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BS11 Research Memo(4):同社は市場成長をアウトパフォームする成長を実現

注目トピックス 日本株
■BS11の強みと成長戦略

(1)総論

日本BS放送<9414>の売上高は広告の本数と広告単価の積で決まる。単価と数量の双方を上昇・拡大させて収益の拡大につなげていくことが基本的な同社の成長戦略だ。市場環境として、BS放送の広告市場はこれまで年率11%以上の成長を続けているが、同社は設立以来それをアウトパフォームする成長を実現してきた。弊社では、同社が今後も市場全体の伸びを上回るペースで収益成長を継続することは、十分可能であると考えている。その理由は、前述のように、同社の認知度が現状はまだ十分に高いとは言えず、それが逆に成長余地につながると考えられることと、後述するような同社の強み・特徴を生かした各種施策により、認知度や視聴世帯数の向上を実現できると考えられることである。

同社は認知度向上に向けた当面の施策として、「放送番組の充実」と同社自身についての「積極的な広告宣伝活動」の2つを大きな枠組みとして掲げている。この2つに、独立系BS放送局である同社の根源的強みである、「広告主にとって使い勝手の良い広告枠の提供力」が合わさって、認知度向上が広告収入増へつながる流れが加速し、初期の成長シナリオを実現させることができると弊社では期待している。

(2)放送番組の充実

同社はテレビ放送業界の慣行に従い、毎年4月と10月にメジャーな番組改編を行っている。2015年10月の改編では、紀行番組や家電情報番組、アニメ情報番組などを新たに制作し、レギュラー番組化した。なかでも同社が期待をかけるのは「尾上松也の古地図で謎解き!にっぽん探究」だ。これは若手人気歌舞伎俳優の尾上松也氏を起用して古地図片手に全国を巡り、地域の魅力と歴史の謎に迫るというものだ。

同社はこれをエース番組の1つに育てることを狙っている。同番組は2015年1月にトライアル番組として放送されたが、その際の視聴者からの高評価を受けて今回、レギュラー番組となった。10月6日のスタート後、機械化された視聴世帯数調査が行われたが、期待どおりの好調な出足となったもようだ。基本的に同社は、番組作りにおいて、トライアル番組で視聴者の反応を見たうえで次のステップに進むという、慎重なスタンスを採用し、リスクを抑えて成功可能性を高める番組制作を心掛けている。

同社はまた特別番組やスポーツ番組の充実にも注力している。特別番組では、昭和歌謡特集など、視聴者の中心年齢層に合わせた企画番組を月2本程度のペースで放送している。スポーツでは一定のファンがいながらもテレビで取り上げられることが少ない種目や、リアルタイム放送のニーズが高くない種目などにフォーカスを当てることで、他社との差別化を図っている。

同社は、通信販売・ドラマ・アニメ・競馬の高収益の番組コンテンツを確立しており、昼間や深夜の時間帯においては一定のプレゼンスを確立している。収益拡大という点では、自社制作番組が中心となるゴールデンタイム(夜8時から11時)の視聴世帯数をどう高めて広告収入につなげるか、ということが課題となっている。前述の「尾上松也の古地図で謎解き!にっぽん探究」は、この時間帯に切り込む先鋒の役割が期待されており、今後の進展が注目される。

(3)積極的な広告宣伝活動

認知度向上のための重要な施策として、同社は自社の広告宣伝にも注力している。2015年初頭からイメージキャラクターのネーミングを公募し、決定した「じゅういっちゃん」を本格稼働させるとともに、新聞・雑誌への出稿、花火大会などのイベントへのブースの出展、ラジオ番組の開始などの施策を行っている。また、SNSサイト「BSイレブンファン」の開設や映画「罪の余白」の製作出資なども行っている。

前述のように、BS放送の視聴者の中心年齢層は、50代〜70代だ。これらの世代は、新聞を丹念に読むほか、ラジオの聴取率も他の年齢層に比べて高いという傾向がある。同社はそうした現状を踏まえて、全国紙及び地方紙に毎月出稿を行っているほか、早朝時間帯のラジオ番組で自社番組の宣伝を行っている。弊社ではこうした施策が認知度向上に一定の成果をもたらすものと期待している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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