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トライステージ Research Memo(5):上期業績の増額分が通期でも上乗せされる可能性

注目トピックス 日本株
■業績動向

(2) 2016年2月期の業績見通し

トライステージ<2178>の2016年2月期の連結業績は売上高が前期比8.2%増の34,818百万円、営業利益が同16.0%減の772百万円、経常利益が同18.0%減の764百万円、当期純利益が同23.1%減の410百万円と期初会社計画を据え置いている。下期については顧客企業の動向やメディア環境等がまだ不確定なためとしている。今後も市場環境に大きな変化がなければ上期業績の増額分が通期でも上乗せされる可能性が高いと弊社ではみている。なお、増収減益でみているのは、下期にWeb事業や海外事業など新規事業に関する先行投資費用を見込んでいるためだ。ただ、足元の業績が順調に推移していることから、増益となる可能性もある。事業ごとの施策に関しては以下のとおりとなる。

○既存事業
既存事業に関しては引き続き新業種の顧客開拓や、適正なメディア枠の仕入れ・販売を行っていくことで、収益性を維持しながら売上高を積極的に拡大していく方針だ。

新たな取り組みとしては、2015年9月に関西支店を開設し、関西・中四国地区でのメディア枠の仕入量拡大と、新規顧客を開拓していく方針を打ち出した。メディア枠については従来も代理店経由で仕入れてきたが、今回は一部の関西ローカル局においてメディア枠の直接仕入れが初めて可能となり、今まで以上に仕入量の拡大と収益性向上が期待できるようになった。中四国地区においても現在、直接仕入れの交渉を進めている段階にある。関西支店では5名体制で営業活動を行っており、通販企業の発掘・育成を行うことで、関西、中四国地区での通販市場を拡大していきたい考えだ。また、その他の地区においても、状況を見ながら進出していく意向となっている。

その他、2015年4月より解禁された機能性表示食品について、広告表現の相談サービス「KINO-ad」を8月より開始している。機能性表示食品そのものは解禁されたものの、その広告表現に関して行政側の広告表示規制基準や、メディア側の広告考査基準などがまだ未整備の状況にあり、食品関連事業者などから広告表現方法についての問い合わせが多くなっている。「KINO-ad」では、健康食品についての多数の広告考査対応実績を活かして、広告考査事例の紹介や広告考査まで見据えた届出文言、広告コピーのアドバイスを行っていく。同サービスを通じて新規顧客の獲得につなげていきたい考えだ。

○Web事業
Web事業ではテレビ広告の強みを活かして、オフラインアトリビューション分析と動画広告を推進していく。8月にはインターネット広告効果測定システムの最大手であるロックオン<3690>との協業を発表。インフォマーシャルやテレビCMを見て、Web経由で購入に至る消費者の動向をリアルタイムで可視化できる新たな広告効果測定サービスを共同開発し、2015年内にもリリースする予定となっている。

従来もWeb購入に対するテレビの貢献度を分析することによって、広告出稿を最適化するオフラインアトリビューションサービスを行っていたが、新たに開発するサービスでは、リアルタイムでの効果分析が可能となり、インフォマーシャルやテレビCMなど枠単位での詳細な成果が分析できることから、今まで以上に精度の高い効果測定と広告出稿の最適化ソリューションサービスを提供できるようになる。同サービスにより、Web広告の販売も拡大していくほか、現在市場が拡大しているWebの動画広告領域についてもM&Aなども視野に入れながら進出していきたい考えだ。

○海外事業
海外事業では「ASEAN+1」(シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、インドネシア、台湾)において、日本企業向けのマルチチャネル型通販支援サービス※1を推進していくほか、顧客企業に代わってBtoCビジネスも開始していく予定となっている。
※1マルチチャネル型通販支援サービス・・・TVインフォマーシャルだけでなく、アウトバウンド、EC、リテール(店舗流通)を含めたサービス

2015年3月にはタイの最大手通販事業者であるTV Direct社と業務提携したほか、6月にはTV Direct社のマレーシア法人とも業務提携するなど辺地企業とのアライアンスも積極化している。また、7月には内閣府の「第3回ふるさと名品開発促進協議会」に参画し、「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」の実行委員※2として任命されており、同活動を通じて、日本各地の生産者との連携を深め、地域ごとの特産品に対して、主に海外でのダイレクトマーケティング支援を行っていく予定だ。
※2実行委員会は同社のほか、ヤフー<4689>、JTB、楽天<4755>、電通<4324>の5社。

○DM発送代行事業
DM発送代行事業では、既存事業に対する収益性の向上と新事業の開発・拡大に取り組んでいく。のれん償却前の営業利益率で1%弱と収益性の低さが課題となっているが、最大の要因は、売上高の約8割が代理店経由、約7割が付加価値の低いDM発送代行サービスで占められていることにある。このため今後は直販比率を上げていくほか、DM発送代行サービスだけでなく、付加価値の高いDM制作・印刷・データ処理作業等へ事業領域を拡大し、収益性を向上していく戦略だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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