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ホットリンク Research Memo(5):大幅増収増益となる期初計画を据え置き

注目トピックス 日本株
■業績動向

(3) 2015年12月期業績見通し

ホットリンク<3680>の2015年12月期の連結業績は、売上高が前期比135.7%増の2,423百万円、営業利益が同41.9%増の208百万円、当期純利益が42.8%増の106百万円と期初計画を据え置いている。売上高に関しては第2四半期までの進捗率が50%となっており、達成は十分可能とみられる。一方、利益面では会計基準をIFRSに変更することで、のれん償却費の損金計上がなくなるため、増益に転じる見通しとなる(第3四半期までは従来会計基準)。2014年12月期ののれん償却前営業利益は204百万円だったことから、実質ベースでは微増益となる。売上高の伸びに対して利益が伸び悩むのは、前述したM&Aにかかる費用、ロイヤルティ費用など一時的費用の増加や、事業拡大に伴う人件費増などが要因となる。第2四半期までは計画をやや下回って推移したことから、下期のハードルは高いものの、ソリューションサービスを中心に一段の売上拡大を進めることによって、業績計画の達成を目指していく方針だ。

サービス別で見ると、SaaSは前期比微増収を見込んでいる。「e-mining」に続いて、「クチコミ@係長」の新バージョンをリリースしたことで、新規受注の増加や解約率の低減を見込んでいる。ただ、ソーシャル・ビッグデータを利活用する企業は依然、大企業が中心であり、中堅、中小企業への本格的な普及にはまだしばらく時間がかかるとみている。

一方、ソリューションサービスでは引き続きSocialgistの売上拡大が見込まれる。中国の市場動向をソーシャル・ビッグデータから分析し、企業のマーケティング戦略やリスクマネジメントに利活用するニーズは依然大きいとみられる。また、金融市場での大手SNSのStokTwit®に続いて、9月には位置情報をベースとしたSNSで世界トップとなる米Foursquare®との業務提携契約も発表し、Foursquare®の位置情報付きユーザーレビューデータを世界で販売することが可能となった。

これにより、O2O施策のインサイト分析やIoT関連サービスの開発促進などが可能となり、今まで以上に精度の高いマーケティング支援サービスや多様なサービスを展開できるようになったと言える。ソーシャル・ビッグデータの流通プレイヤーとしては、世界でも大手は数社に限られるが、同社グループは独立系としてトップの地位を確立することになり、今後の事業拡大が期待される。

国内事業では新たに金融業界向けに「e-mining」を活用したソーシャル・ビッグデータの提供を開始している。具体的には、宮崎銀行<8393>が農業や漁業、酪農家などの顧客に対して開発した「風評被害対策見舞金支払いサービス付き」融資商品に対し、見舞金の支払い基準としてソーシャル・ビッグデータを活用するものとなる。具体的には、あらかじめ設定したキーワードがソーシャルメディア上で一定基準以上書き込みがあった場合に、風評被害と認定し、宮崎銀行が融資先に見舞金を支払う格好となる。金融商品向けにソーシャル・ビッグデータが活用されるのは今回が初めてで、今後も同様の金融商品が他の金融機関から商品化される可能性は高く、同社にとってはビジネスチャンスの拡大になると考えられる。

また、観光業界向けに関しても新たに8月に日本最大のインバウンド業界向けBtoBポータルサイト「やまとごごろ.jp」(法人会員数14,000名以上)を運営する(株)やまとごごろと業務提携を発表した。同提携によって、インバウンド消費関連企業に対するプロモーション施策やサービス開発についての共同開発・販売を行っていく。まずは、「図解 中国トレンドExpress」の共同プロモーションによる販売から開始する。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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