ハウスドゥ Research Memo(3):地域密着による物件並びにエリアの情報量とスピードで勝負
[16/03/04]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
(2)フランチャイズ事業
ハウスドゥ<3457>のフランチャイズ事業は、ブランドやネットワークを必要とする中小不動産事業者、また新規に不動産流通事業に参入しようとする企業に対し、不動産売買仲介事業におけるノウハウ(集客戦略、IT戦略、教育研修、モチベーションアップ戦略等)を提供する。
2016年6月期第2四半期のフランチャイズ事業の売上構成は、加盟金が22.2%、月会費が23.7%、システム料が10.4%、広告分担金が23.1%、備品売上が8.7%、その他が11.9%となった。同第2四半期における新規加盟契約数は55件であった。広告分担金は、集合的な広告宣伝に使用されるため、費用を徴収しているにすぎない。同第2四半期のフランチャイズ事業の営業利益は510百万円となり、売上高営業利益率が57.6%の高水準であった。
同社のフランチャイズ事業の特徴は、異業種からの加盟が多いことである。他のチェーンは、おおむね不動産業者を対象としている。同社FC加盟店の業種別内訳(2015年7月時点)は、不動産が31%、建築・リフォームが38%、建材が9%、建設土木等が5%、その他が17%となる。
○差別化戦略は、地域密着、情報の量とスピード
異業種からの新規参入で成功するために、3C(顧客(市場)、競合先、自社)に配慮している。市場規模は大きくても、有力な既存事業者との激しい競合が予想される地域を避ける。また、商圏を絞り込み、局地戦に持ち込み、物件並びにエリアの情報量とスピードで勝負する。不動産売買仲介業は、複数の不動産業者が同一物件を紹介し合い、仲介手数料がほぼ一律(3%+6万円)である。同社のポリシーは、手持ちの情報をすべてオープンにして顧客の選択肢を広げ、価格の客観性を高める情報量の多さで差別化する。新規物件の案内は、他社に先んじることが重要なため、同社では24時間以内にチラシを手まきするという手法をとっている。そのため、自前の印刷機能を備えた。スピーディーなチラシの配布を繰り返すことで、商圏内でプレゼンスが認知され、常に新鮮な情報を提供する店舗というイメージが出来上がる。
不動産業経験者が失敗した店舗が、未経験者に同社の研修を受けさせ、スーパーバイザーの指示どおりに運営することで黒字化している。特定のトップセールスに依存するのではなく、基本に忠実に、凡事徹底することで店舗の収益が上がる仕組みをつくり上げている。同社の差別化ポイントは、情報の「量」と「スピード」による差別化だけではなく、条件に合わない物件も案内、売り込みでなくアドバイス、資金面を押さえる、付加価値の説明、将来のメンテナンス費用もトータルで説明の6項目が挙げられる。
○顧客の利便性を高めるワンストップサービス
同社の加盟店は、バリュエーションが豊富で、安心、便利な店舗を目指している。住まいに関わる複数の機能を組み合わせてワンストップでサービスすることで、顧客への利便性を高めている。顧客は、人生最大の買物に際し、知識も経験も少なく、優先順位や物件、価格が折り合わないことがある。住宅は不動産売買仲介会社、リフォームはリフォーム会社と別々に検討する場合、中古物件の購入で予算を使い果たし、リフォームまで資金が回らないことが往々にしてある。同社は、最初に顧客の希望を聞いた段階で資金の大枠を押さえ、リフォーム費用まで勘案した金額でローンを組むことを提案して、顧客満足度を高めている。
初回接客時に、単に顧客の要望に合致する物件の紹介にとどまらず、顧客の希望を詳しく聞き、それにふさわしい代替案やアドバイスを提供する。希望する中古物件の取得と大がかりなリフォームが割高になる場合は、建売や新築も選択肢となる。スピードを重視しているため、様々な提案を迅速にできるようにITシステムを整えている。顧客と打合せ中に、タブレット端末と独自開発のソフトを利用することで、リフォームの知識がなくても簡単に工事費の概算を算出でき、住宅ローンシミュレーションを活用して月々のローンの返済額を提示できるようにした。
○事業シナジーを強化する支援体制
フランチャイズチェーンに加入するメリットは、ブランド力、ノウハウ、研修プログラム、ITシステムなどがある。FC本部でつくり上げた全国ブランドを利用することで、開店当初から信用を集められる。単独では考えられないテレビCMなども、費用の一部を負担することで可能となり、認知度や信用度を高める。機器や看板の購買費用は、本部が一括して調達するため、個別に購入するよりも安くなる。研修などにより本部からの指導が受けられるうえ、本部主導で加盟店同士の情報共有や研修・勉強会を設けられる。FC全国大会、成功事例共有会などを通した加盟店社員のモチベーションアップも図っている。
加盟店支援体制は、ノウハウがゼロの状態から事業を始めることを可能にする。ただし、同業者からの加入もあり、会員間の業務に対する精通度合に大きな差がある。そのため、加盟店のフォロー体制も多層的になっている。加盟店支援には、大きく分けて、活用型支援、参加型支援、利用型支援がある。加盟店は、必要とする支援を重点的に活用すればよい。
活用型支援は、業務支援ソフトと専用ノウハウで構成される。独自開発の業務支援ソフトは、顧客が閲覧する全国版ホームページ用ソフト「HouseDo.com」とエリア密着のコアな情報を提供する加盟店のホームページ用ソフト「DO-search!」を用意している。業務関係では、加盟店の物件や顧客管理、日報・月報・契約などを管理する「DO NETWORK!」や3分間でリフォームの見積り作成を可能とする「DO TOUCH! REFORM」などの「エージェントマスターツール」をそろえている。専用ノウハウは、加盟店マニュアルとSVサポートの形で提供されている。
参加型支援には、導入研修、ヤングエージェント研修、店長の会・オーナー会、成功店舗見学会がある。京都における集合研修は何名でも何度でも繰り返し受講が可能。また、同社のeラーニングシステム「DO CHANNEL!」で、本部研修、接客ロールプレイング、店舗運営などを学習することができる。
利用型支援は、グループ・外部提携サービスがある。火災保険は、本部一括の契約となるため、個別に結ぶよりも代理店手数料率が高くなる。不動産業界全般の問題としては、優秀な人材の獲得が挙げられる。同社は、入社時の採用判断を明確にし、早期退職を防ぐ適材適所の指標を示すオリジナル適性検査も整備している。
初期費用は、加盟料金、保証金、Webシステム導入費用にオプションとなるSV派遣フォローパックなどを加えると約400万円程度になる。月額費用は、月会費、Webシステム月額利用料、広告分担金(イメージキャラクター分)で約20万円程度になる。さらに、エリアごとの広告分担金が、当該エリアにてCM等の広告活動を実施した場合に発生する。4つのエリアに分類された費用は、約3万円から約20万円になる。月額費用でも、各種オプションを利用すると費用がかかる。月間費用が30万円強であることから、1,000万円の不動産売買の仲介を1件獲得すればカバーできることになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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(2)フランチャイズ事業
ハウスドゥ<3457>のフランチャイズ事業は、ブランドやネットワークを必要とする中小不動産事業者、また新規に不動産流通事業に参入しようとする企業に対し、不動産売買仲介事業におけるノウハウ(集客戦略、IT戦略、教育研修、モチベーションアップ戦略等)を提供する。
2016年6月期第2四半期のフランチャイズ事業の売上構成は、加盟金が22.2%、月会費が23.7%、システム料が10.4%、広告分担金が23.1%、備品売上が8.7%、その他が11.9%となった。同第2四半期における新規加盟契約数は55件であった。広告分担金は、集合的な広告宣伝に使用されるため、費用を徴収しているにすぎない。同第2四半期のフランチャイズ事業の営業利益は510百万円となり、売上高営業利益率が57.6%の高水準であった。
同社のフランチャイズ事業の特徴は、異業種からの加盟が多いことである。他のチェーンは、おおむね不動産業者を対象としている。同社FC加盟店の業種別内訳(2015年7月時点)は、不動産が31%、建築・リフォームが38%、建材が9%、建設土木等が5%、その他が17%となる。
○差別化戦略は、地域密着、情報の量とスピード
異業種からの新規参入で成功するために、3C(顧客(市場)、競合先、自社)に配慮している。市場規模は大きくても、有力な既存事業者との激しい競合が予想される地域を避ける。また、商圏を絞り込み、局地戦に持ち込み、物件並びにエリアの情報量とスピードで勝負する。不動産売買仲介業は、複数の不動産業者が同一物件を紹介し合い、仲介手数料がほぼ一律(3%+6万円)である。同社のポリシーは、手持ちの情報をすべてオープンにして顧客の選択肢を広げ、価格の客観性を高める情報量の多さで差別化する。新規物件の案内は、他社に先んじることが重要なため、同社では24時間以内にチラシを手まきするという手法をとっている。そのため、自前の印刷機能を備えた。スピーディーなチラシの配布を繰り返すことで、商圏内でプレゼンスが認知され、常に新鮮な情報を提供する店舗というイメージが出来上がる。
不動産業経験者が失敗した店舗が、未経験者に同社の研修を受けさせ、スーパーバイザーの指示どおりに運営することで黒字化している。特定のトップセールスに依存するのではなく、基本に忠実に、凡事徹底することで店舗の収益が上がる仕組みをつくり上げている。同社の差別化ポイントは、情報の「量」と「スピード」による差別化だけではなく、条件に合わない物件も案内、売り込みでなくアドバイス、資金面を押さえる、付加価値の説明、将来のメンテナンス費用もトータルで説明の6項目が挙げられる。
○顧客の利便性を高めるワンストップサービス
同社の加盟店は、バリュエーションが豊富で、安心、便利な店舗を目指している。住まいに関わる複数の機能を組み合わせてワンストップでサービスすることで、顧客への利便性を高めている。顧客は、人生最大の買物に際し、知識も経験も少なく、優先順位や物件、価格が折り合わないことがある。住宅は不動産売買仲介会社、リフォームはリフォーム会社と別々に検討する場合、中古物件の購入で予算を使い果たし、リフォームまで資金が回らないことが往々にしてある。同社は、最初に顧客の希望を聞いた段階で資金の大枠を押さえ、リフォーム費用まで勘案した金額でローンを組むことを提案して、顧客満足度を高めている。
初回接客時に、単に顧客の要望に合致する物件の紹介にとどまらず、顧客の希望を詳しく聞き、それにふさわしい代替案やアドバイスを提供する。希望する中古物件の取得と大がかりなリフォームが割高になる場合は、建売や新築も選択肢となる。スピードを重視しているため、様々な提案を迅速にできるようにITシステムを整えている。顧客と打合せ中に、タブレット端末と独自開発のソフトを利用することで、リフォームの知識がなくても簡単に工事費の概算を算出でき、住宅ローンシミュレーションを活用して月々のローンの返済額を提示できるようにした。
○事業シナジーを強化する支援体制
フランチャイズチェーンに加入するメリットは、ブランド力、ノウハウ、研修プログラム、ITシステムなどがある。FC本部でつくり上げた全国ブランドを利用することで、開店当初から信用を集められる。単独では考えられないテレビCMなども、費用の一部を負担することで可能となり、認知度や信用度を高める。機器や看板の購買費用は、本部が一括して調達するため、個別に購入するよりも安くなる。研修などにより本部からの指導が受けられるうえ、本部主導で加盟店同士の情報共有や研修・勉強会を設けられる。FC全国大会、成功事例共有会などを通した加盟店社員のモチベーションアップも図っている。
加盟店支援体制は、ノウハウがゼロの状態から事業を始めることを可能にする。ただし、同業者からの加入もあり、会員間の業務に対する精通度合に大きな差がある。そのため、加盟店のフォロー体制も多層的になっている。加盟店支援には、大きく分けて、活用型支援、参加型支援、利用型支援がある。加盟店は、必要とする支援を重点的に活用すればよい。
活用型支援は、業務支援ソフトと専用ノウハウで構成される。独自開発の業務支援ソフトは、顧客が閲覧する全国版ホームページ用ソフト「HouseDo.com」とエリア密着のコアな情報を提供する加盟店のホームページ用ソフト「DO-search!」を用意している。業務関係では、加盟店の物件や顧客管理、日報・月報・契約などを管理する「DO NETWORK!」や3分間でリフォームの見積り作成を可能とする「DO TOUCH! REFORM」などの「エージェントマスターツール」をそろえている。専用ノウハウは、加盟店マニュアルとSVサポートの形で提供されている。
参加型支援には、導入研修、ヤングエージェント研修、店長の会・オーナー会、成功店舗見学会がある。京都における集合研修は何名でも何度でも繰り返し受講が可能。また、同社のeラーニングシステム「DO CHANNEL!」で、本部研修、接客ロールプレイング、店舗運営などを学習することができる。
利用型支援は、グループ・外部提携サービスがある。火災保険は、本部一括の契約となるため、個別に結ぶよりも代理店手数料率が高くなる。不動産業界全般の問題としては、優秀な人材の獲得が挙げられる。同社は、入社時の採用判断を明確にし、早期退職を防ぐ適材適所の指標を示すオリジナル適性検査も整備している。
初期費用は、加盟料金、保証金、Webシステム導入費用にオプションとなるSV派遣フォローパックなどを加えると約400万円程度になる。月額費用は、月会費、Webシステム月額利用料、広告分担金(イメージキャラクター分)で約20万円程度になる。さらに、エリアごとの広告分担金が、当該エリアにてCM等の広告活動を実施した場合に発生する。4つのエリアに分類された費用は、約3万円から約20万円になる。月額費用でも、各種オプションを利用すると費用がかかる。月間費用が30万円強であることから、1,000万円の不動産売買の仲介を1件獲得すればカバーできることになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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