キトー Research Memo(5):第2四半期は大幅な増収増益、海外売上高比率は78.6%に
[15/12/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(1) 2016年3月期第2四半期(実績)
●損益状況
キトー<6409>の2016年3月期第2四半期は売上高で25,809百万円(前年同期比40.3%増)、営業利益で1,505百万円(同76.0%増)、経常利益で1,194百万円(同33.7%増)、四半期純利益で568百万円(同12.7%増)となった。売上高が大幅増収となったのは主にピアレス社の影響(前年同期は買収前)によるが、円安も寄与している。地域別売上高は日本の比率が21.4%、海外が78.6%となり、この点ではグローバル企業の仲間入りをしたと言ってもよいだろう。
営業利益は前年同期比で増益となり期初予想も上回ったが、内容は必ずしも計画どおりではなかったようだ。営業利益の要因分析では、増益要因として数量増による効果が1,020百万円(このうち約950百万円がピアレス分)、製品値上げ分が209百万円、為替の影響が1,358百万円、一方で減益要因として未実現利益の消去が132百万円、販売管理費の増加が1,805百万円(このうち為替による分が476百万円、のれん代償却を含めたピアレス分が919百万円)となり、為替の効果を除いた実質ベースでは横ばいから微減益であったと言える。また各地域の状況も以下のようにまだら模様であった。
セグメント別の状況は以下のようであった。
(日本)
日本は売上高で12,391百万円(前年同期比10.3%増)、営業利益で2,682百万円(同27.8%増)となった。民間設備投資向け、特に自動車関連や小型液晶関連向けの需要が好調であり想定を上回る売上高となった。また金額こそ少ないものの、設備投資向けのクレーンシステムの受注残は前年同期比で約2倍のレベルになっているとのこと。一方で建築土木関連の需要は遅れが出ていたが夏過ぎから上向きの兆しがあり、利益面においては、増収であったことと、工場の生産性改善が寄与したことなどから2ケタの増益となった。「国内需要については当初予想を上回る結果であった」と同社は述べている。
(米州)
米州は売上高で12,870百万円(同107.6%増)、営業利益で146百万円(同15.8%増)となった。売上高が大幅増となったのは主にピアレス社買収の影響によるものであるが、ピアレス社分を除いた売上高は当初予想を下回るものの堅調に推移した。米国では製造業関係は比較的堅調ながら、原油価格の下落の影響によりエネルギー関連の需要が低迷した。
セグメント利益は前年同期比で増益であったが、増収率に比べて増益率が小さいのは、米国子会社を通じて買収を実施し、のれんの償却ほか買収に関わる会計上の費用を米国子会社が負担したためである。
(中国)
中国では同社製品に対する評価は高く市場シェアは高まっているが、経済減速による市場全体の落ち込みの影響を受けて同社製品への需要も低迷した。中国の状況は当初から厳しいと見ていたが、結果は予想以上に厳しかったようである。売上高は4,385百万円(同4.8%増)であったが円安によって底上げされており、現地通貨ベースでは前年同期比約6%の減であった。ただし、中国では人件費を可能な限り変動費化していることなどから利益を計上しており、その結果円安の影響もあり営業利益は551百万円(同41.2%増)となった。
(アジア)
アジアは売上高で1,993百万円(同16.0%増)、営業損益で198百万円の損失(前年同期は314百万円の損失)となり、依然として赤字ながら差引き116百万円の利益改善となった。
利益改善の要因は、前期の大幅赤字の原因となったタイの体質改善が進み利益を計上したこと。事業が下期に集中することもあり、タイ以外のアジアは依然として赤字であるが、その中でまだ規模は小さいながら新政権移行に伴いインドでの売上高が順調に拡大していることは、今後にとっては明るい材料である。
(欧州・その他)
欧州の売上高は754百万円(同9.1%減)、営業利益23百万円(同26.9%増)と減収増益となったが、小規模であるため全体の収益に与える影響は小さい。国別では明暗が分かれている。北欧が依然として厳しいが、南欧(イタリア等)で補い、セグメントとしては微減収となった。
●財政状況
2016年3月期第2四半期末の財政状況は以下のようになった。流動資産は39,569百万円(前期末比391百万円減)となった。主要科目では現金及び預金9,400百万円(同391百万円減)、受取手形及び売掛金10,372百万円(同2,221百万円減)となった。固定資産は22,708百万円(同4百万円増)となり、内訳は有形固定資産12,817百万円(同656百万円増)、無形固定資産8,335百万円(同674百万円減)、投資その他の資産1,555百万円(同22百万円増)となった。この結果、資産合計は62,278百万円(同905百万円減)となった。
流動負債は16,309百万円(同783百万円減)となったが、主な変動は支払手形及び買掛債務の増加476百万円、短期借入金の増加452百万円などである。固定負債は20,160百万円(同303百万円減)と減少したが、 長期借入金が556百万円減少したことが主な要因である。純資産は25,808百万円(同181百万円増)となったが、主に当期純利益の計上による利益剰余金の増加240百万円による。
●キャッシュフローの状況
2016年3月期第2四半期のキャッシュフローは以下のようであった。営業活動によるキャッシュフローは1,878百万円の収入(前年同期1,353百万円の収入)となった。主な収入は税金等調整前四半期純利益の計上1,194百万円、売上債権の減少2,286百万円であった一方で、主な支出はたな卸資産の増加1,608百万円などであった。投資活動によるキャッシュフローは744百万円の支出(同7,816百万円の支出=主にピアレス社買収)となったが、主に有形固定資産の取得603百万円、無形固定資産の取得158百万円など。財務活動によるキャッシュフローは1,470百万円の支出(同9,028百万円の収入)となったが、主に社債の償還による支出1,000百万円、配当金支払いによる支出326百万円による。この結果、期末の現金及び現金同等物の残高は9,395百万円(前期末比381百万円減)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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(1) 2016年3月期第2四半期(実績)
●損益状況
キトー<6409>の2016年3月期第2四半期は売上高で25,809百万円(前年同期比40.3%増)、営業利益で1,505百万円(同76.0%増)、経常利益で1,194百万円(同33.7%増)、四半期純利益で568百万円(同12.7%増)となった。売上高が大幅増収となったのは主にピアレス社の影響(前年同期は買収前)によるが、円安も寄与している。地域別売上高は日本の比率が21.4%、海外が78.6%となり、この点ではグローバル企業の仲間入りをしたと言ってもよいだろう。
営業利益は前年同期比で増益となり期初予想も上回ったが、内容は必ずしも計画どおりではなかったようだ。営業利益の要因分析では、増益要因として数量増による効果が1,020百万円(このうち約950百万円がピアレス分)、製品値上げ分が209百万円、為替の影響が1,358百万円、一方で減益要因として未実現利益の消去が132百万円、販売管理費の増加が1,805百万円(このうち為替による分が476百万円、のれん代償却を含めたピアレス分が919百万円)となり、為替の効果を除いた実質ベースでは横ばいから微減益であったと言える。また各地域の状況も以下のようにまだら模様であった。
セグメント別の状況は以下のようであった。
(日本)
日本は売上高で12,391百万円(前年同期比10.3%増)、営業利益で2,682百万円(同27.8%増)となった。民間設備投資向け、特に自動車関連や小型液晶関連向けの需要が好調であり想定を上回る売上高となった。また金額こそ少ないものの、設備投資向けのクレーンシステムの受注残は前年同期比で約2倍のレベルになっているとのこと。一方で建築土木関連の需要は遅れが出ていたが夏過ぎから上向きの兆しがあり、利益面においては、増収であったことと、工場の生産性改善が寄与したことなどから2ケタの増益となった。「国内需要については当初予想を上回る結果であった」と同社は述べている。
(米州)
米州は売上高で12,870百万円(同107.6%増)、営業利益で146百万円(同15.8%増)となった。売上高が大幅増となったのは主にピアレス社買収の影響によるものであるが、ピアレス社分を除いた売上高は当初予想を下回るものの堅調に推移した。米国では製造業関係は比較的堅調ながら、原油価格の下落の影響によりエネルギー関連の需要が低迷した。
セグメント利益は前年同期比で増益であったが、増収率に比べて増益率が小さいのは、米国子会社を通じて買収を実施し、のれんの償却ほか買収に関わる会計上の費用を米国子会社が負担したためである。
(中国)
中国では同社製品に対する評価は高く市場シェアは高まっているが、経済減速による市場全体の落ち込みの影響を受けて同社製品への需要も低迷した。中国の状況は当初から厳しいと見ていたが、結果は予想以上に厳しかったようである。売上高は4,385百万円(同4.8%増)であったが円安によって底上げされており、現地通貨ベースでは前年同期比約6%の減であった。ただし、中国では人件費を可能な限り変動費化していることなどから利益を計上しており、その結果円安の影響もあり営業利益は551百万円(同41.2%増)となった。
(アジア)
アジアは売上高で1,993百万円(同16.0%増)、営業損益で198百万円の損失(前年同期は314百万円の損失)となり、依然として赤字ながら差引き116百万円の利益改善となった。
利益改善の要因は、前期の大幅赤字の原因となったタイの体質改善が進み利益を計上したこと。事業が下期に集中することもあり、タイ以外のアジアは依然として赤字であるが、その中でまだ規模は小さいながら新政権移行に伴いインドでの売上高が順調に拡大していることは、今後にとっては明るい材料である。
(欧州・その他)
欧州の売上高は754百万円(同9.1%減)、営業利益23百万円(同26.9%増)と減収増益となったが、小規模であるため全体の収益に与える影響は小さい。国別では明暗が分かれている。北欧が依然として厳しいが、南欧(イタリア等)で補い、セグメントとしては微減収となった。
●財政状況
2016年3月期第2四半期末の財政状況は以下のようになった。流動資産は39,569百万円(前期末比391百万円減)となった。主要科目では現金及び預金9,400百万円(同391百万円減)、受取手形及び売掛金10,372百万円(同2,221百万円減)となった。固定資産は22,708百万円(同4百万円増)となり、内訳は有形固定資産12,817百万円(同656百万円増)、無形固定資産8,335百万円(同674百万円減)、投資その他の資産1,555百万円(同22百万円増)となった。この結果、資産合計は62,278百万円(同905百万円減)となった。
流動負債は16,309百万円(同783百万円減)となったが、主な変動は支払手形及び買掛債務の増加476百万円、短期借入金の増加452百万円などである。固定負債は20,160百万円(同303百万円減)と減少したが、 長期借入金が556百万円減少したことが主な要因である。純資産は25,808百万円(同181百万円増)となったが、主に当期純利益の計上による利益剰余金の増加240百万円による。
●キャッシュフローの状況
2016年3月期第2四半期のキャッシュフローは以下のようであった。営業活動によるキャッシュフローは1,878百万円の収入(前年同期1,353百万円の収入)となった。主な収入は税金等調整前四半期純利益の計上1,194百万円、売上債権の減少2,286百万円であった一方で、主な支出はたな卸資産の増加1,608百万円などであった。投資活動によるキャッシュフローは744百万円の支出(同7,816百万円の支出=主にピアレス社買収)となったが、主に有形固定資産の取得603百万円、無形固定資産の取得158百万円など。財務活動によるキャッシュフローは1,470百万円の支出(同9,028百万円の収入)となったが、主に社債の償還による支出1,000百万円、配当金支払いによる支出326百万円による。この結果、期末の現金及び現金同等物の残高は9,395百万円(前期末比381百万円減)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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