平和不動産 Research Memo(5):日本橋兜町再開発の先行2プロジェクトが国家戦略特区の都市再生プロジェクトに
[15/12/22]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■成長戦略
(2)日本橋兜町再活性化プロジェクト
本プロジェクトは、東京都が推進する東京国際金融センター構想の一翼を担う。平和不動産<8803>としては、ビル賃貸事業の資産拡大と収益力向上を目的に、新築ビルの竣工を目指している。日本橋兜町再開発を起点として、市街地再活性化に展開するという企業ビジョンの一環でもある。
日本橋兜町は、言わずと知れた証券街であり、東京証券取引所を始めとする同社の賃貸物件も多く、本店も位置している。東京駅の徒歩圏内であり、地下鉄は5路線が利用可能、日本橋・大手町・丸の内地区とも近く、羽田や成田の両国際空港へのアクセスも良好なエリアである。時代とともに、株式取引の全面システム化やバブル崩壊後の長引く景気低迷、証券会社の移転や統廃合などの要因により、街の賑わいは徐々に失われ、更新されない建物が目立つようになってきた。新しい街づくり対象エリアは約10万平方メートルに及び、その中でも同社が最初の10年(2014年〜)に手がけるのが平成通りに面する兜町PJと茅場町PJである。2011年に本格的に始動して以来、物件の取得が行われてきたが、2015年5月には兜町でも好立地にある茅場町共同ビルの取得が完了し、プロジェクトに弾みがついた。
2015年6月には東京圏の国家戦略特区の区域会議において、同社の再開発対象エリア内である日本橋兜町・茅場町一丁目地区の2つのプロジェクトが都市再生プロジェクトに追加された。東京都は大手町地区から兜町地区までの永代通り沿いのエリアを「東京金融センター」構想を支える金融軸(Tokyo Financial Street)として打ち出しており、国家戦略特区を活用して金融機能を整備するというもので、具体的メリットとしては、容積率の緩和やスピーディな許認可が期待される。
街づくりのコンセプトも明確になってきた。「投資と成長が生まれる街づくり協議会」の中間提言(2015年4月)では、日本橋兜町の新しい主役を「資産運用を中心とした金融人」に置き、「金融人材、資産運用を中心とした金融ベンチャー企業や金融専門サービス業者等が“育ち”、“集い”、上場企業等と“交流する”街づくり」というコンセプトが示された。これを受けて、同社では先行する兜町プロジェクトにおいて「投資家と企業の対話・交流促進拠点の整備」をコンセプトに、投資家フォーラムや金融ナレッジ育成施設などを計画する。先行プロジェクトのもう1つである茅場町プロジェクトにおいては「資産運用を中心とした金融ベンチャー企業等の発展支援」をコンセプトに、新興資産運用会社などの金融ベンチャーのインキュベーション施設などを計画する。
今後は、2020年中に兜町プロジェクトおよび茅場町プロジェクトを竣工させたい考えだ。これら先行2プロジェクトでは延床面積合計6万〜8万平方メートル(2プロジェクト全体)を想定しているが、具体的な投資計画や賃貸面積などの公開内容および許認可のタイミングを注視したい。
同社の株価は、2015年9月4日の日経225除外公表後に急落したものの、同年11月6日にはTOPIX(不動産)を越える水準に回復した(2015年5月1日を基準に比較)。同社の手堅い事業特性や兜町再開発の将来性に関して、一定の理解が得られた結果と考えられる。一方で現状のPBR(株価純資産倍率)は0.58倍(2015年12月16日現在)と同業他社と比較しても低い水準である。短期業績は横ばいの予想ではあるが、日本橋兜町再開発の全容が明らかになるにつれて再評価される可能性も高い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
<HN>
(2)日本橋兜町再活性化プロジェクト
本プロジェクトは、東京都が推進する東京国際金融センター構想の一翼を担う。平和不動産<8803>としては、ビル賃貸事業の資産拡大と収益力向上を目的に、新築ビルの竣工を目指している。日本橋兜町再開発を起点として、市街地再活性化に展開するという企業ビジョンの一環でもある。
日本橋兜町は、言わずと知れた証券街であり、東京証券取引所を始めとする同社の賃貸物件も多く、本店も位置している。東京駅の徒歩圏内であり、地下鉄は5路線が利用可能、日本橋・大手町・丸の内地区とも近く、羽田や成田の両国際空港へのアクセスも良好なエリアである。時代とともに、株式取引の全面システム化やバブル崩壊後の長引く景気低迷、証券会社の移転や統廃合などの要因により、街の賑わいは徐々に失われ、更新されない建物が目立つようになってきた。新しい街づくり対象エリアは約10万平方メートルに及び、その中でも同社が最初の10年(2014年〜)に手がけるのが平成通りに面する兜町PJと茅場町PJである。2011年に本格的に始動して以来、物件の取得が行われてきたが、2015年5月には兜町でも好立地にある茅場町共同ビルの取得が完了し、プロジェクトに弾みがついた。
2015年6月には東京圏の国家戦略特区の区域会議において、同社の再開発対象エリア内である日本橋兜町・茅場町一丁目地区の2つのプロジェクトが都市再生プロジェクトに追加された。東京都は大手町地区から兜町地区までの永代通り沿いのエリアを「東京金融センター」構想を支える金融軸(Tokyo Financial Street)として打ち出しており、国家戦略特区を活用して金融機能を整備するというもので、具体的メリットとしては、容積率の緩和やスピーディな許認可が期待される。
街づくりのコンセプトも明確になってきた。「投資と成長が生まれる街づくり協議会」の中間提言(2015年4月)では、日本橋兜町の新しい主役を「資産運用を中心とした金融人」に置き、「金融人材、資産運用を中心とした金融ベンチャー企業や金融専門サービス業者等が“育ち”、“集い”、上場企業等と“交流する”街づくり」というコンセプトが示された。これを受けて、同社では先行する兜町プロジェクトにおいて「投資家と企業の対話・交流促進拠点の整備」をコンセプトに、投資家フォーラムや金融ナレッジ育成施設などを計画する。先行プロジェクトのもう1つである茅場町プロジェクトにおいては「資産運用を中心とした金融ベンチャー企業等の発展支援」をコンセプトに、新興資産運用会社などの金融ベンチャーのインキュベーション施設などを計画する。
今後は、2020年中に兜町プロジェクトおよび茅場町プロジェクトを竣工させたい考えだ。これら先行2プロジェクトでは延床面積合計6万〜8万平方メートル(2プロジェクト全体)を想定しているが、具体的な投資計画や賃貸面積などの公開内容および許認可のタイミングを注視したい。
同社の株価は、2015年9月4日の日経225除外公表後に急落したものの、同年11月6日にはTOPIX(不動産)を越える水準に回復した(2015年5月1日を基準に比較)。同社の手堅い事業特性や兜町再開発の将来性に関して、一定の理解が得られた結果と考えられる。一方で現状のPBR(株価純資産倍率)は0.58倍(2015年12月16日現在)と同業他社と比較しても低い水準である。短期業績は横ばいの予想ではあるが、日本橋兜町再開発の全容が明らかになるにつれて再評価される可能性も高い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
<HN>