伊藤忠エネクス Research Memo(6):今期においては通期予想の達成には予断を許さない
[16/02/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績見通し
(1) 2016年3月期通期見通し
2016年3月期について伊藤忠エネクス<8133>は、売上高1,350,000百万円(前期比1.7%減)、営業利益16,800百万円(同28.2%増)、税引前利益15,200百万円(同25.1%増)、当期利益8,200百万円(同49.0%増)と予想している。この数字は期初予想から変更はない。
通期予想の達成可能性の評価について、利益は、前述のように第3四半期までは極めて順調に推移しており、通常のケースであれば、通期予想は達成されるはずだ。同社の主要製品は一定の利幅が確保されるメカニズムの商品も多く、販売数量の動向が利益額を決定付けるからだ。しかしながら今期においては、通期予想の達成については予断を許さないというのが弊社の見方だ。
その原因は原油価格に伴うCP下落によるLPガス在庫の影響額にある。前述のように、2016年3月期第3四半期までの在庫影響額は、前年同期比対比で若干減少(改善)しての着地となった。しかしながら原油価格は2016年に入ってさらに下落し、それを受けてLPガスの代表種であるプロパンガスのコントラクトプライス(CP)は、2月には280ドル/トンにまで急落した。レポート執筆時点では3月のCPは明らかになっていないが、3月のCP次第では在庫影響額が予想以上に膨らんで利益を圧迫する可能性がある。在庫評価額が計上されるメカニズムは以下の図のとおりだ。
LPガス在庫の件を除けば、第4四半期の事業環境は大きな悪化要因は無いと弊社ではみているが、同社の事業においては季節要因によるところも大きいので楽観はできないと考える。事業部門別の第4四半期の見方は以下のとおりだ。
ホームライフ事業は、前述のLPガス在庫要因を除けば、暖房需要によって販売数量の押上げ効果が期待できる。今冬は季前半こそ暖冬だったが第4四半期に入ってから例年並みの寒さとなってきたことはプラス要因だ。数量拡大で在庫影響を緩和したいところだが、天候次第ということもあり、楽観は禁物だ。
カーライフ事業では、第4四半期は灯油の販売動向が大きなカギを握るとみられる。寒さが戻ってきたことで販売数量は盛り返していると考えられるが、相手が天候ということもあり、この点も予断は許さない。大阪カーライフグループの自動車販売事業は年度末の需要期を控え収益が拡大してくると期待される。
電力・ユーティリティ事業は、第4四半期も順調な推移が期待される。電力事業では第4四半期は定期修理も予定されておらず、順調な発電が実施される見込みだ。販売については小売シフトを強め、1,000GWhの小売電力販売目標達成を目指すことになる。電力自由化の話題活発化で、同社が狙う高圧電力需要家において乗り換えの動きが活発化する可能性がある。熱供給事業も原油安メリットの追い風を受けながら順調な操業が続くとみている。
エネルギートレード事業は、公共事業の年度末の活発化でアスファルト需要が回復してくるかどうかが1つのポイントとみている。アドブルーや船舶燃料、産業用燃料などの事業については第3四半期までの流れが続き、安定的に推移すると考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(1) 2016年3月期通期見通し
2016年3月期について伊藤忠エネクス<8133>は、売上高1,350,000百万円(前期比1.7%減)、営業利益16,800百万円(同28.2%増)、税引前利益15,200百万円(同25.1%増)、当期利益8,200百万円(同49.0%増)と予想している。この数字は期初予想から変更はない。
通期予想の達成可能性の評価について、利益は、前述のように第3四半期までは極めて順調に推移しており、通常のケースであれば、通期予想は達成されるはずだ。同社の主要製品は一定の利幅が確保されるメカニズムの商品も多く、販売数量の動向が利益額を決定付けるからだ。しかしながら今期においては、通期予想の達成については予断を許さないというのが弊社の見方だ。
その原因は原油価格に伴うCP下落によるLPガス在庫の影響額にある。前述のように、2016年3月期第3四半期までの在庫影響額は、前年同期比対比で若干減少(改善)しての着地となった。しかしながら原油価格は2016年に入ってさらに下落し、それを受けてLPガスの代表種であるプロパンガスのコントラクトプライス(CP)は、2月には280ドル/トンにまで急落した。レポート執筆時点では3月のCPは明らかになっていないが、3月のCP次第では在庫影響額が予想以上に膨らんで利益を圧迫する可能性がある。在庫評価額が計上されるメカニズムは以下の図のとおりだ。
LPガス在庫の件を除けば、第4四半期の事業環境は大きな悪化要因は無いと弊社ではみているが、同社の事業においては季節要因によるところも大きいので楽観はできないと考える。事業部門別の第4四半期の見方は以下のとおりだ。
ホームライフ事業は、前述のLPガス在庫要因を除けば、暖房需要によって販売数量の押上げ効果が期待できる。今冬は季前半こそ暖冬だったが第4四半期に入ってから例年並みの寒さとなってきたことはプラス要因だ。数量拡大で在庫影響を緩和したいところだが、天候次第ということもあり、楽観は禁物だ。
カーライフ事業では、第4四半期は灯油の販売動向が大きなカギを握るとみられる。寒さが戻ってきたことで販売数量は盛り返していると考えられるが、相手が天候ということもあり、この点も予断は許さない。大阪カーライフグループの自動車販売事業は年度末の需要期を控え収益が拡大してくると期待される。
電力・ユーティリティ事業は、第4四半期も順調な推移が期待される。電力事業では第4四半期は定期修理も予定されておらず、順調な発電が実施される見込みだ。販売については小売シフトを強め、1,000GWhの小売電力販売目標達成を目指すことになる。電力自由化の話題活発化で、同社が狙う高圧電力需要家において乗り換えの動きが活発化する可能性がある。熱供給事業も原油安メリットの追い風を受けながら順調な操業が続くとみている。
エネルギートレード事業は、公共事業の年度末の活発化でアスファルト需要が回復してくるかどうかが1つのポイントとみている。アドブルーや船舶燃料、産業用燃料などの事業については第3四半期までの流れが続き、安定的に推移すると考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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