アキュセラ Research Memo(6):株価はエミクススタトの成長性の価値を織り込んでいない
[15/12/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■同業他社比較
「エミクススタト」の成長性については前述したように、眼疾患領域において最大規模の医薬品に育つ可能性があると弊社では見ている。一方で、現在の株価はその価値を織り込んでいないように思われる。それは、加齢黄斑変性治療薬の開発企業との比較で見れば明らかとなる。
ここでは、米オフトテックと米リジェネロンを取り上げる。オフトテックは現在、ウェット型に対し新生血管の生成を抑制する抗VEGF薬と組み合わせて使う抗PDGF抗体「Fovista®」を開発中で、臨床第3相試験に入っている。また、地図状萎縮を伴うドライ型に対しては、「Zimura®」(眼球注射)を開発中で、臨床第2a相試験を終了した段階で、今後臨床第2/3相試験を予定している。時価総額は2,700億円超と、アキュセラ・インク<4589>の約10倍となっている。開発段階のバイオベンチャーを評価するのは難しいとはいえ、将来的に成功した時の収益から現在の価値を評価する必要がある。
また、リジェネロンはウェット型に対する新生血管の生成を抑制する抗VEGF薬「アイリーア(EYLEA®)」(眼球注射)を開発。2011年11月に米国で上市し、のちに米国以外の地域に展開している企業で、「アイリーア」の売上規模は2014年で27.8億ドルに達し、上市後3年間で急成長を遂げた会社である。現在の時価総額で見ると7兆円に達している。この規模を超える製薬企業は日本にはない。リジェネロンの業績推移を見ると、「アイリーア」が上市するまでは赤字が続いていたが、上市後の2012年以降は黒字に転換し、現在は成長ステージに入っていることがわかる。上市前の赤字の状態でも時価総額は数千億円規模だった。株価についても、2011年までは100ドル以下で長らく低迷していたとはいえ、時価総額は数千億円におよぶ。業績拡大と連動するように上昇し、直近では500ドル台で推移している。「アイリーア」の臨床第2/3相試験が行われていた2008年頃は株価も20ドル台で推移していたので、その頃との比較では20倍超に時価総額が拡大したことになる。バイオベンチャーを適切に評価するポイントとして重要なのは、キャッシュが十分である限りは開発ステージにおける収益で評価すべきではないということだ。
このように、バイオベンチャーの株価は、1つの新薬候補が上市するかどうかで大きく変貌するのが特徴であるが、同社の現在の時価総額はこれら2社の時価総額と比較すれば、その成長性をまったく織り込んでいないように思われる。前述したとおり、「エミクススタト」は加齢黄斑変性の中でも地図状萎縮を伴うドライ型だけでなく、副次的評価項目でウェット型に対する効果も検証していることから、臨床第2b/3相試験のトップラインデータの結果によっては、その評価が大きく変わる可能性があると弊社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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「エミクススタト」の成長性については前述したように、眼疾患領域において最大規模の医薬品に育つ可能性があると弊社では見ている。一方で、現在の株価はその価値を織り込んでいないように思われる。それは、加齢黄斑変性治療薬の開発企業との比較で見れば明らかとなる。
ここでは、米オフトテックと米リジェネロンを取り上げる。オフトテックは現在、ウェット型に対し新生血管の生成を抑制する抗VEGF薬と組み合わせて使う抗PDGF抗体「Fovista®」を開発中で、臨床第3相試験に入っている。また、地図状萎縮を伴うドライ型に対しては、「Zimura®」(眼球注射)を開発中で、臨床第2a相試験を終了した段階で、今後臨床第2/3相試験を予定している。時価総額は2,700億円超と、アキュセラ・インク<4589>の約10倍となっている。開発段階のバイオベンチャーを評価するのは難しいとはいえ、将来的に成功した時の収益から現在の価値を評価する必要がある。
また、リジェネロンはウェット型に対する新生血管の生成を抑制する抗VEGF薬「アイリーア(EYLEA®)」(眼球注射)を開発。2011年11月に米国で上市し、のちに米国以外の地域に展開している企業で、「アイリーア」の売上規模は2014年で27.8億ドルに達し、上市後3年間で急成長を遂げた会社である。現在の時価総額で見ると7兆円に達している。この規模を超える製薬企業は日本にはない。リジェネロンの業績推移を見ると、「アイリーア」が上市するまでは赤字が続いていたが、上市後の2012年以降は黒字に転換し、現在は成長ステージに入っていることがわかる。上市前の赤字の状態でも時価総額は数千億円規模だった。株価についても、2011年までは100ドル以下で長らく低迷していたとはいえ、時価総額は数千億円におよぶ。業績拡大と連動するように上昇し、直近では500ドル台で推移している。「アイリーア」の臨床第2/3相試験が行われていた2008年頃は株価も20ドル台で推移していたので、その頃との比較では20倍超に時価総額が拡大したことになる。バイオベンチャーを適切に評価するポイントとして重要なのは、キャッシュが十分である限りは開発ステージにおける収益で評価すべきではないということだ。
このように、バイオベンチャーの株価は、1つの新薬候補が上市するかどうかで大きく変貌するのが特徴であるが、同社の現在の時価総額はこれら2社の時価総額と比較すれば、その成長性をまったく織り込んでいないように思われる。前述したとおり、「エミクススタト」は加齢黄斑変性の中でも地図状萎縮を伴うドライ型だけでなく、副次的評価項目でウェット型に対する効果も検証していることから、臨床第2b/3相試験のトップラインデータの結果によっては、その評価が大きく変わる可能性があると弊社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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