ハウスドゥ Research Memo(7):ハウス・リースバックで圧倒的ナンバーワンの獲得を狙う
[16/03/04]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■経営戦略
(3)ハウス・リースバック事業−圧倒的No.1を狙う
ハウス・リースバックは、持ち主が自宅を売却後も住み続けられる、新しい住まい方の提案である。ハウスドゥ<3457>が住宅を買い取り、売主とリース(賃貸)契約を結ぶことで、売主は家賃の原資を含む現金を得られると同時に、愛着のある自宅、地域に住み続けることができる。同社が発案し、同サービスについてラジオCMを流したところ、予想以上の反響があったことから事業化に踏み切った。「ハウス・リースバック」の商標登録は、2013年に出願し、2015年7月に取得した。この事業で、圧倒的ナンバーワンの座を獲得することを狙う。
新規事業の立ち上げ期であるため、様々なことを試みている。反響などに関するデータを収集・分析することで、ビジネスモデルの確立に努めている。2015年は、月間反響が平均200件強、契約率が6.0%であった。契約率は、明らかに年後半の方が前半よりも上がった。2016年2月には、新聞広告に対し、1日で35件の反響があり、確かな手応えを感じている。
サービス開始2年目となる2015年6月期の実績は、56件の取得、累計保有物件数は68件、売上高が202百万円であった。2015年12月末では、累計保有物件数が167件、保有物件総額で2,977百万円まで増加した。これらの水準は、2016年6月期に予定していた予算にほぼ到達 している。同社は、人材の再配置など、さらに経営資源を投入する考えだ。取組件数やストック増加を優先する投資時期に当たるため、固定費の発生が先行し、短期的には収益圧迫要因となる。
金融機関が同様のニーズを取り込むために提供しているのが、「リバースモーゲージ」だ。こちらは、自宅に住み続けながら、家を担保に融資を受けられる制度になる。利用者の死亡後に自宅を売却するなどして、一括返済に充てる。現在の金利は3%程度で、月々の返済は必要ないものの、借入残高が徐々に積み上がる形になる。融資額の限度は物件価格の3割程度にとどまる。一方、ハウス・リースバックでは売却代金を一括して、物件価格の約7割を現金で受け取ることができる。
ハウス・リースバックの対象となる物件は、リース契約終了後に売却するため、不動産市場で流動性がある物件になる。戸建住宅だけでなく、区分所有のマンションも対象となる。2015年末の実績では、戸建てが4分の3、マンションが4分の1であった。地域別では、三大都市圏が物件数ベースで9割以上を占める。物件単価が高い首都圏は、構成比が件数ベースでは50.3%、金額では66.5%になる。
買取価格は、市場価格の7割程度を目安とし、最低ラインが500万円程度になる。年間リース料(家賃)は、買取価格の8〜10%としている。売買額の全額を一度に必要としない顧客は、一部を受け取り、残りを保証金とすることができる。その場合、年間リース料は保証金を除く受取金額を基に算出されるため、月額リース料を抑えることができる。リース契約期間は3年となっている。リース契約の延長は可能で、同社から一方的に打ち切ることはなく、10年、20年でも入居し続けることができる。同社が物件の売却時に負う不動産市況の変動リスクは、リース契約期間中のリース料収入と減価償却により簿価が低下するため小さいとみている。リース契約期間が終了した事例が少ないため、物件の出口戦略が固まっているわけではないが、不動産売買仲介を祖業としてきただけに、物件のリフォーム、新築への建替えなどバリエーションは豊富だ。
利用者がハウス・リースバックで解決しようとしている問題は、子供の学校の学区域を変える引越はしたくない、住み慣れたマイホームから転居したくない、店舗として登録しているので移転できない、長期ローンの返済が苦しい、家を売却し老後の資金にしたい、買い換えたいが手付金がないなどである。利用者は、自宅に住み続けるため、売却したことが外部には知られないというメリットがある。資金の用意ができた段階で、同社から買い戻すことも可能だ。再販売価格は、買取価格より15%高くなる。仮に、第三者に販売した場合、販売価格が再販売価格よりも高くなれば、その差額を元の売り主に還元するスキームとしている。
これまでニーズの大半は、資金調達である。老後資金は、標準的な世帯の老後生活費が月間約26.9万円、年金が同20.7万円程度であることから、1,700万円の不足となる。ゆとりある老後生活費は月35.4万円とされている。住宅のリフォームや子供への援助で資金が必要になることも想定される。65歳の夫婦に支給される年金は、現役時代の報酬の63%相当であるが、現在35歳の夫婦の所得代替率は51%に低下すると推定されている。会社員の平均年収は1997年の467万円から2013年には414万円に低下し、退職金は2002年の2,612万円から2012年には2,156万円へ減少した。不動産を、所有から使用、活用する動きが高まることが予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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(3)ハウス・リースバック事業−圧倒的No.1を狙う
ハウス・リースバックは、持ち主が自宅を売却後も住み続けられる、新しい住まい方の提案である。ハウスドゥ<3457>が住宅を買い取り、売主とリース(賃貸)契約を結ぶことで、売主は家賃の原資を含む現金を得られると同時に、愛着のある自宅、地域に住み続けることができる。同社が発案し、同サービスについてラジオCMを流したところ、予想以上の反響があったことから事業化に踏み切った。「ハウス・リースバック」の商標登録は、2013年に出願し、2015年7月に取得した。この事業で、圧倒的ナンバーワンの座を獲得することを狙う。
新規事業の立ち上げ期であるため、様々なことを試みている。反響などに関するデータを収集・分析することで、ビジネスモデルの確立に努めている。2015年は、月間反響が平均200件強、契約率が6.0%であった。契約率は、明らかに年後半の方が前半よりも上がった。2016年2月には、新聞広告に対し、1日で35件の反響があり、確かな手応えを感じている。
サービス開始2年目となる2015年6月期の実績は、56件の取得、累計保有物件数は68件、売上高が202百万円であった。2015年12月末では、累計保有物件数が167件、保有物件総額で2,977百万円まで増加した。これらの水準は、2016年6月期に予定していた予算にほぼ到達 している。同社は、人材の再配置など、さらに経営資源を投入する考えだ。取組件数やストック増加を優先する投資時期に当たるため、固定費の発生が先行し、短期的には収益圧迫要因となる。
金融機関が同様のニーズを取り込むために提供しているのが、「リバースモーゲージ」だ。こちらは、自宅に住み続けながら、家を担保に融資を受けられる制度になる。利用者の死亡後に自宅を売却するなどして、一括返済に充てる。現在の金利は3%程度で、月々の返済は必要ないものの、借入残高が徐々に積み上がる形になる。融資額の限度は物件価格の3割程度にとどまる。一方、ハウス・リースバックでは売却代金を一括して、物件価格の約7割を現金で受け取ることができる。
ハウス・リースバックの対象となる物件は、リース契約終了後に売却するため、不動産市場で流動性がある物件になる。戸建住宅だけでなく、区分所有のマンションも対象となる。2015年末の実績では、戸建てが4分の3、マンションが4分の1であった。地域別では、三大都市圏が物件数ベースで9割以上を占める。物件単価が高い首都圏は、構成比が件数ベースでは50.3%、金額では66.5%になる。
買取価格は、市場価格の7割程度を目安とし、最低ラインが500万円程度になる。年間リース料(家賃)は、買取価格の8〜10%としている。売買額の全額を一度に必要としない顧客は、一部を受け取り、残りを保証金とすることができる。その場合、年間リース料は保証金を除く受取金額を基に算出されるため、月額リース料を抑えることができる。リース契約期間は3年となっている。リース契約の延長は可能で、同社から一方的に打ち切ることはなく、10年、20年でも入居し続けることができる。同社が物件の売却時に負う不動産市況の変動リスクは、リース契約期間中のリース料収入と減価償却により簿価が低下するため小さいとみている。リース契約期間が終了した事例が少ないため、物件の出口戦略が固まっているわけではないが、不動産売買仲介を祖業としてきただけに、物件のリフォーム、新築への建替えなどバリエーションは豊富だ。
利用者がハウス・リースバックで解決しようとしている問題は、子供の学校の学区域を変える引越はしたくない、住み慣れたマイホームから転居したくない、店舗として登録しているので移転できない、長期ローンの返済が苦しい、家を売却し老後の資金にしたい、買い換えたいが手付金がないなどである。利用者は、自宅に住み続けるため、売却したことが外部には知られないというメリットがある。資金の用意ができた段階で、同社から買い戻すことも可能だ。再販売価格は、買取価格より15%高くなる。仮に、第三者に販売した場合、販売価格が再販売価格よりも高くなれば、その差額を元の売り主に還元するスキームとしている。
これまでニーズの大半は、資金調達である。老後資金は、標準的な世帯の老後生活費が月間約26.9万円、年金が同20.7万円程度であることから、1,700万円の不足となる。ゆとりある老後生活費は月35.4万円とされている。住宅のリフォームや子供への援助で資金が必要になることも想定される。65歳の夫婦に支給される年金は、現役時代の報酬の63%相当であるが、現在35歳の夫婦の所得代替率は51%に低下すると推定されている。会社員の平均年収は1997年の467万円から2013年には414万円に低下し、退職金は2002年の2,612万円から2012年には2,156万円へ減少した。不動産を、所有から使用、活用する動きが高まることが予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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