ADワークス Research Memo(2):高付加価値提供と低コストを両立し参入障壁の高い市場を創造
[15/12/03]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
(1)事業内容
エー・ディー・ワークス<3250>の事業セグメントは収益不動産販売事業、ストック型フィービジネスの2つのセグメントに区分されている。また、連結子会社として国内でプロパティ・マネジメント事業(以下PM事業)を行う(株)エー・ディー・パートナーズ(以下ADパートナーズ)や(株)エー・ディー・エステート(以下ADエステート)、米国で収益不動産販売事業やPM事業を行う子会社3社を展開している。
収益不動産販売事業とは、中古賃貸マンションを仕入れ、リノベーションなどのバリューアップを施してから販売する事業で、同社の売上高の約9割、経常利益の約7割を占める主力事業となっている。営業エリアは中古マンションの賃貸需要が旺盛な都心部が中心。顧客の8〜9割は個人富裕層で、物件価格としては200〜300百万円台の中古マンションが中心となっている。こうした価格帯の物件は入居率が高く、家賃収入が安定しているほか、値下がりリスクも相対的に低く、個人富裕層が投資運用対象として手掛けるには手頃な水準となっている。また、販売対象物件として顧客ニーズに合わせて、仕入価格で500百万円超のオフィスビルなども手掛けているが、件数としては全体の1割程度の水準となっている。さらに、2015年3月期からは米国カリフォルニア州においても、子会社を通じて収益不動産販売事業を本格的に開始している。
ストック型フィービジネス事業とは、販売用不動産で売却するまでに得られる賃料収入のほか、同社が保有・売却した物件に関するプロパティ・マネジメント収入(入退去手続、賃料徴収等管理受託フィー)、不動産鑑定、デューデリジェンス、相続対策まで含めたコンサルティング収入で構成されている。なお、プロパティ・マネジメント、コンサルティングについては子会社のADパートナーズで行っている。
(2)ビジネスモデルと特色
同社では自社のビジネスモデルをブルーオーシャン型と呼んでいる。その特色はa)バリューイノベーション、b)少ない競合、c)模倣困難性、に集約できる。こうした独自のビジネスモデルによって、「高付加価値提供」と「低コスト」を両立し、顧客を囲い込みながら参入障壁の高いクローズド・マーケットの創造を目指している。
a)バリューイノベーション
バリューイノベーションとは、従来と異なる新たな価値の提供を意味する。同社においては、顧客に対して同業他社とは異なった独自スタイルでのバリュー提供を行っている。具体的には、物件ありきの販売ではなく、顧客ニーズを優先した販売を行っている。また物件の仕入れからリノベーション、管理、相続相談に至るまですべてをワンストップで提供する体制を構築しており、顧客とは1度だけの取引で終わるのではなく、長期的かつ継続的な関係の維持に努めることで、生涯取引につなげる取り組みを行っている(CRM戦略)。
顧客側の立場に立って見れば、不動産投資を行ううえで、中古物件の仕入れからリノベーションする際のコスト、あるいは売却時の税金対策や相続対策に至るまで、様々な費用が発生する。これらをその都度、自身で行うよりも、同社に一括して委託したほうが、トータル的に「低コスト」を実現できることになる。また、リノベーション後の入居率も高まり、投資収益の最大化(=高付加価値提供)を目指すうえで、同社は重要なパートナーとなっている。
b)少ない競合
同社が主な仕入物件対象としている200〜300百万円規模の投資用一棟賃貸マンションなどの収益不動産物件は、事業効率の面から大手業者がほとんど参入していない。また、非上場の中小不動産業者においては資金面から、リノベーションなどのバリューアップを施して販売することは難しい状況下にある。
特に、中古不動産物件に関しては、瑕疵(かし)物件のリスクが必ず付きまとうだけに、一旦同社が物件を買い取って保有していること、さらには販売後にも引き続きプロパティ・マネジメントサービスを提供していることが、買主からの信頼を高める要因となっている。
同社が物件情報の入手先としているのは、大手不動産会社や信託銀行などに在籍する約3,000人の仲介営業担当者で、日々20〜30件の案件が同社へ優先的に持ち込まれている。こうして集まってくる情報の中から、収益化が見込まれる案件を取捨選択し仕入れる格好となるため、必然的に良質の物件が同社に集まることになる。売却物件情報が優先的に同社に持ち込まれるのは、同社に資金調達力があり、購入の意思決定が早く、売買につながる可能性が高いためだ。
c)模倣困難性
大手不動産会社は物件視点型の販売手法並びに分業体制、規模追求型のビジネスモデルであり、同ビジネスモデルを転換することが効率面から考えても非常に困難であると言える。逆にこうした大手の不動産業者などは、同社と補完関係となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1)事業内容
エー・ディー・ワークス<3250>の事業セグメントは収益不動産販売事業、ストック型フィービジネスの2つのセグメントに区分されている。また、連結子会社として国内でプロパティ・マネジメント事業(以下PM事業)を行う(株)エー・ディー・パートナーズ(以下ADパートナーズ)や(株)エー・ディー・エステート(以下ADエステート)、米国で収益不動産販売事業やPM事業を行う子会社3社を展開している。
収益不動産販売事業とは、中古賃貸マンションを仕入れ、リノベーションなどのバリューアップを施してから販売する事業で、同社の売上高の約9割、経常利益の約7割を占める主力事業となっている。営業エリアは中古マンションの賃貸需要が旺盛な都心部が中心。顧客の8〜9割は個人富裕層で、物件価格としては200〜300百万円台の中古マンションが中心となっている。こうした価格帯の物件は入居率が高く、家賃収入が安定しているほか、値下がりリスクも相対的に低く、個人富裕層が投資運用対象として手掛けるには手頃な水準となっている。また、販売対象物件として顧客ニーズに合わせて、仕入価格で500百万円超のオフィスビルなども手掛けているが、件数としては全体の1割程度の水準となっている。さらに、2015年3月期からは米国カリフォルニア州においても、子会社を通じて収益不動産販売事業を本格的に開始している。
ストック型フィービジネス事業とは、販売用不動産で売却するまでに得られる賃料収入のほか、同社が保有・売却した物件に関するプロパティ・マネジメント収入(入退去手続、賃料徴収等管理受託フィー)、不動産鑑定、デューデリジェンス、相続対策まで含めたコンサルティング収入で構成されている。なお、プロパティ・マネジメント、コンサルティングについては子会社のADパートナーズで行っている。
(2)ビジネスモデルと特色
同社では自社のビジネスモデルをブルーオーシャン型と呼んでいる。その特色はa)バリューイノベーション、b)少ない競合、c)模倣困難性、に集約できる。こうした独自のビジネスモデルによって、「高付加価値提供」と「低コスト」を両立し、顧客を囲い込みながら参入障壁の高いクローズド・マーケットの創造を目指している。
a)バリューイノベーション
バリューイノベーションとは、従来と異なる新たな価値の提供を意味する。同社においては、顧客に対して同業他社とは異なった独自スタイルでのバリュー提供を行っている。具体的には、物件ありきの販売ではなく、顧客ニーズを優先した販売を行っている。また物件の仕入れからリノベーション、管理、相続相談に至るまですべてをワンストップで提供する体制を構築しており、顧客とは1度だけの取引で終わるのではなく、長期的かつ継続的な関係の維持に努めることで、生涯取引につなげる取り組みを行っている(CRM戦略)。
顧客側の立場に立って見れば、不動産投資を行ううえで、中古物件の仕入れからリノベーションする際のコスト、あるいは売却時の税金対策や相続対策に至るまで、様々な費用が発生する。これらをその都度、自身で行うよりも、同社に一括して委託したほうが、トータル的に「低コスト」を実現できることになる。また、リノベーション後の入居率も高まり、投資収益の最大化(=高付加価値提供)を目指すうえで、同社は重要なパートナーとなっている。
b)少ない競合
同社が主な仕入物件対象としている200〜300百万円規模の投資用一棟賃貸マンションなどの収益不動産物件は、事業効率の面から大手業者がほとんど参入していない。また、非上場の中小不動産業者においては資金面から、リノベーションなどのバリューアップを施して販売することは難しい状況下にある。
特に、中古不動産物件に関しては、瑕疵(かし)物件のリスクが必ず付きまとうだけに、一旦同社が物件を買い取って保有していること、さらには販売後にも引き続きプロパティ・マネジメントサービスを提供していることが、買主からの信頼を高める要因となっている。
同社が物件情報の入手先としているのは、大手不動産会社や信託銀行などに在籍する約3,000人の仲介営業担当者で、日々20〜30件の案件が同社へ優先的に持ち込まれている。こうして集まってくる情報の中から、収益化が見込まれる案件を取捨選択し仕入れる格好となるため、必然的に良質の物件が同社に集まることになる。売却物件情報が優先的に同社に持ち込まれるのは、同社に資金調達力があり、購入の意思決定が早く、売買につながる可能性が高いためだ。
c)模倣困難性
大手不動産会社は物件視点型の販売手法並びに分業体制、規模追求型のビジネスモデルであり、同ビジネスモデルを転換することが効率面から考えても非常に困難であると言える。逆にこうした大手の不動産業者などは、同社と補完関係となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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