ダイナック Research Memo(8):ダイナックブランドの強化
[16/03/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■新中期経営計画と今後の取り組み
(4)倶楽部ダイナックの強化
ダイナック<2675>がキーポイントで掲げる「運営基盤の強化」の中で特に注目されるのは会員組織である「倶楽部ダイナック」の拡大だ。倶楽部ダイナックを軸に、ダイナックブランドのマーケティングを強化し、収益拡大へとつなげる計画だ。
この施策は前中期経営計画でも実施され、実働会員数は2012年段階で20万人だったものが、2015には25万人と前中期経営計画3年間で約25%増加し、同様に会員売上高は67億円から85億円へと約27%増加した。今中計において、2018年の段階で会員数31万人(2015年比約24%増)、売上高100億円(同18%増)をそれぞれ目標としている
倶楽部ダイナックの会員になると、会計の際に料金に応じてポイントが還元される。そのポイントが一定量に達するとクーポン券へと引き換えることができ、店舗利用時に支払いに充てられるという仕組みだ。航空会社のマイレージにと特典航空券に似た仕組みだ。同社は多業態展開しているため、接待や職場での飲食で貯めたポイントでクーポンを獲得し、休日に家族との外食で使うという流れを1つのアピールポイントとしている。
弊社では、同社が掲げる実働会員数31万人の達成は十分可能だとみている。理由は、今中期経営計画中において消費税の引き上げやマイナス金利導入などで、実体的・心理的に消費者の生活防衛への意識は一段と高まると予想されるなか、ポイント還元率が10%と比較的高い点や店舗数・業態が豊富で使い勝手が良い点が消費者から評価されると考えているためだ。
(5)今中期経営計画での課題
今中期経営計画における課題として弊社では、人件費のコントロールを挙げておきたい。これは業績目標達成に対するリスク要因と言い換えても良いだろう。2015年12月期において、同社はパートナーの一部時給アップや採用のための費用増により利益が圧迫されることを実際に経験した。こうした状況は今中期経営計画を通じて継続する可能性は高い。加えて、2016年10月からは社会保険の加入要件の緩和も予定されており、これも人件費アップにつながるものと考えられる。
これらの要素は、同社の中期経営計画においても一定程度は考慮されているとみられるが、その影響度を完全には予想しきれないため、同社の利益計画に影響を及ぼす可能性は否定できない。同社が中期経営ビジョンで掲げる“すべてのステークホルダーのロイヤルティ確立”という中には従業員も含まれている。具体的な例として、同社にはパートナー(アルバイト)の育成評価システム「ファイブスター制度」がある。こうした制度を通じて従業員のロイヤルティを確立できれば人件費の抑制につながっていくと期待される。人件費関係については、同社自身の動向はもちろん、社会情勢一般も含めて、注意深く見守っていきたいところだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(4)倶楽部ダイナックの強化
ダイナック<2675>がキーポイントで掲げる「運営基盤の強化」の中で特に注目されるのは会員組織である「倶楽部ダイナック」の拡大だ。倶楽部ダイナックを軸に、ダイナックブランドのマーケティングを強化し、収益拡大へとつなげる計画だ。
この施策は前中期経営計画でも実施され、実働会員数は2012年段階で20万人だったものが、2015には25万人と前中期経営計画3年間で約25%増加し、同様に会員売上高は67億円から85億円へと約27%増加した。今中計において、2018年の段階で会員数31万人(2015年比約24%増)、売上高100億円(同18%増)をそれぞれ目標としている
倶楽部ダイナックの会員になると、会計の際に料金に応じてポイントが還元される。そのポイントが一定量に達するとクーポン券へと引き換えることができ、店舗利用時に支払いに充てられるという仕組みだ。航空会社のマイレージにと特典航空券に似た仕組みだ。同社は多業態展開しているため、接待や職場での飲食で貯めたポイントでクーポンを獲得し、休日に家族との外食で使うという流れを1つのアピールポイントとしている。
弊社では、同社が掲げる実働会員数31万人の達成は十分可能だとみている。理由は、今中期経営計画中において消費税の引き上げやマイナス金利導入などで、実体的・心理的に消費者の生活防衛への意識は一段と高まると予想されるなか、ポイント還元率が10%と比較的高い点や店舗数・業態が豊富で使い勝手が良い点が消費者から評価されると考えているためだ。
(5)今中期経営計画での課題
今中期経営計画における課題として弊社では、人件費のコントロールを挙げておきたい。これは業績目標達成に対するリスク要因と言い換えても良いだろう。2015年12月期において、同社はパートナーの一部時給アップや採用のための費用増により利益が圧迫されることを実際に経験した。こうした状況は今中期経営計画を通じて継続する可能性は高い。加えて、2016年10月からは社会保険の加入要件の緩和も予定されており、これも人件費アップにつながるものと考えられる。
これらの要素は、同社の中期経営計画においても一定程度は考慮されているとみられるが、その影響度を完全には予想しきれないため、同社の利益計画に影響を及ぼす可能性は否定できない。同社が中期経営ビジョンで掲げる“すべてのステークホルダーのロイヤルティ確立”という中には従業員も含まれている。具体的な例として、同社にはパートナー(アルバイト)の育成評価システム「ファイブスター制度」がある。こうした制度を通じて従業員のロイヤルティを確立できれば人件費の抑制につながっていくと期待される。人件費関係については、同社自身の動向はもちろん、社会情勢一般も含めて、注意深く見守っていきたいところだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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