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アバント Research Memo(5):引き続き「DivaSystem10」の販売好調が見込まれる

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

(1) 2016年6月期業績見通し

アバント<3836>の2016年6月期の連結業績は、売上高が前期比7.5%増の9,600百万円、営業利益が同16.1%増の935百万円、経常利益が同16.3%増の925百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同42.3%増の572百万円と期初計画を据え置いている。売上高については、第2四半期までの進捗率で47.6%と前期実績の44.6%を上回るペースで推移しており、順調に推移している。また、営業利益は進捗率が45.2%と前期の49.7%を下回っているものの、上期に前倒しで計上した賞与引当金の計上がほぼなくなることに加えて、各事業子会社の業績見通しにも特に変更がないことから、計画の達成は可能とみている。また、前期は下期に不採算プロジェクトの受注損失引当金75百万円を計上していたことも今下期の増益要因となる。

事業別では引き続き「DivaSystem10」の販売好調が見込まれるほか、コンサルティング・サービスやサポートサービスなども堅調を持続すると予想される。また、アウトソーシング・サービスも引き続き高水準の需要が見込まれ、人員体制の強化を進めていく方針だ。

その他、2015年9月に戦略的パートナー契約を結んだドイツBELLIN社のグローバル資金管理システム「tm5」については、大手企業から引き合いが来ている。「tm5」はグループ企業全体の資金管理を行うことができるシステムとして、世界150ヶ国、300社で利用されているシステムで、日系大手企業の海外子会社でも導入が進んでいる。日本では企業のグローバル化が進むなかで、資金管理についてのグローバル化はまだ進んでいないのが現状で、今後の需要拡大が見込まれる。競合は他の外資系企業や大手都銀などとなるが、同社ではアウトソーシング・サービスも含めたワンストップソリューションで提案できることを強みに、受注獲得に注力していく方針だ。

(2)中期計画の概要

同社は現在、2018年6月期を最終年度とした中期3ヶ年計画を遂行中で、業績目標値は2018年6月期に売上高11,740百万円、営業利益1,360百万円を掲げている。年平均成長率でみると売上高で9.6%、営業利益で19.1%となり、営業利益率は2015年6月期の9.0%から2018年6月期は11.6%まで引き上げていく計画となっている。

売上高については、連結経営による企業のガバナンス強化やマネジメント力強化に向けたシステム投資の拡大を追い風として、既存事業での成長で実現を目指していく。既存事業のうち主力製品の「DivaSystem」に関しては、機能の向上だけでなく自動化を進めることで、より使い勝手のよいソフトウェアとしての進化を目指すだけでなく、コンサルティング力、サポート力の向上を図ることで、顧客数の拡大を図っていく方針。当第3四半期には開発体制強化のため、新しく開発専門部署をスタートさせた。当初は5名程度のチームだが、今後は人員を2〜3倍に増員し、開発スピードを高めていく。

高成長中のアウトソーシング・サービス事業では体制強化を進め、第3の事業柱として育成していきたい考えだ。企業にとって決算処理業務は季節性の高い業務のため、アウトソーシングに対する潜在的なニーズは大きい。欧米では決算業務のアウトソーシング化は一般的になってきており、今後、国内でもこうした動きが強まっていくものと考えられる。同社は会計システムの導入からサポート、実際の業務のアウトソーシング・サービスに至るまで、ワンストップソリューションで提案できることを強みに、同事業の拡大を進めていく。同事業に関しては労働集約的な事業ではあるものの、現在は高い収益性を維持している。今後は体制強化のため費用が先行し、一旦収益性が低下する可能性はあるものの、体制強化と同時に業務のオートメーション化を進め、生産性を向上していくことで収益性も確保し、業界トップ企業としての地位を確立していく考えだ。

また、海外大手ベンダーのBIツール導入支援で強みを持つジールや、マイクロソフトのERP導入支援を中心に展開するディーバ・ビジネス・イノベーションに関しては、収益性が自社開発品よりもやや落ちるものの、コンサルティング能力の高い人財の採用や育成強化を進め、専門性の高い領域に特化していくことで、収益拡大に注力していく。

同社の顧客数はグループ全体で約1,000社となっており、1社当たりの平均売上高で見れば約9百万円の水準となる。今後は新規プロダクトの開発やサービスの拡充を進めていくことで既存顧客の深耕を図るほか、新規顧客の開拓も進めていくことで中期計画の年率9.6%成長を達成していく方針だ。

営業利益率の向上施策としては、人員体制強化による外注費の社内への取り込みを進めるほか(外注比率は2015年6月期36.1%→2018年6月期27.3%)、多岐にわたるサービス事業の効率化や標準化(自動化)を進め、会社全体の生産性向上を図ることで実現していく。

また、2018年6月期の第1四半期でのれん償却(年間113百万円)が完了することも利益率の押し上げ要因となる。のれん償却前営業利益率で見ると、2015年6月期の10.3%から2018年6月期は11.8%となる計算であり、前期に不採算プロジェクトの発生といったイレギュラー要因があったことなども考慮すれば、十分達成可能な水準と言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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