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メディシス Research Memo(5):通期は期初予想を据え置くも保守的、上方修正の可能性も

注目トピックス 日本株
■業績動向

(3) 2016年3月期の業績見通し

メディカルシステムネットワーク<4350>の2016年3月期の連結業績見通しは、売上高が前期比13.0%増の85,353百万円、営業利益が同14.9%増の3,036百万円、経常利益が同14.2%増の2,900百万円、当期純利益が同16.3%増の1,030百万円と期初計画を据え置いている。通期計画に対する営業利益の進捗率は第2四半期までで57.7%に達していること、同社の業績が下期偏重型であること、医薬品卸との年間の価格交渉も既に終わっていることから、業績上方修正が期待される状況にある。同社では調剤薬局事業における収益改善の持続性をもうしばらく見極めてから判断するとしており、今後市場環境に大きな変化が無ければ第3四半期発表時点で上方修正される可能性があると弊社では見ている。事業セグメント別の期初計画は以下の通り。

○医薬品等ネットワーク事業
医薬品等ネットワーク事業の売上高は前期比8.2%増の3,045百万円、営業利益は同9.1%増の1,690百万円を見込む。第2四半期までの進捗率は売上高で49%、営業利益で50%となっており、計画の達成は十分可能とみられる。ネットワーク加盟件数は前期末比285件増加の1,485件を見込んでおり、第2四半期までの進捗率はややスローペースではあるものの、前述したように市場環境は追い風であり、医薬品仕入代金立替払サービスの開始により、今後加盟件数の増加ペースも加速していくことが予想される。

○調剤薬局事業
調剤薬局事業の売上高は前期比11.9%増の80,252百万円、営業利益は同9.0%増の2,591百万円を見込む。第2四半期までの進捗率は売上高で49%、営業利益で54%となっている。店舗数は前期末比55店舗増の400店舗を見込んでいる。55店舗のうち、50店舗はM&Aによる取得で売上高としては3,500百万円程度の増収要因になるとみていたが、ここ最近はM&Aコストが上昇するなかで、取得額など条件が合わずに見送りするケースが増えている。このため、店舗数に関しては計画を下回る可能性がある。ただ、既存店における売上増で十分カバーできるものと思われる。期初計画での既存店の売上高は前期比0.7%増収とやや保守的にみていたためだ。

また、営業利益についても後発医薬品や在宅への取組み強化などによる処方箋単価の上昇が下期も継続することや、間接部門の生産性向上に寄与する調剤本部システムの本格導入などで上振れが期待される。調剤本部システムは2014年12月から順次導入を進め、2015年度末までに全店舗への導入が完了する予定となっている。

なお、薬剤師に関しては2015年9月末で臨時従業員も含めて1,189名(前期末比87名増)と順調に増加している。2015年春の新卒採用数は97名と前期の47名から2倍に増加し、2016年春に関しても100名程度の採用を確保できる見通しだ。

○賃貸・設備関連事業
賃貸・設備関連事業の売上高は前期比52.5%増の2,314百万円、営業利益は同318.7%増の106百万円を見込んでいる。第2四半期までの進捗率は売上高で67%、営業利益で199%となっているが、これは販売用不動産の売却益(242百万円)を第1四半期に計上したためだ。

「サ高住」物件の「ウィステリア清田」(全75戸)に関しては直近の契約ベースで71件となっており、採算ラインである64戸を既に超えている。また、2015年12月に入居開始を予定している「ウィステリア小樽稲穂」(北海道小樽市、全81戸)についても、10月末時点の申込件数で87件とキャンセル待ちの状態となっており、好調な立ち上がりが見込まれる。2016年5月入居開始予定の「ウィステリア千里中央」(大阪府豊中市、全82戸)についてはまだ予約を開始していないが、好立地場所にあることから問い合わせは多く、早期に満室となることが予想される。

なお、サ高住については、オフバランス化を基本として考えており、早期に資金回収を図ることで新規案件の開発も進めていく戦略だ。ただ、現状は建築コストが上昇していることから、収益性を見極めながら事業展開を進めていく方針となっている。

○給食事業・その他事業
給食事業に関しては、売上高が前期比15.6%増の2,233百万円、営業損失が38百万円を見込んでいる。第2四半期までの進捗率は売上高で49%となっており、下期も若干の損失を見込む格好となっている。

ただ、同事業ではTMSが10月に九州医療食(株)の株式を100%取得して子会社化しており、業績の上乗せ要因となる。九州医療食の直近の業績(2015年8月期)は売上高2,478百万円、営業利益19百万円、経常利益26百万円となっており、利益ベースでの影響は軽微だが、売上高としては従来のほぼ2倍の規模に拡大することになる。同社では九州エリア全域をカバーし、規模の拡大による収益性の向上を目指していく戦略で、2017年3月期以降の黒字化を見込んでいる。

その他事業は売上高が前期比51.7%増の276百万円、営業利益が7百万円(前期は76百万円の損失)と黒字転換を計画している。第2四半期までの進捗率は売上高で27%と低水準に留まっており、通期での黒字化見通しはやや厳しくなっているものの、今後、綜合臨床ホールディングスとの提携効果による案件増加によって、2017年3月期には黒字化するものと見込まれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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