業1.2%、モバイル事業4.9%、ゲーム事業7.0%、その他9.2%であった。

(1)書籍IP事業

紙媒体の単行本、文庫、ライトノベル、コミックスなどの書籍に加えて、電子書籍の出版・販売等を行う。紙媒体の書籍販売はメディアミックスによる作品展開で数多くの実績があるほかライトノベルは業界トップを誇る。長年にわたりマーケティングに基づいた製作・出荷の適正化に取り組んでおり、書籍の返品率(2014年度35.8%)は業界平均(同37.5%)を下回る構造を確立している。

電子書籍は直営の電子書籍配信プラットフォーム「BOOK☆WALKER」で販売するほか、「ニコニコカドカワ祭り」の実施※や新刊同時発売などを行うことにより、Amazon Kindleなど、外部の電子書籍ストアでの販売拡大にも注力している。2015年6月末時点における累計電子書籍化点数は34,642点にのぼり、既刊本の電子化はほぼ完了している。2015年3月期の書籍IP事業の売上高(セグメント間の内部売上高消去前)は38,343百万円(営業利益(セグメント間利益調整前)は3,038百万円)。なお、同事業の売上の内訳は、電子書籍14.6%、一般文庫8.8%、ライトノベル12.5%、コミックス21.9%、一般書・新書ほか31.1%、その他11.1%。

※2014年10月1日から15年3月31日まで開催。書店でのネット特典配布、ニコニコ生放送特番、店頭での特別イベントなど、ドワンゴのサービスとKADOKAWAのコンテンツが連携した企画を展開した。

(2)情報メディア事業

「ザテレビジョン」、「ファミ通」、「レタスクラブ」など雑誌やムック誌のほか、「週刊ジョージア」、「ひかりTVガイド」などのカスタムメディア、雑誌及びWeb広告の販売などを手掛ける。

既存紙媒体のネット・デジタル化に伴い主力の雑誌の販売収入の低迷とそれに伴う広告販売の減少が続く厳しい環境に対応すべく、不採算部門の整理、合理化を行うと同時に、ゲーム情報ポータルサービスのローンチに向けた取り組みを始めるなど、紙媒体からデジタルメディアへの移行にも積極的に取り組んでいる。なお、雑誌の返品率は33.6%と書籍と同様に業界平均40.2%を下回る水準を確保している。2015年3月期の情報メディア事業の売上高15,953百万円(営業損失は1,164百万円)。同事業の売上内訳は、雑誌・ムック40.4%、雑誌広告15.0%、カスタムマガジン26.2%、Web広告6.8%、その他11.5%。

(3)映像IP事業

DVD、Blu-rayなどのパッケージソフトの販売、映画の企画・製作・配給等を行う。書籍IP事業やゲーム事業から生み出されるグループIP の映像化、実写映画及びアニメ作品の制作配給に注力している。さらに近年、映像配信にも積極的に取り組んでいる。2015年3月期の映像IP事業の売上高は15,866百万円(営業利益は987百万円)。同事業の売上内訳は、パッケージ販売49.3%、映画の企画・製作・配給10.5%、その他40.2%。

(4)ポータル事業

ポータル事業は書籍IP事業と並ぶ収益柱の事業。動画コミュニティサービス「niconico」は、ニコニコ動画、ニコニコ生放送、ニコニコ静画などの様々なサービスを提供。売上は、動画や生放送を快適に視聴できるプレミアム会員収入、ウェブサイト上のバナーなどの広告収入、有料動画などの視聴に利用するポイント収入などからなる。

2015年3月期末時点のプレミアム会員数は244万人(2015年6月末248万人)、一般登録会員数は4,706万人(同4,917万人)であったが、プレミアム会員数は7月に250万人を、一般登録会員数は8月に5,000万人をそれぞれ突破している。2015年3月期のポータル事業の売上高は9,565百万円(営業利益は1377百万円)。同事業の売上の内訳は、プレミアム会員収入78.0%、広告収入11.2%、ポイントその他の収入10.7%。

(5)ライブ事業

ライブ事業は各種イベントの企画・運営、イベント会場の賃貸等を行う。niconicoの広告宣伝塔の色彩が濃い。ニコニコ超会議※1、アニメロサマーライブ(夏開催)などのライブイベントの企画・運営を手掛ける。また、「ネットとリアルの融合を実現」した新しいエンタテインメントの形を創出するライブハウス「ニコファーレ」の運営を行うほか、2014年10月に「niconico」のアンテナショップ「ニコニコ本社」※2を池袋にリニューアル、グランドオープンし、その運営も行う。2015年3月期のライブ事業の売上高は1,191百万円(営業損失459百万円)。

※1「ニコニコのすべてを地上で再現する」をコンセプトに幕張メッセで行われるニコニコ最大のイベント。傘下するユーザーが「全員主役」となり、ネットとリアルが融合した様々な企画を展開する。15年4月25日、26日に開催された「ニコニコ超会議」は、来場者数15万1,115人、ネット総来場者数794万495人を記録した。
※2ニコニコ動画・ニコニコ生放送を中心として利用される施設で2011年4月に原宿でグランドオープンしたものを、池袋に移転、リニューアルしたもの。

(6)モバイル事業

モバイル事業は携帯電話やスマートフォン向けの音楽配信事業が主力事業でドワンゴの業績拡大に大きく貢献してきた。直近はフィーチャーフォンからスマートフォンシフトの影響によるフィーチャーフォン会員数の減少により事業規模は縮小する傾向にあるが、重要なキャッシュ・カウ事業である。シングル楽曲/着うたなどの配信を行う「dwango.jp(ドワンゴジェイピー)」や「animelo」の運営を行う。15年3月期のモバイル事業の売上高は4,966百万円(営業利益は1,756百万円)。

(7)ゲーム事業

ゲーム事業は連結子会社(株)フロム・ソフトウェア、(株)スパイク・チュンソフト、(株)角川ゲームス、(株)MAGES.の4社がパッケージゲームソフト及びネットワークゲームの企画・開発・販売を行っている。過去のヒットタイトルは、「ダークソウル」、「Bloodborne」(フロム・ソフトウェア)、「艦隊これくしょん」、「ダービースタリオン」(角川ゲームス)、「喧嘩番長」、「ダンガンロンパ」、「風来のシレン」(スパイク・チュンソフト)、「Steins;Gate」(MAGES.)。2015年3月期のゲーム事業の売上高は7,169百万円(営業損失は1,015百万円)。

(8)その他

その他事業は、キャラクター商品やアイドルCDのeコマース、アニメや「niconico」から生まれたコンテンツのCD販売や著作権利用収入、クリエイティブ分野で活躍する人材を国内外で育成するスクール運営などの事業からなる。2015年3月期の売上高は9,620百万円(営業損失は326百万円)であった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)



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