ティー・ワイ・オー Research Memo(6):コア領域であるTV-CM制作は、景気に左右されにくい安定市場
[15/10/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業界環境
電通の調査によれば、広告市場(TV-CM市場)は、約90%の媒体費と約10%の制作費から構成されている。TV-CM制作市場は、媒体取引に比べると市場規模が小さいものの、媒体価格が景気変動の影響を受けやすいのとは対照的に、景気に左右されにくい安定した市場であるところに特徴があり、その点が媒体取引を主体とする広告代理店との最大の違いである。TV-CM制作市場は、過去数年にわたって安定的かつ着実な伸びを見せており、今後も2020年の東京オリンピック開催に向けて、企業の宣伝広告活動が活発化することが予想されており、TV-CM制作市場の拡大も見込まれている。
また、ティー・ワイ・オー<4358>が戦略分野として位置付けている広告主直接取引は、従来のTV-CM制作やWeb制作に加えて、国内イベント、プロモーションメディア、マーケティングリサーチ、PR、ブランド・コンサルティング、店舗開発等、あらゆる広告周辺市場をターゲットにしている。現業での主な対象市場であるTV-CM制作やWeb制作ではそれぞれ約2,000億円規模のマーケットであるが、例えば国内イベント市場やプロモーションメディア広告はともに約2兆円規模の広大な市場を形成しており、広告主直接モデル推進による周辺領域への進出によって、同社のマーケット規模は格段に拡大するとみている。
この分野への進出は、他の大手CM制作会社とは一線を画しており、広告主直接取引を推進する同社だからこそ取り込める周辺領域としてポテンシャルの高さと捉えることができよう。
競合環境に関しては、業界老舗の東北新社<2329>を筆頭に、同社、AOI Pro.<9607>の大手3社によって市場全体の約30%(同社の市場シェアは9.0%)が占められている。一方、一般社団法人日本アド・コンテンツ制作者連盟(JAC)正会員数の推移を見ると、1992年の143社をピークとして2014年には96社に減少する傾向が見られるが、大手3社の市場シェアが拡大していることから、業界の寡占化が進展していると考えられる。その背景には、広告主側の情報管理を含めたコンプライアンス意識の高まりや、スケールメリットが働く事業構造であることから、小規模の事業者が案件を受けにくくなってきたことが考えられる。
一方、広告主側の変化として、これまで広告代理店に対して一括して発注するのが一般的であったが、媒体と制作とを分けて発注する動きが見られ始めたことも挙げられる。それぞれの分野において最適な取引先を自ら選定することにより、コストパフォーマンスの向上を図ることに狙いがあるとみられる。広告代理店と制作会社との棲み分けをはっきりすることにより、両者の共存共栄の補完的な関係がさらに強まることは、広告主との直接取引の拡大を目指す同社にとっては事業拡大の好機として捉えることができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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電通の調査によれば、広告市場(TV-CM市場)は、約90%の媒体費と約10%の制作費から構成されている。TV-CM制作市場は、媒体取引に比べると市場規模が小さいものの、媒体価格が景気変動の影響を受けやすいのとは対照的に、景気に左右されにくい安定した市場であるところに特徴があり、その点が媒体取引を主体とする広告代理店との最大の違いである。TV-CM制作市場は、過去数年にわたって安定的かつ着実な伸びを見せており、今後も2020年の東京オリンピック開催に向けて、企業の宣伝広告活動が活発化することが予想されており、TV-CM制作市場の拡大も見込まれている。
また、ティー・ワイ・オー<4358>が戦略分野として位置付けている広告主直接取引は、従来のTV-CM制作やWeb制作に加えて、国内イベント、プロモーションメディア、マーケティングリサーチ、PR、ブランド・コンサルティング、店舗開発等、あらゆる広告周辺市場をターゲットにしている。現業での主な対象市場であるTV-CM制作やWeb制作ではそれぞれ約2,000億円規模のマーケットであるが、例えば国内イベント市場やプロモーションメディア広告はともに約2兆円規模の広大な市場を形成しており、広告主直接モデル推進による周辺領域への進出によって、同社のマーケット規模は格段に拡大するとみている。
この分野への進出は、他の大手CM制作会社とは一線を画しており、広告主直接取引を推進する同社だからこそ取り込める周辺領域としてポテンシャルの高さと捉えることができよう。
競合環境に関しては、業界老舗の東北新社<2329>を筆頭に、同社、AOI Pro.<9607>の大手3社によって市場全体の約30%(同社の市場シェアは9.0%)が占められている。一方、一般社団法人日本アド・コンテンツ制作者連盟(JAC)正会員数の推移を見ると、1992年の143社をピークとして2014年には96社に減少する傾向が見られるが、大手3社の市場シェアが拡大していることから、業界の寡占化が進展していると考えられる。その背景には、広告主側の情報管理を含めたコンプライアンス意識の高まりや、スケールメリットが働く事業構造であることから、小規模の事業者が案件を受けにくくなってきたことが考えられる。
一方、広告主側の変化として、これまで広告代理店に対して一括して発注するのが一般的であったが、媒体と制作とを分けて発注する動きが見られ始めたことも挙げられる。それぞれの分野において最適な取引先を自ら選定することにより、コストパフォーマンスの向上を図ることに狙いがあるとみられる。広告代理店と制作会社との棲み分けをはっきりすることにより、両者の共存共栄の補完的な関係がさらに強まることは、広告主との直接取引の拡大を目指す同社にとっては事業拡大の好機として捉えることができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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