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アキュセラ Research Memo(1):加齢黄斑変性の地図状萎縮を伴うドライ型治療薬を開発中

注目トピックス 日本株
アキュセラ・インク(Acucela Inc.)<4589>は眼科領域に特化したバイオベンチャーで、2002年に米国で創業、2014年2月に東証マザーズ市場に上場した。眼の「アルツハイマー病」とも言われる加齢黄斑変性の中でも地図状萎縮を伴うドライ型に向けた治療薬「emixustat hydrochloride(エミクススタト塩酸塩)(以下、エミクススタト)」の開発を行っている。現在、同領域で承認された治療薬はないため、注目度は大きい。今後は糖尿病性網膜症や糖尿病性黄斑浮腫などに適応領域を広げていく方針で、眼科領域での大型医薬品として成長する可能性がある。また、同社が実施している「エミクススタト」の臨床試験では、副次的評価項目にウェット型加齢黄斑変性も含まれている。現在、眼科領域ではウェット型加齢黄斑変性治療薬の「ルセンティス(Lucentis)」が年間売上高で42億ドル超※と最大の医薬品となっているが、同製品を上回ることも十分考えられる。
※visiongain, Macular Degeneration (AMD) and Other Retical Diseases: World Drug Industry and Market 2015 - 2025, p33

「エミクススタト」は現在、米国で臨床第2b/3相試験の最終段階にあり、2016年夏頃にトップラインデータを開示する予定。安全性に関しては問題となる症例の報告はなく、臨床第2a相試験において、病気の進行を抑制するトレンドが見られたことから期待度は大きい。また、同社ではデータ結果を基に、欧州市場でのパートナーシップ契約の交渉も開始する予定となっている。このため、トップラインデータの結果によって同社の企業価値も大きく変貌する可能性がある。

ウェット型の加齢黄斑変性治療薬の開発を行っている米オフトテック(Ophthotech Corporation)(NASDAQコード)がNASDAQ市場に上場しているが、現在の時価総額は円換算で2,700億円規模、また、同様にウェット型の治療薬の開発に成功、2011年に上市した米リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Regeneron Pharmaceuticals, Inc.:以下、リジェネロン)(NASDAQコード)の時価総額は7兆円規模に達している。翻って同社の時価総額を見ると280億円程度にしか過ぎず、グローバル基準で見ると過小評価された水準にあると言えよう。

2016年は臨床試験のトップラインデータ発表以外にも、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫やスターガート病など適応領域拡大に向けた研究開発を進めるほか、新たなパイプラインを構築するべく複数のインライセンス活動も進めていくことを考えている。同社は将来的に眼科領域におけるグローバル・ソリューションカンパニーを目指しており、治療薬だけでなくメディカルデバイスや病気の予防、遺伝子治療など眼科領域の様々な分野において、有望と思われる技術や新薬候補などのインライセンス活動を進めていく方針だ。

業績に関しては「エミクススタト」が上市されるまで赤字が続くことが予想されるが、共同開発パートナー企業から開発資金が提供されており、赤字幅は一般的な開発型バイオベンチャーと比較してはるかに小さい。手元資金は160百万ドル(約200億円)を超えており、当面は財務面でのリスクはないものと考えられる。

■Check Point
・加齢黄斑変性の患者数は全世界で1億3,500万人という推定
・エミクススタトの臨床試験が最終段階に、提携からの収益は減少
・株価はエミクススタトの成長性の価値を織り込んでいない

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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