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BS11 Research Memo(3):認知度向上の余地が大きいため、収益成長余地も大きい

注目トピックス 日本株
■会社概要

(2)事業モデルと収益構造

a)収入の構造
日本BS放送<9414>は放送法に基づく認定基幹放送事業者としてBS(放送衛星)を用いたデジタル放送を行っている。現在BS放送のチャンネルは31チャンネルあるが、これらは無料放送と有料放送とに分けられる。無料放送を行っているのは、同社のほかには民放キー局系列の5社とTwellV、Dlifeしかない。すなわち同社は、無料放送であることとキー局系列に属さない独立系であることの2つの特徴を持ったBS放送局である。

同社の収益構造は、同じく無料放送を行っている地上波のテレビ局と同様、広告収入が基本となっている。すなわち「広告枠」が同社の商品であるが、それらは、タイム枠、持込枠、通信販売枠などに細分類することができる。同社の売上高内訳の開示法としては、タイム収入、スポット収入、その他に分類されている。2015年8月期実績ではタイム収入が72.1%、スポット収入が25.5%、その他が2.4%となっている。

収入源である広告枠の販売動向を左右するのは、認知度(視聴者によるBS各局及び番組についての認知度合い)で、両者には明確な相関関係が読み取れる。この理由は、広告主がより高い効果を求めて、認知度調査や前出の視聴世帯数調査などの結果を参考にしながら出稿先のBS局や番組を選定してくるためと考えられる。

現状では、同社の認知度は40%程度とみられ、キー局系列BS大手5社に比較して一段低いレベルにある。それゆえ同社の売上高の水準も、キー局系列5社が15,000百万円〜16,000百万円の水準にあるのに対して同社は9,000百万円の水準にとどまっている。裏を返せば、認知度が高水準に達したキー局系列5社に比較して、同社は認知度向上の余地が大きく、それだけ収益成長余地も大きいということができる。

b)費用の構造
BS放送局の特徴は、放送衛星を通じて日本全国に電波を送ることができるため、地上局のネットワーク構築が不要な点にある。それに対して地上波の放送局の場合は、各地に放送用電波塔を建設し、中継基地等を経由して電波を届けることになるため、BS局には存在しないネットワーク維持費が原価に加わることになる。両者の差は小さいように見えるが、実際には、放送コストで100倍近くの差があるとも言われている(同社とキー局ネットワーク1系列との比較のイメージ)。

BS放送局と地上波放送局のコスト構造の違いは、商品である広告枠の価格の差にストレートに反映されることになる。すなわち、広告単価がBS放送と地上波放送とでは10倍〜20倍の差があると言われている。しかし放送コストが低いため、広告単価がそれだけ低くてもBS放送局の利益率は地上波放送局のそれを上回っているとみられる。

重要なことは、BS放送の広告単価が地上波放送と比べて10〜20分の1に固定されているわけではないということだ。同社は半年ごとに広告単価の改定交渉を行っているが、同社の広告価値向上を反映して毎回10%程度の単価引き上げが続いている状況にある。

c)視聴者層
BS放送の市場は地上波放送と比較して視聴者の年齢層において大きな特徴がある。それは、男女ともに、50代〜70代が中心となっていることだ。このことは、いくつかの重要な示唆を含んでいる。テレビとインターネットの競合が言われて久しいが、BS放送は中心年齢層が高いため、この点はまだ大きなイシューとはなっていない。また、時間帯ごとの視聴者の年齢層にメリハリがあるため、番組編成や番組作りにおいて、年代ごとのニーズに特化したメリハリのある番組作りを進めやすく、また、広告主の側からも、ターゲットを絞った広告戦略を打ちやすいという利点が想定される。実際に同社は、視聴者の年齢層とその視聴行動を十分に分析・理解し、番組作りや広告宣伝にそれを活かして、認知度向上と広告収入拡大のための効率性を強く意識した経営を行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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