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トーセイ Research Memo(8):不動産流動化事業と不動産ファンド・コンサルティング事業が牽引

注目トピックス 日本株
■決算動向

(3)主要セグメントの業績動向

6セグメントのうち、主要4セグメントにつき以下詳述する。

a)不動産流動化事業
トーセイ<8923>のセグメント業績は、売上高259億円(前期比25.2%減)、売上総利益51.9億円(同22.9%増)、営業利益41.8億円(同25.7%増)。全体の営業利益の約6割を稼いだ。東陽町トーセイビルなどのオフィスやレジデンスを24物件(1物件当りの平均売却金額9.9億円)、Restyling68戸(9物件)を売却した。1棟販売のうち、トーセイ・リート投資法人のPO(公募増資)に伴う物件拠出が4物件(オフィス2物件、商業ビル1物件、レジデンス1物件)、105億円あった。REITの投資目線に合う中規模物件が少なく期初の想定を大幅に下回った。外部売却20物件の売却先のほとんどは事業法人。

Restylingは新たな仕入れを行っておらず、在庫は漸減傾向。2015年11月期末の在庫は9物件で164戸(売上高規模50億円程度)となっている。

前期比大幅減収ながら売上総利益率が20.0%(前期比7.8pt増)と改善し、営業増益となった。売上総利益率が期初想定の13.9%を大幅に上回ったのは、1)利益率の低いREIT向けのブリッジ案件の売上高が想定を下回った、2)外部売却の売上総利益率が、キャップレートの一段の低下やバリューアップ効果及び市況回復による賃料上昇を受け想定の23%を上回った、ことによる。なお、2014年11月期の売上総利益率が12.2%と低かったのは、1)トーセイ・リート投資法人のIPOに伴う物件拠出が174億円あった、2)耐震・環境不動産形成促進事業における官民ファンド第1号案件に14億円の物件を拠出したが、社会的意義の高いファンド向けであるため売却価格を抑えた、3)当期に仕入れた都内のオフィスビルの底地部分28億円を取得と同時に利益ゼロで私募ファンドに売却するという特殊な案件があった、ことによる。これらを除いた2014年11月期の売上総利益率は22%だった。REITのブリッジ案件や特殊な案件を除いて比較しても2015年11月期の売上総利益率は2014年11月期よりも向上しており、不動産投資市場の過熱ぶりがうかがわれる。

b)不動産賃貸事業
セグメント業績は、売上高41.3億円(前期比1.8%減)、営業利益17.3億円(同28.4%減)となった。期初予想は売上高38.8億円(同7.7%減)、営業利益18.1億円(同25.0%減)と当初から減収減益予想だった。これは、1)2014年11月にREITへ高稼働の12物件、174億円の物件拠出を行ったのに対し、新たに仕入れる物件にはバリューアップ余地の大きい低稼働のものが少なくない、2)トーセイ・リート投資法人に拠出した郊外オフィスに関し、スポンサーとしてREITの分配金の確実性を担保するため賃料固定型のマスターリース契約を結んでいたところ、キーテナントの退去が発生した、ことによる。物件仕入れが順調に進捗した結果、売上高は期初予想を上回ったが、2)のサブリース物件が逆ざやとなっているため将来の損失見込み額を引当処理した結果、営業利益は若干予想を下回った。

c)不動産ファンド・コンサルティング事業
セグメント業績は、売上高23.4億円(前期比2.4倍)、営業利益13.7億円(同7.9倍)と急伸し、全体の業績にも大きく寄与した。急伸した主因は、1)2014年12月にブラックストーンから約2,000億円のファンドのAMを受託したことにより、AMフィーが8.2億円(同3.1倍)と急増した、2)他社運営ファンドへのマイナー出資にかかる配当金が7.2億円(同約14倍)と膨らんだ、ことによる。2)の配当金のほとんどは、2013年11月期にマイナー出資した物流ファンドからの売却配当で期初予想には織り込まれていなかった。従来、同社は他社運営ファンドへのエクイティ出資は余り行っておらず、この出資はBM受託を目的としたものだった。当該ファンドは物件売却を完了しており、今後、追加で配当金が発生することはない。

d)不動産開発事業
セグメント業績は、66.0億円(前期比8.1%増)、営業利益5.3億円(同23.7%増)。賃貸マンション1棟、5.9億円の販売以外は戸建分譲(一部宅地販売を含む)でマンション分譲はなかった。戸建分譲は約130戸の引渡計画だったが、一部プロジェクトの販売長期化により105戸(14プロジェクト)とやや下回った。このため期初予想に対し売上高は18.3億円、営業利益は2.6億円、それぞれ下回った。値引きによる売り急ぎはせずに着実に販売していく方針だ。

(4)仕入れ状況

2015年11月期の流動化物件及び開発用地の仕入高は、想定売上高ベースで451億円(前期比38億円減)となった。内訳は、流動化物件381億円、開発用地70億円。流動化物件の仕入れの中心は、2014年11月期に続いてオフィスビルで14物件、263億円(うち2物件、37億円は投資不動産として取得)だった。他には賃貸マンション12物件、95億円などを仕入れた。開発用地の中では店舗・オフィスの開発用地が約50億円を占めた。

2015年11月期の仕入高は目標の600億円を下回ったが、2015年11月期末までに売買契約を締結済みで未引渡の物件、開発用地が145億円あり、これを含めると597億円となり、取得競争が過熱する中でも実質ほぼ目標を達成した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)



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