サン電子 Research Memo(4):今後の成長に向けた先行投資を計画通りに行ったことで大幅な減益
[15/12/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算概要
(1) 2016年3月期上期決算の概要
サン電子<6736>の2016年3月期上期の連絡業績は、売上高が前年同期比8.9%減の11,435百万円、営業利益が同87.9%減の147百万円、経常利益が同96.5%減の45百万円、純利益が同85.6%減の152百万円と減収減益となった。期初予想に対しても、売上高、利益ともに下回る進捗であった。
売上高では、モバイルデータソリューション事業が円安の影響もあり伸長したものの、厳しい業界環境に置かれている遊技台部品事業やホールシステム事業が縮小したことから減収となった。ただ、遊技台部品事業やホールシステム事業の縮小は想定の範囲内であり、むしろこれまで急速に拡大してきたモバイルデータソリューション事業における進捗の遅れが計画を下回った要因である。一方、その他事業については、注力するM2Mが着実に伸びている。
利益面では、前期業績の足を引っ張ったホールシステム事業の損益改善を図ったが、減収による利益の下押しのほか、売上高が計画を下回るなかで、モバイルデータソリューション事業における拠点開設や開発費の積極投入(為替の影響控除後で情報通信関連事業全体で前年同期比377百万円の増加)など、今後の成長に向けた先行投資を計画どおりに行ったことで大幅な減益となった。
事業別の業績は以下のとおりである。
モバイルデータソリューション事業は、売上高が前年同期比13.4%増の5,772百万円、セグメント利益が同81.2%減の163百万円と増収ながら大幅な減益となった。期初予想に対しては、売上高、利益ともに下回る進捗であった。円安による為替の影響がプラスに働いたことに加え、世界的に需要が拡大しているフォレンジックが伸長したことが増収に寄与した。ただ、体制整備の遅延や新製品及び新サービスの市場投入の遅れなど主に短期的な要因により、MLC、フォレンジックともに計画を下回っている。一方、利益面でも、売上高が計画を下回るなかで、拠点開設や積極的な開発費の投入(為替の影響控除後で前年同期比207百万円の増加)を計画どおりに実施したことが利益を押し下げた。また、同事業は、売上高総利益率が極めて高い(約75%)ことから、売上高の下振れによる利益の振れ幅が大きいこともマイナスに作用したと言える。
その他事業(M2M、ゲームコンテンツ等)は、売上高が前年同期比15.6%増の646百万円、セグメント損失が241百万円(前年同期は37百万円の損失)と増収ながら損失幅が拡大した。そのうち、M2Mは、売上高が456百万円、営業損失が92百万円となった。セキュリティ向けや娯楽機器向け等、着実に導入実績を増やすことで伸長したが、ストックビジネス拡大に向けたシステム開発投資等により利益を確保することはできなかった。一方、ゲームコンテンツは、売上高が186百万円、営業損失が31百万円となった。前期の開発売上が剥落したことや、アプリ内課金も2年目となったことでやや減少傾向にあること、新タイトルがユーザー拡大につながらなかったことから減収となった。利益面でも新タイトルリリースにより、開発費が増加したことから利益を確保することはできなかった。新規事業は、売上高3百万円、営業損失116百万円であった。新たな成長分野への積極的な先行開発投資により損失幅が拡大した。
遊技台部品事業は、売上高が前年同期比31.1%減の3,640百万円、セグメント利益が同37.6%減の560百万円と減収減益となった。売上高は、前期が好調であったことにより減収となったが、ほぼ計画どおりの進捗であった。また、利益面でも、減収による利益の押し下げがあったものの、原価の低減等により計画を上回った。
ホールシステム事業は、売上高が前年同期比15.4%減の1,375百万円、セグメント利益が106百万円(前年同期は84百万円の損失)と減収ながら大幅な損益改善により黒字転換となった。売上高は、厳しい業界環境のなかで縮小均衡を目指す方針のもと、ほぼ計画どおりに推移した。また、利益面でも、適正規模による運営の実現(人材のシフト等)を図った他、貸倒引当済の債権の回収(約45百万円の戻り益)も寄与した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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(1) 2016年3月期上期決算の概要
サン電子<6736>の2016年3月期上期の連絡業績は、売上高が前年同期比8.9%減の11,435百万円、営業利益が同87.9%減の147百万円、経常利益が同96.5%減の45百万円、純利益が同85.6%減の152百万円と減収減益となった。期初予想に対しても、売上高、利益ともに下回る進捗であった。
売上高では、モバイルデータソリューション事業が円安の影響もあり伸長したものの、厳しい業界環境に置かれている遊技台部品事業やホールシステム事業が縮小したことから減収となった。ただ、遊技台部品事業やホールシステム事業の縮小は想定の範囲内であり、むしろこれまで急速に拡大してきたモバイルデータソリューション事業における進捗の遅れが計画を下回った要因である。一方、その他事業については、注力するM2Mが着実に伸びている。
利益面では、前期業績の足を引っ張ったホールシステム事業の損益改善を図ったが、減収による利益の下押しのほか、売上高が計画を下回るなかで、モバイルデータソリューション事業における拠点開設や開発費の積極投入(為替の影響控除後で情報通信関連事業全体で前年同期比377百万円の増加)など、今後の成長に向けた先行投資を計画どおりに行ったことで大幅な減益となった。
事業別の業績は以下のとおりである。
モバイルデータソリューション事業は、売上高が前年同期比13.4%増の5,772百万円、セグメント利益が同81.2%減の163百万円と増収ながら大幅な減益となった。期初予想に対しては、売上高、利益ともに下回る進捗であった。円安による為替の影響がプラスに働いたことに加え、世界的に需要が拡大しているフォレンジックが伸長したことが増収に寄与した。ただ、体制整備の遅延や新製品及び新サービスの市場投入の遅れなど主に短期的な要因により、MLC、フォレンジックともに計画を下回っている。一方、利益面でも、売上高が計画を下回るなかで、拠点開設や積極的な開発費の投入(為替の影響控除後で前年同期比207百万円の増加)を計画どおりに実施したことが利益を押し下げた。また、同事業は、売上高総利益率が極めて高い(約75%)ことから、売上高の下振れによる利益の振れ幅が大きいこともマイナスに作用したと言える。
その他事業(M2M、ゲームコンテンツ等)は、売上高が前年同期比15.6%増の646百万円、セグメント損失が241百万円(前年同期は37百万円の損失)と増収ながら損失幅が拡大した。そのうち、M2Mは、売上高が456百万円、営業損失が92百万円となった。セキュリティ向けや娯楽機器向け等、着実に導入実績を増やすことで伸長したが、ストックビジネス拡大に向けたシステム開発投資等により利益を確保することはできなかった。一方、ゲームコンテンツは、売上高が186百万円、営業損失が31百万円となった。前期の開発売上が剥落したことや、アプリ内課金も2年目となったことでやや減少傾向にあること、新タイトルがユーザー拡大につながらなかったことから減収となった。利益面でも新タイトルリリースにより、開発費が増加したことから利益を確保することはできなかった。新規事業は、売上高3百万円、営業損失116百万円であった。新たな成長分野への積極的な先行開発投資により損失幅が拡大した。
遊技台部品事業は、売上高が前年同期比31.1%減の3,640百万円、セグメント利益が同37.6%減の560百万円と減収減益となった。売上高は、前期が好調であったことにより減収となったが、ほぼ計画どおりの進捗であった。また、利益面でも、減収による利益の押し下げがあったものの、原価の低減等により計画を上回った。
ホールシステム事業は、売上高が前年同期比15.4%減の1,375百万円、セグメント利益が106百万円(前年同期は84百万円の損失)と減収ながら大幅な損益改善により黒字転換となった。売上高は、厳しい業界環境のなかで縮小均衡を目指す方針のもと、ほぼ計画どおりに推移した。また、利益面でも、適正規模による運営の実現(人材のシフト等)を図った他、貸倒引当済の債権の回収(約45百万円の戻り益)も寄与した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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