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アバント Research Memo(4):16/6期2Qは増収増益、売上高は全事業で順調に伸長

注目トピックス 日本株
■決算動向

(1) 2016年6月期第2四半期累計の業績動向について

2月5日付で発表されたアバント<3836>の2016年6月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比期比8.8%増の4,564百万円、営業利益が同5.4%増の422百万円、経常利益が同5.8%増の419百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同1.6%減の249百万円となった。

売上高については、前期末にリリースした連結会計システムの最新版「DivaSystem10」を中心としたライセンス販売やコンサルティング、サポート・サービスなど全事業で順調に伸長した。一方、利益面では業績連動賞与引当金を前倒しで計上したことに加えて、前期に子会社で発生した不採算プロジェクトの収束に時間がかかり、追加で受注損失引当金を計上したことなどを要因に、増益率は1ケタ台にとどまった。営業利益の増減益要因を項目別で見ると、人的投資の増加により393百万円、新事業の投資費用の増加分で34百万円の減益要因となり、これらを増収効果やIT投資、その他費用の減少によってカバーした格好となっている。

なお、子会社別では不採算プロジェクトを抱える1社だけが減収減益となったが、その他の主力子会社はすべて増収増益で順調に収益を拡大している。不採算プロジェクトの収束が長引いている要因としては、他案件への対応が予想以上に長引いて当該案件への人員投入が計画通り進まなかったことや、案件に精通した外注先を変更しなければならない事情が発生し、代わりの外注先を手当てするまでのタイムロスが発生したことが挙げられる。現状は当初の受注契約内容でのプロジェクト完遂に向けた作業を進めていることに加えて、当該案件の成果物に関わる性能向上や機能改善など追加的に発生した事案に関して、別案件として新たな契約を締結することを顧客と交渉している段階にある。当第3四半期(2016年1月−3月)にプロジェクト管理能力が高い人財を投入する予定だが、進捗状況や別途契約の交渉状況によっては、追加でコストが発生する可能性も残る。

(2)事業形態別売上動向

事業別の売上状況を見ると、ライセンス販売は前年同期比10.8%増の362百万円となった。「DivaSystem」は機能や操作性を大幅に向上した新バージョンの投入効果で前年同四半期比4割増と好調に推移したほか、その他の製品ライセンス販売の売上げ増にもつながった。

コンサルティング・サービスは前年同期比7.0%増の2,650百万円となった。不採算プロジェクト発生の影響で、当該子会社については新規受注活動をストップしているため減収となったものの、IFRS(国際財務報告基準)の適用やグローバル・ガバナンス体制の強化、BIツールの経営戦略への活用といった経営管理・戦略に対する投資は活発で、その他主な子会社の売上げは前年同期比2ケタ増収と好調に推移した。

サポート・情報検索サービスは、前年同期比11.5%増の1,551百万円となった。「DivaSystem」の契約企業数増加や高い継続利用率を背景に、保守サービス売上が堅調に推移したことに加えて、アウトソーシング・サービスも前期比旺盛な顧客ニーズを背景に前年同期比大幅増収となった。連結決算関連業務をアウトソーシングする企業が超大手企業でも増え始め、1件当たり受注額も大型化する傾向にあるのが要因だ。ただ、足元ではマネージャー要員が不足してきており、ほぼフル稼働に近い状況まできている(アウトソーシング部隊は約65名)。このため、今後は人の採用と育成を優先して行う計画となっており、下期以降はコストが先行する可能性もある。とはいえ、営業利益率では同社の中では高収益事業であるだけに、今後の事業規模拡大による収益への貢献が期待される。なお、情報検索サービスについては堅調に推移した。

なお、第2四半期末の受注残高は、コンサルティング・サービスとサポート・情報検索サービス合わせて前年同期比0.6%増の1,806百万円と微増にとどまった。このうち、コンサルティング・サービスについては同21.6%減の768百万円となり、前第2四半期以降漸減傾向が続いている。減少要因としては不採算プロジェクトの発生とその対応を最優先にしている影響で、当該子会社の新規受注活動をストップしている。この影響を除けば、受注残高も堅調に推移しているものと思われる。一方、サポート・情報検索サービスについては、前年同期比27.1%増の1,038百万円となった。前四半期比では若干減少したものの、アウトソーシング・サービスの案件増や規模の大型化により、高水準の受注残高が今後も続くと予想される。

(3)財務状況と経営指標

2015年12月末の総資産は、前期末比で53百万円増加の5,734百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産のうち現預金が256百万円減少する一方で、仕掛品が180百万円、その他流動資産が175百万円それぞれ増加した。

一方、負債は前期末比110百万円減少の2,831百万円となった。主に有利子負債が84百万円減少した。また、純資産は親会社株主に帰属する四半期純利益249百万円を計上したほか、剰余金の配当84百万円を支払った結果、前期末比163百万円増加の2,903百万円となった。

主要経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率50.6%と上昇傾向にあり、また、有利子負債比率については7.6%と低下傾向となるなど、財務体質は着実に強化されているものと判断される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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