ケネディクス Research Memo(7):2015年12月期は大幅な増益、期初予想に対しても大きく上回る利益で着地
[16/03/09]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■決算概要
(2) 2015年12月期の業績
ケネディクス<4321>の2015年12月期の業績は、営業収益が前期比0.8%減の25,997百万円、営業利益が同24.2%増の10,119百万円、経常利益が同42.5%増の9,127百万円、当期純利益が同102.4%増の9,807百万円と大幅な増益となった。期初予想に対しても、2015年8月7日及び2016年1月13日付の2回の増額修正を伴いながら、営業収益及び各利益ともに大きく上回る着地となった。
連結対象不動産(棚卸資産)の売却が一巡したことで営業収益はわずかに減収となった。一方、営業総利益は、主力のアセットマネジメント事業が受託資産残高の拡大等により大きく伸長しており、同社の業績の伸びをけん引している。また、総合的な収益力を示す純利益についても、ノンリコースローン※1の減少による支払金利の削減に加えて、好調な不動産マーケットを背景として連結対象不動産(有形固定資産)の売却益(特別利益)を積み上げたこと、過去投資案件の処分損(特別損失)が縮小したことにより大きく伸びた。同社が重視するベース利益※2も3,854百万円(前期比194.9%増)と大きく拡大した。
※1返済の原資となる資産を投資物件等に限定した借入方法である。
※2ベース利益とはアセットメネジメント事業及び不動産関連事業の営業総利益から販売費及び一般管理費を控除したものである。同社の安定した収益力を示す指標となっている。
なお、受託資産残高は、2つのJ-REITの上場を含む各REITの成長により1兆6,443億円(前期末比11.0%増)と拡大した。そのうち、同社が重視しているベースAUM※の残高も1兆1,259億円(同19.8%増)と大きく増加している。ただ、私募ファンドについては物件売却の進展等により縮小傾向が続いており、2015年12月末残高も3,653億円(同10.9%減)に減少しているが、国内外の投資家から様々な不動産投資ニーズが高まっているなかで、足元では底打ち感があるようだ。2015年7月には第一生命との共同投資により不動産コアファンド(首都圏に所在する複数の賃貸住宅を対象)を組成するなど、今後は私募ファンドにも注力する方針を掲げている。
※同社がメインスポンサーとなっているREIT及び私募ファンド。
財務面では、REIT向けや長期保有(過去投資案件)を中心に連結対象不動産(棚卸資産及び有形固定資産)の売却が順調に進んだことから総資産は171,575百万円(前期末比15.6%減)に縮小した一方、純資産は内部留保の積み増しにより92,353百万円(同8.2%増)に増加したことから、自己資本比率は48.6%(前期末は38.0%)に大きく改善した。有利子負債残高についても、連結対象不動産の売却に伴ってノンリコースローンが大きく減少するとともに、通常のコーポレートローンについても、低利で長期安定的なものにリファイナンスを行っており、財務の健全性はさらに高まったものと評価できる。一方、資本効率を示すROEも12.2%(前期は6.5%)と大きく改善している。現金及び預金残高が39,445百万円(前期末比66.6%増)に積み上がっている点については、金融マーケットの先行きにやや不透明感があるなかで、投資戦略(資金アロケーション)の選択の幅を広げる意味では前向きに評価することもできるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<HN>
(2) 2015年12月期の業績
ケネディクス<4321>の2015年12月期の業績は、営業収益が前期比0.8%減の25,997百万円、営業利益が同24.2%増の10,119百万円、経常利益が同42.5%増の9,127百万円、当期純利益が同102.4%増の9,807百万円と大幅な増益となった。期初予想に対しても、2015年8月7日及び2016年1月13日付の2回の増額修正を伴いながら、営業収益及び各利益ともに大きく上回る着地となった。
連結対象不動産(棚卸資産)の売却が一巡したことで営業収益はわずかに減収となった。一方、営業総利益は、主力のアセットマネジメント事業が受託資産残高の拡大等により大きく伸長しており、同社の業績の伸びをけん引している。また、総合的な収益力を示す純利益についても、ノンリコースローン※1の減少による支払金利の削減に加えて、好調な不動産マーケットを背景として連結対象不動産(有形固定資産)の売却益(特別利益)を積み上げたこと、過去投資案件の処分損(特別損失)が縮小したことにより大きく伸びた。同社が重視するベース利益※2も3,854百万円(前期比194.9%増)と大きく拡大した。
※1返済の原資となる資産を投資物件等に限定した借入方法である。
※2ベース利益とはアセットメネジメント事業及び不動産関連事業の営業総利益から販売費及び一般管理費を控除したものである。同社の安定した収益力を示す指標となっている。
なお、受託資産残高は、2つのJ-REITの上場を含む各REITの成長により1兆6,443億円(前期末比11.0%増)と拡大した。そのうち、同社が重視しているベースAUM※の残高も1兆1,259億円(同19.8%増)と大きく増加している。ただ、私募ファンドについては物件売却の進展等により縮小傾向が続いており、2015年12月末残高も3,653億円(同10.9%減)に減少しているが、国内外の投資家から様々な不動産投資ニーズが高まっているなかで、足元では底打ち感があるようだ。2015年7月には第一生命との共同投資により不動産コアファンド(首都圏に所在する複数の賃貸住宅を対象)を組成するなど、今後は私募ファンドにも注力する方針を掲げている。
※同社がメインスポンサーとなっているREIT及び私募ファンド。
財務面では、REIT向けや長期保有(過去投資案件)を中心に連結対象不動産(棚卸資産及び有形固定資産)の売却が順調に進んだことから総資産は171,575百万円(前期末比15.6%減)に縮小した一方、純資産は内部留保の積み増しにより92,353百万円(同8.2%増)に増加したことから、自己資本比率は48.6%(前期末は38.0%)に大きく改善した。有利子負債残高についても、連結対象不動産の売却に伴ってノンリコースローンが大きく減少するとともに、通常のコーポレートローンについても、低利で長期安定的なものにリファイナンスを行っており、財務の健全性はさらに高まったものと評価できる。一方、資本効率を示すROEも12.2%(前期は6.5%)と大きく改善している。現金及び預金残高が39,445百万円(前期末比66.6%増)に積み上がっている点については、金融マーケットの先行きにやや不透明感があるなかで、投資戦略(資金アロケーション)の選択の幅を広げる意味では前向きに評価することもできるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<HN>