Eストアー Research Memo(5):良品良店のEC店舗の新規契約獲得を続け、解約数は減少傾向に
[15/12/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績の動向
(2) 2016年3月期通期見通し
2016年3月期通期の業績についてEストアー<4304>では、売上高5,921百万円(前期比2.6%増)、営業利益329百万円(同42.4%減)、経常利益329百万円(同42.8%減)、当期利益206百万円(同37.9%減)を予想している。前期対比では減収減益予想だが、期初計画との比較では、売上高は若干下方修正だが営業利益以下の各利益項目は増額修正された。
通期の利益見通しが増額修正された理由は、今期に予定していた先行投資費用が当初見込みよりも減少することが理由だ。期初の段階では約300百万円の中長期のための投資を計画していた模様だが、約250百万円に減額される見通しで、それが利益を押し上げる形になる。この投資の内訳は、システム事業におけるクレジットカード決済に関するセキュリティ強化とその認証獲得のための費用や、人材獲得費用、広告宣伝のための費用などだ。当初計画に対して減額されたのは主として広告宣伝のための費用だと弊社では推測している。
各事業の事業環境という点では、今下期も大きな変化はないと考えている。システム事業では、新規契約と既存客の解約数の動向が1つの注目点と言える。“良品良店”のEC店舗の新規契約獲得の努力を続ける一方で、解約数は減少傾向にあり、今下期のどこかで契約顧客数が純増に転じる可能性もあると弊社ではみている。
マーケティング事業は、引き続き、販促事業の収益拡大ペースが最大の注目点だ。潜在的ニーズは同社の予想以上に強い模様で、想定した売上高は自然体でも十分達成可能とみている。同じマーケティング事業の中でも、メディア事業と集客事業の動向には注意が必要だろう。これらは第2四半期決算は前年同期比減収となったが、下期も事業環境は同じと考えられるためだ。通期の売上高予想が減額修正はこの2つの事業への警戒感が原因と弊社ではみている。メディア事業については、売上高が弱含みでも費用抑制効果で利益面では上期同様に堅調と期待している。反対に集客事業は、かつては利益源として貢献したため、売上高減収による利益へのネガティブ影響が懸念されるところだ。
(3) 2017年3月期の考え方
2017年3月期について、業績面でのターニングポイントになる可能性を考えている。同社の売上高営業利益率は、かつては10数パーセント台で推移していた。しかし、プレシジョンマーケティングを子会社化して事業構造改革に着手した2012年3月期以降は10%前後の水準に低下し、2016年3月期は先行投資費用の計上などもあって5.6%にまで低下する見通しだ。
しかしながら、2017年3月期には、先行投資費用が一旦なくなるため、今期と同じ事業環境が続けば営業利益は600百万円〜700百万円の水準を期待できる。売上高は、メディア事業や集客事業で変動も想定されるため、予想が難しいが、これら事業の営業損益は今期の段階でゼロの水準にまで低下しているため、来期の営業利益を想定するうえでは、大きな障害とはならないと考えられる。注目点は、システム事業からのストックの収益に、販促事業からの収益でどの程度上乗せできるかにあると弊社ではみている。
販促事業の潜在的ニーズが強いことと、それに対する体制強化が検討されていることは前述のとおりだ。体制強化は、今下期よりも2017年3月期に入ってから行われる可能性が高いと考えられる。したがって販促事業の収益拡大ペースは、2017年3月期の期中から徐々に加速し、2018年3月期には体制強化の効果が期初からフルに寄与して、収益が一気に拡大するイメージを弊社では考えている。2017年3月期に過度な期待を抱くのは避けるべきであることは言うまでもないが、まずは営業利益で通常のラインの600百万円を回復することと、販促事業の順調な収益拡大を見守りたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(2) 2016年3月期通期見通し
2016年3月期通期の業績についてEストアー<4304>では、売上高5,921百万円(前期比2.6%増)、営業利益329百万円(同42.4%減)、経常利益329百万円(同42.8%減)、当期利益206百万円(同37.9%減)を予想している。前期対比では減収減益予想だが、期初計画との比較では、売上高は若干下方修正だが営業利益以下の各利益項目は増額修正された。
通期の利益見通しが増額修正された理由は、今期に予定していた先行投資費用が当初見込みよりも減少することが理由だ。期初の段階では約300百万円の中長期のための投資を計画していた模様だが、約250百万円に減額される見通しで、それが利益を押し上げる形になる。この投資の内訳は、システム事業におけるクレジットカード決済に関するセキュリティ強化とその認証獲得のための費用や、人材獲得費用、広告宣伝のための費用などだ。当初計画に対して減額されたのは主として広告宣伝のための費用だと弊社では推測している。
各事業の事業環境という点では、今下期も大きな変化はないと考えている。システム事業では、新規契約と既存客の解約数の動向が1つの注目点と言える。“良品良店”のEC店舗の新規契約獲得の努力を続ける一方で、解約数は減少傾向にあり、今下期のどこかで契約顧客数が純増に転じる可能性もあると弊社ではみている。
マーケティング事業は、引き続き、販促事業の収益拡大ペースが最大の注目点だ。潜在的ニーズは同社の予想以上に強い模様で、想定した売上高は自然体でも十分達成可能とみている。同じマーケティング事業の中でも、メディア事業と集客事業の動向には注意が必要だろう。これらは第2四半期決算は前年同期比減収となったが、下期も事業環境は同じと考えられるためだ。通期の売上高予想が減額修正はこの2つの事業への警戒感が原因と弊社ではみている。メディア事業については、売上高が弱含みでも費用抑制効果で利益面では上期同様に堅調と期待している。反対に集客事業は、かつては利益源として貢献したため、売上高減収による利益へのネガティブ影響が懸念されるところだ。
(3) 2017年3月期の考え方
2017年3月期について、業績面でのターニングポイントになる可能性を考えている。同社の売上高営業利益率は、かつては10数パーセント台で推移していた。しかし、プレシジョンマーケティングを子会社化して事業構造改革に着手した2012年3月期以降は10%前後の水準に低下し、2016年3月期は先行投資費用の計上などもあって5.6%にまで低下する見通しだ。
しかしながら、2017年3月期には、先行投資費用が一旦なくなるため、今期と同じ事業環境が続けば営業利益は600百万円〜700百万円の水準を期待できる。売上高は、メディア事業や集客事業で変動も想定されるため、予想が難しいが、これら事業の営業損益は今期の段階でゼロの水準にまで低下しているため、来期の営業利益を想定するうえでは、大きな障害とはならないと考えられる。注目点は、システム事業からのストックの収益に、販促事業からの収益でどの程度上乗せできるかにあると弊社ではみている。
販促事業の潜在的ニーズが強いことと、それに対する体制強化が検討されていることは前述のとおりだ。体制強化は、今下期よりも2017年3月期に入ってから行われる可能性が高いと考えられる。したがって販促事業の収益拡大ペースは、2017年3月期の期中から徐々に加速し、2018年3月期には体制強化の効果が期初からフルに寄与して、収益が一気に拡大するイメージを弊社では考えている。2017年3月期に過度な期待を抱くのは避けるべきであることは言うまでもないが、まずは営業利益で通常のラインの600百万円を回復することと、販促事業の順調な収益拡大を見守りたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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