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フジコー Research Memo(8):循環型経済社会に貢献するバイオマス発電事業拡大に注力

注目トピックス 日本株
■成長戦略

フジコー<2405>の成長戦略の軸は、バイオマス発電事業の拡大と電力小売事業への参入である。2012年7月に政府により「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が導入されたことを事業拡大のチャンスと捉え、これまで培ってきたバイオマス発電の技術力やノウハウを生かして、「森林資源を活用したバイオマス発電事業」に着手した。主力事業である建設系リサイクル事業では、建設業界の景気変動による影響を受けやすいことから、多様な廃棄物の取扱いや取引先の分散化による売上高の安定確保を進めてきたが、今後は安定した電力供給が可能であるとともに、CO2の削減や循環型経済社会の構築にも貢献するバイオマス発電事業の拡大に注力する方針である。

具体的には、2014年1月、電力代理購入サービスを手掛けるエナリス<6079>との合弁により、森林資源の豊富な隣接県を有する岩手県二戸群一戸町にバイオマス発電会社(一戸フォレストパワー)とバイオマス燃料製造会社(一戸森林資源)を設立した。両社は、岩手県及び秋田県北部、青森県南部の森林木材を燃料として、自然エネルギー電力の発電を行い、別途設立したPPS(御所野縄文パワー)を通じて、地元の小中学校、役場等の公共施設、事業会社へ電力供給を行う計画である。地域で発生する木材を燃料として、地元で発電を行い、地元に電力を供給することによる地産地消と雇用創出を実現する先駆的な事業モデルと言える。

合弁事業となったのは、同社の燃料収集及び発電施設の運営管理ノウハウと、エナリスの発電施設建設及び電力流通技術、多様な資金調達ノウハウを融合することが目的である。特に、自然エネルギー電力の中でも安定性の高いバイオマス発電による電源確保に意欲的であったエナリスと、安定的な販売先を確保したかった同社の利害が一致したことが大きい。

なお、発電施設の完成は計画どおり2016年2月を予定しているが、本格稼働は5月頃となる見通しであり、本格的な業績貢献は2017年6月期以降となるもようである。現在の発電施設で年間約17億円の売上高が見込まれているため、順調に進捗すれば、同社の成長を後押しするとともに、少なくとも固定価格買取制度が適用される20年間は、業績の安定と収益力の向上をもたらす可能性が高い。他の自治体からの要請も高いことから、同社では山林の多い青森県や秋田県などを候補地として、事業モデルの横展開も視野に入れている。

また、食品系リサイクル事業として展開している液状飼料についても注力する考えである。液状飼料は、従来の飼料よりも効率が高い(食品残渣を乾燥させる時間や燃料費がかからない)上、販売を外部委託に切り替えてからは徐々に養豚事業者に広がりつつある。また、ゴミの分別などが廃棄物を集める上でネックとなっていたが、それも環境問題に対する意識の高まりから解消されてきており、食品系リサイクル事業の拡大余地は大きい。加えて、飼料代の高騰などで事業継続の危機を迎えている中小規模の畜産農家を支援する事業としても社会的な意義が大きいと位置付けている。

一方、主力事業である建設系リサイクル事業については、廃棄物処理施設の事業用地取得から営業稼働運転を開始するまでに長期間を要することなどから、同業他社との事業提携やM&Aを中心とした事業拡大を図る方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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