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デリカフーズ Research Memo(4):下期も新規顧客獲得による売上増が見込める

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

(1) 2016年3月期業績見通し

デリカフーズ<3392>の2016年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.6%増の29,600百万円、営業利益が同23.2%減の573百万円、経常利益が同24.3%減の580百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同28.4%減の350百万円と期初計画を据え置いている。

8月の猛暑や9月の長雨、豪雨の影響により、野菜価格の高騰や品質の悪化などが続いているものの、引き続きカット野菜を中心に販売は好調に推移していること、下期も新規顧客の獲得による売上増が見込めることなどから、売上高は計画を上回る可能性が高く、利益面でも現段階では計画どおりに推移するものと予想される。

今期の減益要因となる新FSセンター関連の立上げ費用や償却負担増の影響額については、奈良FSセンターで100百万円(立ち上げ費用30百万円、減価償却費70百万円)、東京昭島、名古屋のFSセンターで立ち上げ費用90百万円となる。東京昭島の稼働時期は2016年5月、名古屋は同年11月を予定しているが、人員の採用や教育費用、消耗品費などを今期に計上する見込みだ。

また、食品の安全・安心に対する取組みとして、食品安全マネジメントシステムの国際標準規格である「ISO22000」を今期中にグループ全工場で取得する計画(東京第一、第二FSセンター、神奈川工場は取得済み)となっているほか、さらに上位の安全認証規格となる「FSSC22000」※の認証も、東京第一、第二FSセンターで取得する計画を立てている。これら認証に関わる諸費用で15百万円程度かかる見通しだが、顧客獲得を進めていくうえでの先行投資費用と位置付けている。特にこれら国際標準規格の認証については外資系企業の顧客獲得を進めるに当たっては、有効性が高い。通常、新規に取引を行う際には工場の監査などを受け、それに合格する必要があるが、国際標準規格の認証を取得していれば、外資系企業では監査の必要なく無条件で合格となり、迅速な取引開始が可能となるためだ。
※「FSSC22000」:「ISO22000」に食品安全対策(フード・テロ対策、原材料やアレルギー物質の管理方法など)や、「食品安全に関連する要員の監視」「サービスに関する仕様」などを追加したもので、さらに上位の安全認証規格となる。

(2)中期計画について

同社では2012年に発表した中期5年間計画の最終目標となる2017年3月期の売上高35,000百万円、経常利益1,050百万円の達成に向けた取組みを進めている。経営施策としては、国内エリア拡大と海外展開、新規事業及び新規マーケットの参入に注力し、成長を加速していく計画となっている。

このうち、新規事業としては加熱野菜の本格量産化を2016年以降開始し、新規マーケットとしてはキット野菜や機能性表示による売場提案などにより、現在売上高の数%に留まっている量販店やコンビニエンスストア向けの売上拡大を進めていく戦略となっている。

○加熱野菜等の開発、量産に注力
同社では加熱野菜、キット野菜の開発に注力し、今後の事業拡大を進めていく。あらかじめ野菜を加熱することで、顧客側は調理時間を短縮できるメリットがある。人手不足が慢性化している外食、中食業界での需要拡大に対応するため、2016年から稼働する東京昭島、名古屋の新FSセンターで本格的な量産ラインを導入し、事業を拡大していくこととなった。既に共同開発の引き合いも来ているもようで、3年後に売上高で3,000百万円程度を目指していく考えだ。

○機能性表示への対応
2015年4月からの食品表示法の改正(機能性表示の解禁)によって、農産物に関しても単一成分での表示が解禁され、一部で機能性野菜としての販売が始まっている。これに対して、同社では1成分だけでは野菜の本当の機能性は表せないこと、産地や栽培時期によって品質に差が生じる問題があることなどから、独自の方法により野菜の価値を表現して販売する取組みを食品スーパーと共同で進めている。

具体的には食品スーパーの野菜売場で、デザイナーフーズが指導した「食のコンシェルジュ」を配置し、抗酸化力や栄養力、美味しさ力といった野菜の「中身」について、同社が蓄積してきた2.5万検体の分析データを基にチャート表示にし、消費者にわかりやすく紹介し、販売を行っている。現在はまだ3店舗での試験販売だが、順次、表示販売を行う店舗を拡大していく予定となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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