トーセイ Research Memo(10):16/11期業績は都心の商業施設の開発利益が牽引する見込み
[16/02/26]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■決算動向
(6) 2016年11月期業績見通し
トーセイ<8923>の2016年11月期の会社連結業績予想は、売上高552億円(前期比28.5%増)、営業利益75.6億円(同9.7%増)、税引前利益65.0億円(同7.8%増)、当期利益43.0億円(同4.1%増)。
2015年11月期にあったマイナー出資ファンドからの売却配当約7億円がはく落するが、商業施設2物件の開発利益がけん引し、増益を見込む。
売上総利益は148億円(前期比25.0%増)と高い伸びを見込むにもかかわらず、販管費が73.3億円(同46.0%増)と大幅増見込みのため、営業増益率は抑えられる予想になっている。販管費の増加要因は、1)物件販売経費が、開発案件の商業施設2物件の売却や再生流動化案件の売却増により27.0億円(同2.5倍)と大幅に増加する見込みであること、2)業容拡大に向けた人員増(2015年11月期末301人→2016年11月期末予想340人)やベースアップによる人件費増。
不動産流動化事業における物件売却価格を保守的にみているため、会社業績予想には余裕があるといえる。2015年11月期と同様に物件売却を一部先送りし、売却益をコントロールすることも考えられる。逆に、環境次第では売却を促進することもあり得る。その場合は、会社業績予想を大幅に上振れよう。
引続き積極的な仕入れを行っていく方針で、仕入高は想定売上高ベースで700億円(2015年11月期に売買契約を締結済みの145億円を含む)を計画している。700億円の内訳は、開発用地180億円、流動化物件520億円といずれも拡大させる計画。100億円くらいまでの大型物件の仕入れを強化する方針。開発用地ではホテル用地の取得も行っていく方針だ。
以下、主要セグメントの見通しについて説明する。
a)不動産流動化事業
セグメント業績予想は、売上高321億円(前期比23.7%増)、営業利益32.8億円(同21.6%減)。売上総利益率は14.6%(同5.4pt減)と低めの想定。2015年11月期並みかそれ以上のREITへのブリッジを見込んでいるとみられることや、既に不動産投資市場が過熱しているためアップサイドが限定的とみていることによる。現状の市況からすると想定は保守的過ぎるとみられ、利益率は上振れの可能性が高いだろう。
b)不動産開発事業
セグメント業績予想は、売上高127億円(前期比92.7%増)、営業利益29.5億円(同5.5倍)。全体の業績をけん引する見込み。売上高の約6割が商業施設2物件によるものとしている。ほかに1棟ものの売却予定はなく、残り約4割は戸建分譲によるもので123戸の販売を計画している。商業施設2物件とは、「T’S BRIGHTIA南青山」(延床面積1,418平方メートル、2016年1月竣工)と綱島の商業施設「T’S BRIGHTIA綱島」(延床面積597平方メートル、2014年5月竣工)。前者は当社が過去に開発した商業施設6棟中、最大規模で表参道駅徒歩3分に立地する稀少性の高い物件。これらの物件の開発利益がけん引し、セグメントの売上総利益率は40.4%(同19.7pt増)と高水準になる見込み。商業施設2物件とも既に契約済みで1Q(12月−2月)に引渡す予定。
2015年11月期は分譲マンションの販売がなかったが、現在、世田谷区下馬で89戸の物件の開発を計画中。開発が決定すれば、2年後くらいに引渡しになるとみられる。この案件は、2014年にM&Aで取得したスポーツクラブの施設の跡地を開発しようというものだ。
c)不動産賃貸事業
セグメント業績予想は、売上高50.3億円(前期比21.7%増)、営業利益22.7億円(同31.7%増)。積極仕入れにより、簿価ベースで棚卸資産は2015年11月期末の461億円から2016年11月期末に651億円に、有形固定資産及び投資不動産は2015年11月期末の221億円から2016年11月期末に269億円に拡大を見込んでいる。アセット拡大に加えて、既存物件のバリューアップ進展により賃料収入の増加を見込んでいる。逆ざやとなっている先述のサブリース案件については、損失を先取りしているためリーシングが遅れたとしても前期比では増益要因となる。
d)不動産ファンド・コンサルティング事業
セグメント業績予想は、売上高14.3億円(前期比38.6%減)、営業利益3.7億円(同72.7%減)と2015年11月期のファンドへのマイナー出資にかかる売却配当7.2億円のはく落により大幅減益見込み。期初の2015年末にブラックストーンからさらに57物件、532億円のレジデンスのAMを受託しているが、これにかかるAMフィーは業績予想に織り込み済み。
ただし、ディスポジションフィー、仲介手数料の想定が保守的なことからセグメントの業績予想は上振れる可能性が高いだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)
<HN>
(6) 2016年11月期業績見通し
トーセイ<8923>の2016年11月期の会社連結業績予想は、売上高552億円(前期比28.5%増)、営業利益75.6億円(同9.7%増)、税引前利益65.0億円(同7.8%増)、当期利益43.0億円(同4.1%増)。
2015年11月期にあったマイナー出資ファンドからの売却配当約7億円がはく落するが、商業施設2物件の開発利益がけん引し、増益を見込む。
売上総利益は148億円(前期比25.0%増)と高い伸びを見込むにもかかわらず、販管費が73.3億円(同46.0%増)と大幅増見込みのため、営業増益率は抑えられる予想になっている。販管費の増加要因は、1)物件販売経費が、開発案件の商業施設2物件の売却や再生流動化案件の売却増により27.0億円(同2.5倍)と大幅に増加する見込みであること、2)業容拡大に向けた人員増(2015年11月期末301人→2016年11月期末予想340人)やベースアップによる人件費増。
不動産流動化事業における物件売却価格を保守的にみているため、会社業績予想には余裕があるといえる。2015年11月期と同様に物件売却を一部先送りし、売却益をコントロールすることも考えられる。逆に、環境次第では売却を促進することもあり得る。その場合は、会社業績予想を大幅に上振れよう。
引続き積極的な仕入れを行っていく方針で、仕入高は想定売上高ベースで700億円(2015年11月期に売買契約を締結済みの145億円を含む)を計画している。700億円の内訳は、開発用地180億円、流動化物件520億円といずれも拡大させる計画。100億円くらいまでの大型物件の仕入れを強化する方針。開発用地ではホテル用地の取得も行っていく方針だ。
以下、主要セグメントの見通しについて説明する。
a)不動産流動化事業
セグメント業績予想は、売上高321億円(前期比23.7%増)、営業利益32.8億円(同21.6%減)。売上総利益率は14.6%(同5.4pt減)と低めの想定。2015年11月期並みかそれ以上のREITへのブリッジを見込んでいるとみられることや、既に不動産投資市場が過熱しているためアップサイドが限定的とみていることによる。現状の市況からすると想定は保守的過ぎるとみられ、利益率は上振れの可能性が高いだろう。
b)不動産開発事業
セグメント業績予想は、売上高127億円(前期比92.7%増)、営業利益29.5億円(同5.5倍)。全体の業績をけん引する見込み。売上高の約6割が商業施設2物件によるものとしている。ほかに1棟ものの売却予定はなく、残り約4割は戸建分譲によるもので123戸の販売を計画している。商業施設2物件とは、「T’S BRIGHTIA南青山」(延床面積1,418平方メートル、2016年1月竣工)と綱島の商業施設「T’S BRIGHTIA綱島」(延床面積597平方メートル、2014年5月竣工)。前者は当社が過去に開発した商業施設6棟中、最大規模で表参道駅徒歩3分に立地する稀少性の高い物件。これらの物件の開発利益がけん引し、セグメントの売上総利益率は40.4%(同19.7pt増)と高水準になる見込み。商業施設2物件とも既に契約済みで1Q(12月−2月)に引渡す予定。
2015年11月期は分譲マンションの販売がなかったが、現在、世田谷区下馬で89戸の物件の開発を計画中。開発が決定すれば、2年後くらいに引渡しになるとみられる。この案件は、2014年にM&Aで取得したスポーツクラブの施設の跡地を開発しようというものだ。
c)不動産賃貸事業
セグメント業績予想は、売上高50.3億円(前期比21.7%増)、営業利益22.7億円(同31.7%増)。積極仕入れにより、簿価ベースで棚卸資産は2015年11月期末の461億円から2016年11月期末に651億円に、有形固定資産及び投資不動産は2015年11月期末の221億円から2016年11月期末に269億円に拡大を見込んでいる。アセット拡大に加えて、既存物件のバリューアップ進展により賃料収入の増加を見込んでいる。逆ざやとなっている先述のサブリース案件については、損失を先取りしているためリーシングが遅れたとしても前期比では増益要因となる。
d)不動産ファンド・コンサルティング事業
セグメント業績予想は、売上高14.3億円(前期比38.6%減)、営業利益3.7億円(同72.7%減)と2015年11月期のファンドへのマイナー出資にかかる売却配当7.2億円のはく落により大幅減益見込み。期初の2015年末にブラックストーンからさらに57物件、532億円のレジデンスのAMを受託しているが、これにかかるAMフィーは業績予想に織り込み済み。
ただし、ディスポジションフィー、仲介手数料の想定が保守的なことからセグメントの業績予想は上振れる可能性が高いだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)
<HN>