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TOKAI HD Research Memo(3):ガス・石油事業は利益面をけん引、情報・通信は期初予想上回る

注目トピックス 日本株
■決算動向

(2)セグメント別業績動向

○ガス・石油事業
ガス・石油事業の売上高は前年同期比11.2%減の380億円となったものの、営業利益は同31.2%増の27億円となり、期初計画の22億円も上回った。主力のLPガス事業において、販売数量が前年同期並みとなったものの、仕入価格の低下による販売価格の引き下げ(影響額は43億円)が減収要因となった。LPガスの仕入価格に影響を与える原油市況の下落に伴い、2014年後半以降仕入価格が下落し、小売価格では2015年に入って価格改定を実施している。このため、価格改定の影響は第3四半期まで残るものとみられる。営業利益の増減要因は、ガスの仕入価格と販売価格の変動差益で3億円、間接コストの低減で3億円、営業権等償却負担減で1億円などとなっている。

当四半期で最も注目されるのは、LPガスの顧客件数が前期末比1千件増の573千件と久しぶりに増加に転じたことだ。従来は、営業エリア内(静岡県、関東)における競争激化や世帯数の減少などもあって漸減傾向が続いていたが、今期より営業エリアを宮城県や愛知県といったエリアに拡大したことが寄与している。新規エリアでの契約数は数千件程度とまだ全体に占める比率は小さいものの、今後の増加が見込まれる。

一方、都市ガス事業は契約件数が前期末比横ばいの53千件となり、原料費調整制度に伴う販売価格引き下げにより、売上高は減収となったものの利益面では安定して推移した。

○情報・通信サービス事業
情報・通信サービス事業の売上高は前年同期比4.5%増の204億円、営業利益は同54.5%減の11億円となった。売上高は光通信回線料が上乗せとなる光コラボの9月末の契約件数が新規、転用併せて117千件に拡大したことが増収要因となった。一方、営業利益は光コラボの新規顧客獲得及び転用促進に伴う販促費として15億円投下したことが減益要因となった。ただ、期初計画比では営業利益も3億円上回っている。

ブロードバンドサービス契約件数全体で見ると、840千件と前期末比で6千件の減少となったが、これはADSLの契約件数が減少したことが要因で、FTTHだけで見れば同4千件増の748千件と着実に増加した。ただ、計画比では3万件ほど下回った。想定よりも解約件数が2万件程度多かったのが要因だ。同様に光コラボでの顧客囲い込みを進めているソフトバンクモバイルなど通信キャリアに一部、顧客が流れたことが影響した。TOKAIホールディングス<3167>ではコールセンターでのきめ細やかな対応を進めていくことで解約率の抑制に取り組んでいくほか、格安SIMなど他の商材も組み合わせたメニュープランを導入することも検討していくとしている。

9月末の光コラボの契約件数内訳を見ると、新規が22千件、転用が95千件となった。期初計画比では新規が7千件、転用が70千件下回り、特に転用が当初の想定よりも緩やかなペースで推移した。この要因として、光コラボの認知度があまり広がらなかったことや、家電量販店での光コラボの取り組みが8月まで鈍かったことに加えて、ユーザーの転用手続きが当初の想定よりも煩雑になったことが影響したとみられる(当初は転用手続きを代理店が代行して行えたが、途中から代行手続きが認められなくなった)。ただ、同社の転用率(フレッツ光顧客件数に占める光コラボへ転用した顧客の比率)は16.5%と全国平均の11.0%を上回るペースで進捗している。同社ではこうした状況を踏まえて、2016年3月期末の転用件数262千件の獲得ペースを見直し、2017年3月期末に達成するとしたが、中期的な収益計画への影響はほとんどないとみている。

一方、法人向けサービスに関しては、売上高、利益ともに若干の増収増益となった。システム開発については減益となったものの、クラウドサービスの市場拡大を背景に光通信回線サービスやデータセンターの需要が拡大した。

○CATV事業
CATV事業の売上高は前年同期比0.6%増の122億円、営業利益は同14.8%増の10億円となった。大手通信事業者との競争激化で漸減傾向が続いていた放送サービスの契約件数が前期末比1千件増の494千件と増加に転じたほか、通信サービスも同7千件増の203千件と順調に拡大したのが増収増益要因となった。

放送サービスの契約数が増加した要因としては、2015年3月期より注力してきた集合住宅向け一括バルクサービスの実績が積み上がってきたことが大きい。集合住宅向けバルクサービスによる契約件数は、前期末の3千件から9月末には7千件に拡大している。同社グループのサービスエリアにおける集合住宅の比率は37%程度あり、今後も契約数の拡大が見込まれる。

○建築・不動産事業
建築・不動産事業の売上高は前年同期比13.5%増の93億円、営業利益は同142.9%増の3億円となった。マンション販売の減収はあったものの、戸建住宅や店舗新築工事、リフォームやリセプション(建物管理サポート)などがいずれも増収となるなど、全体的には順調に推移した。営業利益の増益要因としてはカーディーラーの大型案件(3店舗)やリセプション事業の拡大が寄与した。建物管理物件数は関東、福岡エリアを中心に前年同期比1.4万件増となる61万件となった。

○アクア事業
アクア事業の売上高は前年同期比13.3%増の27億円、営業損失は6億円(前年同期は10億円の損失)に縮小した。当期は静岡・関東に加えて関西・北陸・東北エリアの大型商業施設など営業エリアを拡大したことで、契約件数は前期末比2千件増の132千件となった。利益改善要因の内訳を見ると、契約件数増に伴う効果で1億円、一部商品の値上げ実施(運送コストの上昇や消費増税などを踏まえて2015年初に100円値上げ)で2億円、製造原価・販管費の削減で1億円となっている。

○その他・調整額
その他・調整額においては、売上高が前年同期比3.6%減の21億円、営業損失が26億円と前年同期並みとなった。売上高は、婚礼催事事業が減収となったものの、介護事業が前期に新設した静岡県内のデイサービス施設及び介護付き有料老人ホームの利用者増により増収となったほか、造船事業も修繕隻数の増加により増収となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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