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ファーストブラザーズ Research Memo(1):市況に応じた機動的な売買で顧客投資家の利益最大化を重視

注目トピックス 日本株
ファーストブラザーズ<3454>は、独立系の不動産私募ファンド運用会社。2004年2月創業。代表取締役社長の吉原知紀(よしはらともき)氏を始めキーマンに旧三井信託銀行(株)の出身者が多い。2015年11月期末のAUM(運用資産残高)は自己勘定投資157億円を含め727億円(前期末比196億円減)。AUMの積み上げよりも市況に応じた機動的な売買による顧客投資家の利益最大化を重視している。ファンドのタイプはオポチュニスティック型で、エクイティ投資家は国内外の機関投資家。投資対象は主に首都圏の数十億〜数百億円規模のオフィス、商業施設、レジデンスなど。特に商業施設に強みを持っている。

IPOによる手元資金の充実に伴い、ファンドへのセイムボート投資、賃貸不動産への自己勘定投資を拡大する方針で、安定収益となる賃料収入の拡大を図りつつ、機を捉えて売却益も追求する。自己勘定投資の主な投資対象はファンドの投資対象にならない10億円前後の小規模物件が中心。また、中長期的な成長を見据え、既存事業のプラットフォームを活用して、ベンチャー企業や再生可能エネルギー関連事業など新規分野への投資も進めている。

2015年11月期連結決算は、売上高4,557百万円(前期比57.5%減)、営業利益2,832百万円(同26.7%増)経常利益2,658百万円(同23.4%増)、当期純利益1,661百万円(同2.5倍)。2014年11月期は当社に利益が帰属しないSPC(特別目的会社)が連結されていたため売上高から経常利益までがかさ上げされていたという特殊要因があり、当該SPCの影響を控除した実質ベースの前期比は、売上高が16.6%減、営業利益、経常利益が2.4倍となる。利益をけん引したのは、不動産売買市場の活況を捉えたファンドにおける物件売却の推進に伴うディスポジションフィー、インセンティブフィー、セイムボート投資のキャピタル配当。実質ベースでも減収になったのは、2014年11月期には自己勘定投資物件の売却2,975百万円があったのに対し、2015年11月期はなかったため。一方、自己勘定による仕入れは121億円とほぼ計画どおり大幅に進展した。

2016年11月期会社業績予想は、売上高12,482百万円(前期比2.7倍)、営業利益3,052百万円(同7.8%増)。ファンドからのディスポジションフィー、インセンティブフィーの減少を見込む一方、自己勘定投資物件の売却による売却益を70億円弱見込むことにより、小幅営業増益予想。不動産市況は高値圏にあるとの認識のもとファンドの物件売却を引続き進める方針のため売却関連フィーが想定を上振れるとみられ、業績は上方修正の可能性が高いだろう。

■Check Point
・顧客の利益最大化を追求する不動産投資・証券化のプロフェッショナル集団
・手元資金の充実を背景に成長に向けた自己勘定投資を拡大方針
・ファンドはオポチュニスティック型のため不動産投資市場に波乱があればむしろ好機

(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)



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