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高木証券 Research Memo(3):独自のファンド分析ツールに加えて、業界初の投信専門店「投信の窓口」をオープン

注目トピックス 日本株
■会社概要

(2)特長

高木証券<8625>は、創業以来、個人取引を中心とした対面営業に徹してきたが、その強みを生かせる商品として、投資信託のコンサルティング営業に注力している。ここ数年の業績を振り返っても、投資信託の関連手数料が同社業績の下支えとなってきた。

同社は、更なる差別化を図るため、投資信託の品揃えを充実させるとともに、国内で設定されている約4,200本の公募投資信託について、公平・中立・透明に評価できる組織として「ファンド・リサーチセンター」を新設し、そこで設計される「ファンド・ラボ」シリーズ(ファンド分析ツール)を活用したコンサルティング営業を開始した。顧客の保有する投資信託の客観的な診断や顧客の運用ニーズにあった投資信託(組み合わせも含め)の提案を行うサービスである。系列運用会社の投資信託を扱っている大手証券会社には難しいサービスと言える。また、各ファンドを評価する調査会社はあるが、顧客のポートフォリオの診断及び提案にまで踏み込むものは他に類を見ない。顧客の利益を最優先とするサービスの提供により、顧客との信頼関係を構築することで、結果として投資信託の取扱いを増やすことを目的としている。

なお、診断及び提案の結果を販売に結び付けるため、投資信託の品揃えを1,450本(2年前の約4倍)にまで増やしてきた。今後もさらに増やしていく方針であるが、系列以外では取扱いできないものや満期の近いもの、残高が10億円を下回るものなどを除くと、同社の取扱いが可能となる投資信託は最大で約2,800本とみられるため、そのうち約50%を既にカバーしていることになる。これは、大手証券を含め対面営業を中心とした証券会社の中では圧倒的な品揃えと言える。

また、これまでの取り組みとして、各店舗に同社独自の「投信の窓口」やセミナー会場の設置を進め、店頭への集客力を高める活動を推進してきたが、11月2日には業界初となる投資信託の専門店である「投信の窓口」を東京・日本橋(本店)と三軒茶屋に同時オープンした。

事前予約制による無料相談窓口となっており、「くらべる。選べる。納得できる。」をコンセプトとして、取扱金融機関を問わず、国内約4,200本の投資信託を「ファンド・ラボ」の活用により客観的に診断するところに特長がある。同社は、これまでの各支店に設置した「投信の窓口」やセミナーの開催等によるマーケティングを通じて手応えを得ており、とにかく体験してもらう機会さえ確保できれば成功の確度は高くなるものと見込んでいる。裏を返せば、いかに認知度を高めて集客を図るかが最大の課題となっており、日経新聞への広告や店舗周辺の駅広告、電車の中吊り広告、周辺地域への折込み広告などを中心とした積極的な広告宣伝活動や週1回ペースでのセミナー開催などに取り組んでいる。また、来春からは「投信の窓口」オンラインサービスの開始も予定している。

ターゲットは、既に投資信託を保有している個人投資家であり、同社に口座を開設していなくても無料診断及び相談が可能となっており、新たな顧客層の取り込みに狙いがある。最初の2店舗が軌道に乗ってくれば、さらに都内を中心に店舗数を拡大する予定であり、加えて、これまでのセミナーなどで好感触を得ている近畿圏への出店も視野に入れているようだ。

また、差別化戦略の一環として国内だけでなく東南アジア株式の取扱いも行っている。現在の取扱いマーケットは香港、ベトナム、インドネシア、タイ、マレーシアの5ヶ国だが、同社ではただ取扱いを行うだけでなく、独自の推奨銘柄を選定するとともに個別株式レポートを作成・提供することで、より詳細な提案ができるようになっている。

さらには、対面営業の強みをさらに発展させて、相続対策や不動産売買紹介など、外部の専門家との業務提携により、顧客の資産形成全体をサポートするサービスも開始した。会計事務所や保険会社、不動産会社等からの紹介手数料を得ること以上に、顧客との長期的な取引を前提とした「家計資産のベストパートナー」を目指すことで、顧客基盤の強化を図ることが目的である。

また、「ファンド・ラボ」シリーズ(ファンド分析ツール)を活用したコンサルティング営業や顧客の資産設計全体のサポートなど、専門性や付加価値の高いサービス提供を行うインフラを整備することは、ファイナンシャルアドバイザー(FA)を含む同社の営業スタッフ(約170名)のモチベーションやスキルを高めるとともに、新たな人材獲得にも効果があると期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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