フジコー Research Memo(6):売上高は6期連続の増収を継続
[15/09/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
(1)過去の業績推移
過去の業績を振り返ると、2007年6月期から2009年6月期まで業績が下降線をたどっているのは、2005年10月の耐震偽装問題の発覚及び2006年6月の建築基準法の改正の影響(建築確認申請期間の延長等)により住宅着工件数の大幅な落ち込みやマンション建設の遅れがあったことに加え、2008年にはリーマン・ショックによる景気後退の影響を受けたものである。また、2007年11月にバイオマス発電施設を新設したことと時期が重なったことにより、減価償却費や支払利息の負担も重荷となった。
2010年6月期以降は、景気回復と取引先数の拡大に伴い売上高は回復基調にある。特に、バイオマス発電事業の業績貢献が大きくなるにつれ、収益性も高くなってきている。
一方、財務面では、2015年6月期の自己資本比率は39.4%であり財務基盤の安定性に懸念はない。2009年6月期に有利子負債の増加により22.5%の水準に低下したものの、その後は、第三者割当増資(2012年8月)や公募増資(2014年3月)のほか、借入金の返済により改善を図ってきた。なお、2015年6月期に有利子負債が再び増加しているのは、森林発電事業に係る設備投資によるものであり、フジコー<2405>単体の借入金については引き続き削減を図っている。一方、ROEについても、利益率の上昇とともに10%前後の水準を確保しており、資本効率の向上も図られてきた。
(2) 2015年6月期決算の概要
2015年6月期の業績は、売上高が前期比1.3%増の2,566百万円、営業利益が同3.2%減の343百万円、経常利益が同1.8%減の290百万円、当期純利益が同22.1%増の159百万円と緩やかな増収ながら営業減益となった。期初計画との対比でも、売上高で上回ったものの、利益では下回る着地であった。ただ、売上高は6期連続の増収を継続しており、森林発電事業への先行費用等により減益となったことを除けば、業績は総じて堅調に推移しているとみていいだろう。
主力の建設系リサイクル事業が、受入単価の向上や売電売上の伸長により期初計画を上回る増収に寄与した。その一方で、食品系リサイクル事業が受入数量の減少等により苦戦したことに加え、白蟻解体工事の縮小が業績の足を引っ張った。また、利益計画が未達となったのは、今期(2016年6月期)から営業開始予定である森林発電事業にかかる先行費用が若干計画を超過したことも要因となっている。
利益面では、収益性の高い建設系リサイクル事業の構成比が高まったことから売上総利益率が上昇したものの、森林発電事業への先行費用等により営業利益率は13.4%(前期は14.0%)に低下した。
財務面では、総資産が森林発電事業にかかる設備投資により4,362百万円(前期末比24.2%増)に拡大するとともに、それに対して約10億円の借入金を行ったことから自己資本比率は39.4%(前期末は46.2%)に低下した。ただ、財務基盤の安定性には依然として懸念のない水準である。また、有利子負債残高(リース債務を除く)については、長短併せて1,869百万円(前期末41.3%増)に増加したものの、同社単体の借入金については、低金利のシンジケートローンに一本化するとともに、大幅な削減(約4.5億円)を図っている。
キャッシュ・フローの状況も、営業キャッシュ・フローが安定的に推移する一方、投資キャッシュ・フローが1,262百万円の支出となっているのは、森林発電事業に対する設備投資(1,743百万円)によるものであるが、その一部は国庫補助金による収入(485百万円)によって賄われている。
事業別の業績は以下のとおりである。
建設系リサイクル事業は、売上高が前期比4.3%増の2,157百万円、売上総利益が同12.7%増の627百万円と期初計画を上回る増収増益となった。消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減から受入数量が減少したものの、受入単価が向上したことから受入売上は前期比3.1%増の1,770百万円となった。なお、期初計画を上回ったのは、各施設がフル稼働に近い状況にあることから受入数量の制限による影響を保守的に見積もっていたところ、外注委託による数量を確保したことや非建設系廃棄物の受入拡大に向けた営業を強化したことから、受入数量が想定よりも安定的に推移したことも要因となっている。一方、売電売上についても、前期比10.2%増の387百万円と順調に伸長した。利益面でも、受入単価の向上や収益性の高い売電売上の伸びにより売上総利益率は29.1%(前期は26.9%)に上昇した。
食品系リサイクル事業は、売上高が前期比7.8%減の258百万円、売上総利益が2百万円の損失(前期は35百万円の売上総利益)と減収及び損失に転落した。堆肥化の大幅な縮小(53.1%減)は計画どおりであったが、飼料化の伸び悩み(2.5%減)が想定外であり、業績の足を引っ張った。前期(2014年6月期)後半において、大雪による豚舎被害やPED(流行性の下痢)等による影響から液状飼料の販売数量が低調に推移したことから、飼料として栄養価の低い野菜等の受入制限を実施したことが響いた。2014年9月頃から液状飼料の需要は拡大しているものの、受入れの方は早急に対応できる性質のものではないことから受入数量の減少につながった。もっとも、第4四半期より学校給食等の新規契約先からの受入れを開始しており、足元では回復しているもようである。一方、液状飼料の売上は、需要拡大を背景として販売数量及び単価ともに好調であったことから24百万円(前期比84.6%増)と伸長した。また、鉾田ファーム(養豚事業)も好調に推移している。利益面では、液状飼料の販売拡大に伴い人件費や運送費が増加するとともに、収益性の高い受入売上の減少が利益を下押したことから売上総利益は損失に転落した。
白蟻解体工事は、売上高が前期比19.3%減の150百万円、売上総利益が同83.3%減の1百万円と減収減益となった。消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減により解体工事件数が減収したことに加えて、白蟻工事も、主要取引先の仕様変更等により新築工事件数が減少した。
新規事業である森林発電事業は、今期(2016年6月期)より営業開始予定のため売上貢献はない。ただ、発電燃料として利用する原木の購入を開始していることから、仮置場の地代家賃や機械リース料等が発生しており、約34百万円の費用(販管費)が計上されている(計画比では4百万円ほど超過したもよう)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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(1)過去の業績推移
過去の業績を振り返ると、2007年6月期から2009年6月期まで業績が下降線をたどっているのは、2005年10月の耐震偽装問題の発覚及び2006年6月の建築基準法の改正の影響(建築確認申請期間の延長等)により住宅着工件数の大幅な落ち込みやマンション建設の遅れがあったことに加え、2008年にはリーマン・ショックによる景気後退の影響を受けたものである。また、2007年11月にバイオマス発電施設を新設したことと時期が重なったことにより、減価償却費や支払利息の負担も重荷となった。
2010年6月期以降は、景気回復と取引先数の拡大に伴い売上高は回復基調にある。特に、バイオマス発電事業の業績貢献が大きくなるにつれ、収益性も高くなってきている。
一方、財務面では、2015年6月期の自己資本比率は39.4%であり財務基盤の安定性に懸念はない。2009年6月期に有利子負債の増加により22.5%の水準に低下したものの、その後は、第三者割当増資(2012年8月)や公募増資(2014年3月)のほか、借入金の返済により改善を図ってきた。なお、2015年6月期に有利子負債が再び増加しているのは、森林発電事業に係る設備投資によるものであり、フジコー<2405>単体の借入金については引き続き削減を図っている。一方、ROEについても、利益率の上昇とともに10%前後の水準を確保しており、資本効率の向上も図られてきた。
(2) 2015年6月期決算の概要
2015年6月期の業績は、売上高が前期比1.3%増の2,566百万円、営業利益が同3.2%減の343百万円、経常利益が同1.8%減の290百万円、当期純利益が同22.1%増の159百万円と緩やかな増収ながら営業減益となった。期初計画との対比でも、売上高で上回ったものの、利益では下回る着地であった。ただ、売上高は6期連続の増収を継続しており、森林発電事業への先行費用等により減益となったことを除けば、業績は総じて堅調に推移しているとみていいだろう。
主力の建設系リサイクル事業が、受入単価の向上や売電売上の伸長により期初計画を上回る増収に寄与した。その一方で、食品系リサイクル事業が受入数量の減少等により苦戦したことに加え、白蟻解体工事の縮小が業績の足を引っ張った。また、利益計画が未達となったのは、今期(2016年6月期)から営業開始予定である森林発電事業にかかる先行費用が若干計画を超過したことも要因となっている。
利益面では、収益性の高い建設系リサイクル事業の構成比が高まったことから売上総利益率が上昇したものの、森林発電事業への先行費用等により営業利益率は13.4%(前期は14.0%)に低下した。
財務面では、総資産が森林発電事業にかかる設備投資により4,362百万円(前期末比24.2%増)に拡大するとともに、それに対して約10億円の借入金を行ったことから自己資本比率は39.4%(前期末は46.2%)に低下した。ただ、財務基盤の安定性には依然として懸念のない水準である。また、有利子負債残高(リース債務を除く)については、長短併せて1,869百万円(前期末41.3%増)に増加したものの、同社単体の借入金については、低金利のシンジケートローンに一本化するとともに、大幅な削減(約4.5億円)を図っている。
キャッシュ・フローの状況も、営業キャッシュ・フローが安定的に推移する一方、投資キャッシュ・フローが1,262百万円の支出となっているのは、森林発電事業に対する設備投資(1,743百万円)によるものであるが、その一部は国庫補助金による収入(485百万円)によって賄われている。
事業別の業績は以下のとおりである。
建設系リサイクル事業は、売上高が前期比4.3%増の2,157百万円、売上総利益が同12.7%増の627百万円と期初計画を上回る増収増益となった。消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減から受入数量が減少したものの、受入単価が向上したことから受入売上は前期比3.1%増の1,770百万円となった。なお、期初計画を上回ったのは、各施設がフル稼働に近い状況にあることから受入数量の制限による影響を保守的に見積もっていたところ、外注委託による数量を確保したことや非建設系廃棄物の受入拡大に向けた営業を強化したことから、受入数量が想定よりも安定的に推移したことも要因となっている。一方、売電売上についても、前期比10.2%増の387百万円と順調に伸長した。利益面でも、受入単価の向上や収益性の高い売電売上の伸びにより売上総利益率は29.1%(前期は26.9%)に上昇した。
食品系リサイクル事業は、売上高が前期比7.8%減の258百万円、売上総利益が2百万円の損失(前期は35百万円の売上総利益)と減収及び損失に転落した。堆肥化の大幅な縮小(53.1%減)は計画どおりであったが、飼料化の伸び悩み(2.5%減)が想定外であり、業績の足を引っ張った。前期(2014年6月期)後半において、大雪による豚舎被害やPED(流行性の下痢)等による影響から液状飼料の販売数量が低調に推移したことから、飼料として栄養価の低い野菜等の受入制限を実施したことが響いた。2014年9月頃から液状飼料の需要は拡大しているものの、受入れの方は早急に対応できる性質のものではないことから受入数量の減少につながった。もっとも、第4四半期より学校給食等の新規契約先からの受入れを開始しており、足元では回復しているもようである。一方、液状飼料の売上は、需要拡大を背景として販売数量及び単価ともに好調であったことから24百万円(前期比84.6%増)と伸長した。また、鉾田ファーム(養豚事業)も好調に推移している。利益面では、液状飼料の販売拡大に伴い人件費や運送費が増加するとともに、収益性の高い受入売上の減少が利益を下押したことから売上総利益は損失に転落した。
白蟻解体工事は、売上高が前期比19.3%減の150百万円、売上総利益が同83.3%減の1百万円と減収減益となった。消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減により解体工事件数が減収したことに加えて、白蟻工事も、主要取引先の仕様変更等により新築工事件数が減少した。
新規事業である森林発電事業は、今期(2016年6月期)より営業開始予定のため売上貢献はない。ただ、発電燃料として利用する原木の購入を開始していることから、仮置場の地代家賃や機械リース料等が発生しており、約34百万円の費用(販管費)が計上されている(計画比では4百万円ほど超過したもよう)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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